『PUBG』で揺れるe-Sports最先進国韓国。

PUBG

世界で最も遊ばれているオンラインゲームを巡る韓国e-Sports界の争い。

2017年末、一番人気のあるオンラインゲームといえば、バトルロワイヤルゲーム『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)』だろう。Steamのゲームデータでも同時接続ユーザー数が260万人を突破しているモンスタータイトルで、12月21日に正式版のリリースが世界同時で行なわれたことで、ここ数日も話題になっている。

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韓国でも『PUBG』は大人気。現地のPCカフェ(ネットカフェ)で遊ばれるタイトルでは、これまで『League of Legends(LOL)』がトップだったが、ここ数か月は『PUBG』が『LOL』を抜いてトップとなっている。

また、韓国はe-Sportsの先進国ということもあり、『PUBG』を競技タイトルとしたe-Sportsとして取り上げた番組も放送されている。

ただ、この『PUBG』のe-Sports化が問題を抱えているようだ。

韓国では、これまでにPCゲーム『STAR CRAFT』や『LOL』といったタイトルで、e-Sportsをエンターテインメントとして成功させ、何年にも渡って何人ものスター選手(プロ選手)をうみだしてきた。これはゲーム(競技タイトル)によってレギュレーションを決める協会が存在し、世界大会への参加も視野に入れたルール作りや選手契約など、スポーツ文化として育ててきたからだ。

『PUBG』は、自国(韓国)のデベロッパー(Bluehole)が開発したゲームということもあり、言語の壁がないことからもリリース直後から爆発的な広がりでゲーマーたちに浸透していった。

こうなるとe-Sportsを放送する各局は、いち早く『PUBG』を自らのコンテンツに加えようと、お互いに協議をほとんどせずに、それぞれで突貫的に番組作りを進めてしまう。そうなると、『PUBG』は多人数でプレイするゲームということもあり、プロ選手とアマチュアの選手が混在する状態で大会が開催されるような事態に発展し、契約を交わす前の選手が大会中に他チームに引き抜かれるといった事件や、“身代わり選手”が代わりにプレイするなど、様々な問題が起きてしまう(参考: NAVER SPORTS ※韓国語サイト)。

選手だけでなく視聴者側でも、放送局によってもルールが違うので、視聴していて混乱するという問題があった。

それでも放送局は自分たちのコンテンツにしようと必死だ。

『PUBG』は、「ソロプレイ」、「2人プレイ」、「4人プレイ」とモードは分かれているものの、100人近いプレイヤーが生き残りをかけたバトルロイヤルがウリのゲーム。100人近い選手が出ることになるが、放送局によってはすべての選手のプレイ画面や顔を映すために数十台のカメラを準備したり、試合中のキルシーンをすべて追えるようにオブザーバー(ゲーム画面を追う人)を10人以上用意するだけでなく、その試合を観戦する来場者を収容する会場の準備など、莫大な費用を投入している。他局に後塵を拝するわけにはいかないのだ。

世界的に人気があるタイトルなだけに、これらの問題を早急にクリアしようという動きはあるものの、少しでも自分たちのアドバンテージにしようと、強引な提案などで議論が難航しているようだ。

日本でも、2018年よりプロライセンスが発行されe-Sportsが本格的に始動する。選手の人数や設備的な問題もあり、『PUBG』がすぐに競技タイトルになるいうわけにはいかないと思うが、この人気が続けばラインナップに加わる可能性は高いだろう。

『PUBG』の開発会社のおひざ元でありe-Sportsの最先進国である韓国で、モンスタータイトル『PUBG』がe-Sportsとしてどのように進んでいくのか。今後に注目していきたい。

関連リンク

NAVER SPORTS ※韓国語サイト
PUBG公式サイト DMM GAMES

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