【台北ゲームショウ2015】BtoCコーナーで見つけた中国産スマホゲーム良作2本

 台北ゲームショウは業界人を対象とした商談中心のBtoBコーナーと、一般ユーザーを対象とした宣伝中心のBtoÇコーナーに会場が二分されている。BtoBコーナーで展示されているモバイルゲームが、いわゆるインディゲームであるのに対して、BtoCコーナーて出展されているのは大手パブリッシャーが力を入れている戦略商品だ。その中でも日本で未サービスのタイトルで、印象に残ったタイトルを2作紹介しよう。

『暗夜血姫~運命の絆~』(G妹遊戯)

 1作目はド派手な戦闘シーンが楽しい『暗夜血姫~運命の絆~』だ。サブタイトルに日本語が入っており、キャラクターも日本的な萌えテイスト、ボイスに折笠富美子(『電脳コイル』のヤサコ役などで有名)の起用をアピールするなど、いかにも日本のゲームという印象を受けるが、実は中国の人気コミックが原作。G妹遊戯も中国系の台湾パブリッシャーで、開発会社も上海のスタジオだという。中国産のゲームは台湾でも高い人気を集めているが、あえて日本テイストを前面に押し出すという珍しいマーケティングだ。

暗夜血姫1

 ゲームはブースのスタッフが自ら『ブレイブフロンティア』に影響を受けた説明してくれたほどで、特にバトルの感じやカットインのエフェクト、アイテムの使い方などがよく似ている。画面の上半分にバトル画面、下半分にキャラクタースロットが配置され、バトル画面の右側にプレイヤーキャラクター、左側に敵キャラクターが配置されるところまでそっくりだ。ただし大きく違うのがUI、具体的にはキャラクタースロットの配置で、『ブレブロ』が3キャラずつ縦に2列になっているのに対して、本作では横に6キャラ分が一列に表示されている。これにより遊びやすさが増しているのだ。

暗夜血姫2

 具体的には、全キャラクタースロットを指でさっと横になぞるだけで、自動的に全キャラクターに対して適切な攻撃指示が出せる。またSPを消費するとキャラクター固有の必殺技が繰り出せるのだが、この時もキャラクタースロットを指で上にスワイプさせれば、指定したキャラクターのカットインと共に必殺技が炸裂する。このように親指を横に動かすと通常攻撃、縦に動かすと必殺技と操作が生理的になじみやすく、スマホの片手操作にも向いた作りになっているのだ。この点は国産タイトルも参考になるのではないだろうか。

暗夜血姫3

『暗夜血姫~運命の絆~』公式サイト http://m.gm99.com/npc/data.html

『戦姫天下』(楽元素)

 2作目は三国志の武将たちが全員、美少女キャラクターとなって激突する『戦姫天下』だ。こちらも中国系のパブリッシャーで、ゲームはいわゆるソーシャルカードゲーム。10人までパーティを組んで戦うことができ、カードの合算で攻撃力を決定。数ターンの攻防の後に勝敗が決まるというのが基本のバトルシステムだ。ストーリーをすすめる競技、バトルのみを楽しむ演武などのモードがあり、ゲームの過程で6つの破片を集めれば、朱雀・白虎・玄武・青龍の守護神獣を強化もできる。もちろんガチャシステムも導入されており、プレミアムガチャとノーマルガチャに分かれている。

戦姫天下1

 武将もレベル1からMAXまで6段階で成長し、次第にイラストがゴージャスになっていくというこだわりようだ。曹操が運動部系の美少女、劉備が耽美成分が少し入った、お姉さま系というのはイマイチ日本人の感覚からするとピンと来ないが、夏侯惇が眼帯をつけたメイドキャラという風にイメージが付くものもあり、コレクション欲をそそる。ビジュアルテイストも総じて日本人好みでクオリティが高く、萌えツボがわかっているなあと思わされた(ちなみに本作は台湾で15歳以上推奨タイトルとなっている)。

戦姫天下2
『戦姫天下』公式サイト http://www.senki.tw/

 両タイトルともB2Bコーナーのインディゲームとはクオリティ的にもボリューム的にも桁違いで、日本的な運営ドリブンのゲームデザインになっており、あらためて日本と中国、そして台湾のコンテンツにおける親和性の高さや、中国企業の開発力の高さを実感させられた。台北ゲームショウでは残念ながら出展タイトル自体は少なかったが、他にもさまざまなスマホゲームが彼の地で開発され、プレイされていることは明らかだ。近い将来に中国スマホゲームから日本で大ヒットするタイトルが出てくるのではないだろうか(「戦姫天下」の楽元素では、すでに日本向けに「メルクストーリア – 癒術士と鈴のしらべ -」をリリースし、注目を集めている)。今後の盛り上がりに期待したい。