【第6回】ネットの向こうにいる仲間はどんな人? 協力プレイの真実(!?)を描いたTVCM


 昭和生まれの筆者にとって、子供のころのゲームは基本的にひとりでプレイするのが当たり前の遊びでした。その後、ふたりでの協力プレイや対戦プレイのできるゲームが登場し、大人数で遊べるパーティゲームも定番のジャンルとして根付きました。そしてインターネットの登場によって、顔の見えないネットの向こう側の相手と遊べる時代がやってきました。男性か女性かもわからない、素性も知らない相手との対戦プレイや協力プレイは新鮮な刺激や楽しさがあり、多人数参加型ゲームの登場により、多くのプレイヤーがその魅力にハマってきました。

 そして近年では、対戦できるもの、協力プレイできるものも珍しくありません。ゲームをプレイするための敷居の低さと、通信プレイによる恩恵が受けられるシステムなど、ごく自然にリアルタイムの通信プレイが楽しめる時代になったのです。

 ゲームのTVCMの歴史においても、その時代のゲームの面白さを伝える作品が作られてきましたが、昨今のゲームアプリのTVCMにも、その面白さを伝える作品が登場してきました。


 今回紹介する『剣と魔法のログレス いにしえの女神』も、リアルタイムで協力プレイができるゲームアプリのひとつ。お手軽な操作とアバターの多様なカスタマイズ、そしてネットの向こう側の見知らぬプレイヤーと協力できるのも魅力。このTVCMでは、「プレイヤーを助けてくれるネットの向こう側の人はこんな人だった」という所を面白く紹介していますが、その組み合わせがポイントになっています。

 まずは「女子高生とサラリーマン」という、いかにもミスマッチな組み合わせ。言いかたを変えれば「かわい子ちゃんとキモいオッサン」ですね。救う側と救われる側が逆だったらうれしいはずですが、キモいオッサンに救われたことを知った女子高生がどう思うのかを想像すると心苦しいですね。でも相手がわからないところが協力プレイの魅力ですし、アバターをカスタマイズしておけば大丈夫だから(震え声)

 次に登場するのが「高校教師と浪人生」。一見するとわりと普通の関係かと思いきや、救ったのが浪人生側で立場が逆転しているんですね。細かいことを言えば、予備校講師のほうが関係性がしっくりするかな。まあ、それ以前に浪人生がゲームやってる場合ではないんですけど、気持ちはわかります。

 最後に登場するのは、「海女さんと尼さん」というダジャレコンビ。これは組み合わせの妙というか、完全なオチ要員。この組み合わせを最初に思いついて企画されたTVCMなんじゃないかと邪推してしまいます。でも仏に仕える尼さんに救われるのは本来の姿ですし、実は深く考えられているのかもしれませんね(じぇじぇじぇ!)

 このTVCMの肝となるのは先述した救う側と救われる側の組み合わせですが、改めて見ると、オーソドックス→立場逆転→ダジャレ、という三段オチがとても美しいですね。野球で例えると、ストレート→チェンジアップ→フォークの三球で空振り三振という感じでしょうか。


 『剣と魔法のログレス いにしえの女神』には、別バージョンのCMもあります。こちらはネットの向こうの仲間の姿を目にするという、「誰かが誰かを助けてる篇」の対になっているような内容です。

 力尽きたプレイヤーを助けるために声を上げたのはかわいい女子高生、その姿を見た浪人生は回復スキルを使われる前に回復してしまうというもので、調子のいい性格ですね(笑)。「アバターのカスタマイズ」をアピールするためにも、シリーズ物としてもの面白さを出すためにも、実はかわいい女子高生の姿がアバターで、実際のプレイヤーは尼さんだった、というどんでん返しがあっても面白かったかもしれません。ただ協力プレイについて面白いアプローチはしています。今後も、こういったCMを期待したいですね。

この記事を書いた人

真平(まっぴら)
TVCMを見続けて約30年。特にゲームのCMが大好物のCMウォッチャーであり、ゲームそのものよりもCMに興味があるダメゲーマー。最近はスマートフォンアプリのCMが賑やかになってきていることに、時代の動きを感じている。