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【FFコンサート】「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100」開催、大観衆が生の音楽に酔いしれた夜

 1月22日(木)、『ファイナルファンタジー』シリーズの楽曲をオーケストラの生演奏で味わうコンサート「Distant Worlds: music from FINAL FANTASY THE JOURNEY OF 100」が、東京国際フォーラム ホールAにて開催された。主催はキョードー東京、協力にスクウェア・エニックス。
 ここでは、その模様をレポートしよう。


▲オーケストラにコーラスを加えた大編成での演奏となった。

 「Distant Worlds」は、『ファイナルファンタジー』生誕20周年を記念して製作されたオーケストラコンサートツアー。2007年のストックホルム公演を皮切りに、全世界で開催されてきたこのコンサートが、今回ついに100回目を迎えた。
 記念すべきこの公演は、東京国際フォーラムで最も大きな会場、ホールAで開催。指揮にアーニー・ロス氏、ソリストに白鳥英美子さんとスーザン・キャロウェイさん、オーケストラに東京フィルハーモニー交響楽団、コーラスにDWFF Tokyo Choirという布陣で幕を開けた。
(大阪公演は、オーケストラは大阪シアターフィルハーモニー管弦楽団、コーラスは大阪シアターフィルハーモニー合唱団。)
 コンサートは、『ファイナルファンタジー』音楽と言えばこの人、コンポーザーの植松伸夫氏の前説から。『ファイナルファンタジー』コンサートでは定番の“ブラボー係”の観客を任命しつつ、日本初披露の曲が8曲もあることを発表。「楽しいゲーム音楽を演奏するコンサートなので、拍手して、声をあげて楽しんで欲しい」と、オーケストラコンサートの枠をはみ出すような願いとともにスタートとなった。


▲指揮のアーニー・ロス氏。グラミー賞受賞経験もある大物。

 コンサートは、アーニー・ロス氏が作り上げた、オーケストラならではの荘厳さとゲーム音楽の熱量が組み合わさった楽曲の目白押し。大型スクリーンに各タイトルの印象的なシーンの映像を投影しながら、第一作『FINAL FANTASY』から『FINAL FANTASY XIV』までのさまざまな楽曲が、生の音楽の圧力とともに展開された。
 スーザン・キャロウェイさんは『FINAL FANTASY XII』の「Kiss Me Good-Bye」を、白鳥英美子さんは『FINAL FANTASY IX』の「いつか帰るところ~Melodies Of Life」を熱唱。オーケストラをバックに歌われるこれらのボーカル曲は、ゲーム内やCDで聴くのとはひと味違った響きとともに観客を魅了した。


▲「Kiss Me Good-Bye」を歌うスーザン・キャロウェイさん。


▲白鳥英美子さんは本公演初登場。トワ・エ・モワとしても活動中。

 また「スウィング de チョコボ」では、楽曲の途中で舞台袖からチョコボも登場。観客に暖かい歓声で迎えられ、曲の後にはアーニー・ロス氏が嬉しそうに駆け寄る一幕も見られた。


▲チョコボ登場に会場も沸いた。ロス氏もごきげん。

 圧巻は、初披露となる「バトルメドレー2012」。アーニー・ロス氏も「ライブで演奏することは考えていなかった」とするこの楽曲は、第一作『FINAL FANTASY』から『FINAL FANTASY XIV』までのバトルシーンを彩った楽曲を繋いだメドレー曲。スクリーンには『ファイナルファンタジー』の歴史をたどるバトルシーンが次々と流れて、観客からもこの日最大の拍手で讃えられる一曲となった。


▲「バトルメドレー2012」に会場は興奮。


▲終演後には植松氏も再度登場、観客に大拍手を送られた。
 この日のプログラムで演奏された楽曲は、以下の通り。

01.プレリュード【FINAL FANTASY シリーズ】
02.Liberi Fatali【FINAL FANTASY VIII】
03.勝利のファンファーレ【FINAL FANTASY シリーズ】
04.蘇る緑【FINAL FANTASY VI】
05.F.F.VIIメインテーマ【FINAL FANTASY VII】
06.Kiss Me Good-Bye【FINAL FANTASY XII】 <ソリスト>スーザン・キャロウェイ
07.ローズ・オブ・メイ【FINAL FANTASY IX】
08.キャラクターテーマ メドレー【FINAL FANTASY VI】
09.Balamb GARDEN – Ami【FINAL FANTASY VIII】
10.ファブラ・ノヴァ・クリスタリス【FINAL FANTASY XIII】
11.片翼の天使【FINAL FANTASY VII】
12.祈りの歌~異界送り【FINAL FANTASY X】
13.ザナルカンドにて【FINAL FANTASY X】
14.天より降りし力【FINAL FANTASY XIV】
15.いつか帰るところ~Melodies Of Life【FINAL FANTASY IX】<ソリスト>白鳥英美子
16.スウィング de チョコボ【FINAL FANTASY シリーズ】
17.バトルメドレー2012【FINAL FANTASY シリーズ】
18.ファイナルファンタジー【FINAL FANTASY シリーズ】

 本公演は、1月23日(金)に同じく東京、1月24日(土)に大阪オリックス劇場でも開催される。
 終演後には、植松伸夫氏、アーニー・ロス氏、スーザン・キャロウェイさん、白鳥英美子さんが記者会見を行なった。


▲左から、植松氏、キャロウェイさん、白鳥さん、ロス氏。

アーニー・ロス氏 (以下、ロス)
100回のパフォーマンスをやってきたとは、信じられないです。最後のクレジットでこれまでの写真を見たときに、これだけのことをやってきたんだ、と改めて感慨深く思いました。
また、「Distant Worlds」のレパートリーがこんなに増えていたことにも驚きです。100曲以上になっていて、新曲の初演もできていることが嬉しい。今日は新しいゲストとして、白鳥さんやチョコボもお迎え出来ました。
これからも、どんどん育っていくコンサートにしていきたいと思います。

白鳥英美子さん (以下、白鳥)
私は「Distant Worlds」は初めてですが、世界中で100回をやって来られたことは素晴らしいと思います。今日初めて(「Distant Worlds」を)聴かせていただきましたが、ゲーム音楽(の枠)から外れて、クラシックのコンサートを聴いているようでいて、迫力もある。本当に素晴らしいと思います。これから先もずっと続けていらっしゃると思いますが、また参加できたら嬉しいなと思います。本当におめでとうございます。

スーザン・キャロウェイさん
(100回は)本当に信じられないですね。私も長く参加させていただいていますが、コンサートが始まって何年になります?(ロス氏「8年だよ」) 「Distant Worlds」では本当に才能豊かなおふたり(植松氏とロス氏)とご一緒できるので、とても楽しくやらせていただいています。こんなに楽しいことに参加できて、本当に幸せです。

植松伸夫氏 (以下、植松)
アーニーさんがおっしゃるように、数えてみると信じられない数なんですけれど、100回を目指したのではなく、できることを続けさせてもらえただけの話なんです。僕は、それがすごいことだとは思っていないです。みんなでできることを続けてきただけ。でも、いつもやるたびに楽しいので、これからもこういう機会が増えるといい。それには、美しいメロディの曲と、心がウキウキするような激しいアップテンポの曲を、バランスよく、これからも作っていきたいなと思いますね。
レパートリーを全部使ったら、一週間のコンサートができるんじゃないかな(笑)。『ファイナルファンタジー』ウィーク(笑)。

【質疑応答】

――今日のコンサートの雰囲気はいかがでしたか?

植松 いやぁ、静かでしたね(笑)。「Distant Worlds」は海外のほうが回数は多いんですが、日本のかたはいい意味で礼儀正しくはあるんだけれど、喜んでもらえているのか、それとも「この曲は俺が聴きたい曲じゃない」と不満に思われているのかが分かりにくい。冒頭でもステージの上から言ったんですが、全然かしこまるコンサートじゃないんですよ。みなさんが大好きなゲームの音楽を聴きに来ているので、好きな曲が来たら叫んでくれると。変わった雰囲気のオーケストラコンサート、もっと観客がガヤガヤしているくらいのオーケストラコンサートも新しくていいんじゃないですかね。


▲感想や今後の構想を語る植松氏。

――100回までにいろいろな曲をやって来られましたが、これから新たにやっていきたいことはありますか?

植松 『FINAL FANTASY IX』に寸劇シーンがあって、劇自体はゲーム中では見せていないんですが、音楽が流れるところがあるんです。あれをそのまま劇にしたら面白いかな。
こういうシリーズで続けていくのもいいですし、もしかしたらオーケストラとバンドが一緒に演奏する曲が増えてもいいかもしれません。中には、弦楽四重奏のコーナーがあってもいいと思いますし、管四重奏のコーナーがあってもいい。ひとつのコンサートの中で、バリエーションはまだまだつけていけると思います。
僕のバンド(EARTHBOUND PAPAS)とも、いつかやろうと思ってるんですが、なかなか時間がかかっちゃうので(笑)。でも、いつかやってみたいと思っています。

――アーニーさんに、今回の選曲について、選ばれた基準があれば教えていただきたいのですが。

ロス いろいろな要素を考えました。まずは、2010年、2012年に日本ですでに演奏した曲目は何か。今回の演奏で記念するものがあるか。過去には『FINAL FANTASY VI』トリビュートをしたこともありますし、『FINAL FANTASY IX』を取り上げたこともありました。
コンサートを構成するときに、後半に中核となる“エピック”と呼ぶナンバーを必ず入れていますが、今回は「バトルメドレー2012」です。あの曲は、録音したときは「生で演奏することはないだろう」と思いましたが、これを今日できたことに、とても興奮しています。映像ともぴったり合いましたしね。
今回については、100回であること、日本で上演すること、そしてみなさんに新鮮に受け止めていただけるように、といったことを考えました。


▲上演を成功させ、上機嫌のロス氏。

――白鳥さんに、『FINAL FANTASY IX』で主題歌を歌われてから15年、今回改めてコンサートで歌われたお気持ちを伺いたいのですが。

白鳥 15年も経ったんだと思うと、本当に感慨深いものがあります。最初に歌わせていただいたときは15才若かったので(笑)、すんなり歌えたんですけれど、いまや還暦も過ぎた私が、あのときと同じキーで歌えるのかと思ったんですが、同じキーで歌えている私がすごく嬉しいし、こうして呼んでいただけたこともすごく嬉しいです。時を経て、あのとき植松さんから初めて楽曲をいただいた新鮮な気持ちが蘇ってきて、自分でも興奮しながら、すごく感動していたんです。今日はものすごく緊張しながら歌いましたが、明日(今後の公演)ではもう少しリラックスして歌いたいと思います。

植松 もうひとつ、もしお客さんに興味を持ってもらえるなら、僕は「VOICES」(編注:2006年に開催された、ボーカル楽曲で構成された『FINAL FANTASY』コンサート)の2をやりたい。歌モノだけで構成したプログラムを。

白鳥 早くやっていただかないと、私がどのくらい歌えるか分からないので(笑)。

植松 スクウェア・エニックスさんがご興味おありでしたら、よろしくお願いします(笑)。
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