【Ingress情報局・TAPPLI支部】とみさわ昭仁の珍ポータル紀行・第14回 飛行機→クルマ→船を乗り継ぎ鹿児島ブックオフ巡り(前編)

 ぼくには中学3年生の娘がおります。女の子も中学生になるとだんだん生意気になってきて、小さいうちは「パパ、パパぁ~」なんて甘えてきたのに、このごろは「お父さんキタナイ、あっち行って」なんて言うんですよ……。と、世間の人はよく言いますな。でも、我が家において断じてそんなことはない。娘とパパ、いまでも仲良しなんだも~ん。

 娘には小学生の頃からの仲良し友達がいる。名前がないと話が進めにくいので、友達のトモちゃん(仮名)としておこう。そのトモちゃんは、中学にあがると家の事情で鹿児島へ引っ越していってしまった。ま、それは仕方のないことなんだけれど、そのとき別れの記念にお揃いのシャープペンシルをくれた。娘はもちろん大切に使っていた。

 ところが、今年の春頃だっただろうか。そのシャーペンを学校の誰かに盗られてしまったらしいんだな。犯人らしき人物に心当たりはあるようだけど、もちろん現場を見たわけではないから、問い質すわけにもいかない。たかがシャーペン、あきらめれば済む話なんだが、娘としては親友がくれた宝物を失ったのだから、哀しみと怒りとが収まらない。

 娘がノートに向かって何か熱心に書いているので、なあに? と覗いてみたら「呪」という文字がビッシリだった。ヒイィィッ!

 お父さん、娘に語ってやりました。娘よ、お前の気持ちはよくわかる。だが、相手にも何らかの事情があるはずだ。お前は一生、犯人を恨んで生きるのか? 人を憎めば、それは自分に跳ね返ってくるものだ。それより、トモちゃんがお前にシャーペンをプレゼントしてくれたように、今度はお前から犯人へプレゼントしたのだと考えてみてはどうだろう?

「えぐっ、えぐっ、そんなのイヤダーーー!!!」

 ま、娘は泣きますわな。理屈ではわかっても感情をコントロールできる歳じゃない。こればっかりは仕方ないね。本当は高校入試を終えたらそのお祝いにと考えていた計画があったのだけど、使うのはいまだと判断し、お父さんはここで秘密のカードを切ることにした。

 よし、夏休みにお父さんと鹿児島へ行こう。それでトモちゃんと新しい思い出を作って、悲しい記憶を上書きしてしまえ!

◆鹿児島で西郷どんと会う

「パパ大好き~!」そんなことを言うような娘じゃないけれど、家から北総線に乗って成田空港へ向かうあいだ、娘の表情からは嬉しそうな様子がビンビンに伝わってきた。松戸市に住んでると、成田空港は案外近い。そして成田から鹿児島だって、飛行機に乗ってしまえばたったの2時間だ。

鹿児島空港
▲ほーら、もう鹿児島空港に着きました。

 娘、初めての飛行機なので何もかもが興味深く、あちこちキョロキョロしている。お父さんも基本的に野次馬体質なので、空港内に何か変なポスターや珍物件がありはしないかとキョロキョロしている。まことに落ち着きのない親子である。

 空港からはシャトルバスに乗せてもらい、予約してあるレンタカー屋さんへ向かう。そこでいつものようにマイカーと同じ車種を借り出し、鹿児島旅行のスタートだ。

 今回、旅に出るきっかけは娘を親友と再会させるためだったが、おやじが同行する以上、当然そこにはブックオフ巡りがついてくる。現在、鹿児島県内には12軒のブックオフがある。今回は3泊4日でそれらをすべてまわってしまおうという計画だ。もちろん、珍ポータルをチェックするのも忘れてはいけない。

 最初の目的地である「ブックオフ鹿児島国分店」に向かう途中、回転寿司で昼メシを食べているときに、こんなポータルを見つけた。

西郷隆盛先生
▲「日当山温泉に遊ぶ西郷隆盛先生」の像。

 これよこれこれ。こういうご当地ものはやっぱり見つけると嬉しい。実際の西郷隆盛は、この像や上野公園の銅像とは似ても似つかない顔をしていたって言うけど、いまさらそんなこと言われても困るよね。あの世の西郷どんだって「もうこれでいいよ」って思ってるんじゃないかなあ。

ブックオフ鹿児島国分店
▲そして1軒目の「ブックオフ鹿児島国分店」。

 で、このあとさらに「ブックオフ鹿児島加治木店」にも行って数冊の本を仕入れたら、いったん娘とはお別れだ。そう、今夜は娘だけトモちゃんのお家にお泊まりさせていただくためだ。そりゃそうだよね、2年ぶりくらいに会えたんだから、少しでも長く一緒にいられた方がいい。

 娘を送り届けたら、おやじは今夜一人で天文館(鹿児島市内の中心部)のビジネスホテルに泊まる。夕食は地元の酒場で済ますのがいつものセオリーで、今回は知る人ぞ知る「軍国酒場」という何やら怪しげな店に挑戦してみた。どんなところかを説明しはじめると、これだけでコラム2、3本が書けてしまうので、ここでは省略。「軍国酒場」で検索してみて。

軍国酒場
▲軍国酒場は廃墟のようなビルの4階にある。入るのにはかなり勇気が必要。

 軍国酒場ではおつまみが乾パンと南京豆しかなかったので、まだ腹が減っている。そこで、今回の旅では初のラーメンを食べることにした。九州に来たら獣臭いラーメンを食べなくちゃね。

暖暮
▲博多ラーメン「暖暮」の天文館店にて。

 以前、神田に支店があって大好きだったけど、いつの間にかなくなっちゃって寂し思いをしていた「暖暮」があったので入ってみた。鹿児島で博多ラーメンを食べるというのもそれはそれでいいのではないだろうか。

◆ローカル歌謡の発掘こそ地方遠征の醍醐味

 そして夜が明けた(ドラクエか)。2日目のはじまりである。今日はほぼ一日おやじ一人の自由行動なので、存分にブックオフをまわらせてもらおう。と、その前に、ちょっと中古レコード屋を1軒だけのぞいていく。鹿児島中央駅のすぐそばにある「レコードステーション」だ。

西郷音頭
▲そこでの収穫その1「西郷音頭」他。

 西郷隆盛と大久保利通という2枚のご当地銅像レコジャケものを掘り出せたのはとても嬉しい。意味もなく集めたくなる。

恋するトコロ天
▲さらに「恋するトコロ天」という謎アイドル盤も。

 こういうローカル歌謡を発掘するのは本当に楽しい。いま現在、日本全国からとにかく中古レコード屋がなくなりつつあって、そんな中でも「レコードステーション」さんがなんとか営業を続けていて、さらに「恋するトコロ天」みたいなマイナー盤を発掘できるのは、ほとんど奇跡みたいなもんだ。

 このあと、鹿児島中心部からクルマを北西へ走らせ、「ブックオフ鹿児島串木野店」「ブックオフ川内店」「ブックオフ鹿児島出水店」と巡回していった。途中の「川内店(せんだいてん)」というのは、あの再稼働したばかりの川内原発にもっとも近いブックオフだ。

ブックオフ鹿児島大口店
▲途中で見つけた変な居抜き物件。オモチャのハローマックの跡地にローソンが。

 さらにクルマを走らせ、川内から熊本県にちょっとだけ侵入して「ブックオフ熊本水俣店」を見て、ふたたび引き返して「ブックオフ鹿児島大口店」。

夫が死んだときに読む本
▲こんな本を買いました。「夫が死んだときに読む本」。

 ここまでで本日の行程は終了だ。日が暮れた頃に天文館に帰り、娘と合流する。娘はお友達と一緒に晩ごはんを食べてきたというので、ぼくは一人でまた繁華街へ繰り出すのだった(次回へ続く)。

永田シロアリ
▲害虫駆除会社のビル壁面がいかすポータルになっていた「永田シロアリ」。