学生たちにゲーム制作からリリースまでさせるというユニークな特別授業「TDG Game Project(以下、プロジェクト)」を行っている東京デザイナー学院。TAPPLIでもプロジェクトで制作している『リュースのぼうけん(以下、リュース)』と『Magmell』について紹介したが、その制作を担当した2チームのリーダーがこの3月で東京デザイナー学院を卒業するということで、講師の三鴨先生も合わせてお時間を頂戴し、プロジェクトの感想やゲーム作りに関してお話を伺ってきた。
場所: 東京デザイナー学院 公式サイト ⇒ http://www.tdg.ac.jp/
●TDG Game Projectのついての詳しいインタビューはコチラ!
ゲーム制作専門学校がゲームをリリース!? 東京デザイナー学院のユニークな授業に潜入インタビュー!
⇒ http://otakuindustry.biz/archives/997&cid=19
Game Project 公式サイト ⇒ http://www.xxxgameproject.com/
『リュースのぼうけん』がリリースされました! PlayStation(R)Mobileにて154円で販売中!
詳しくはコチラから⇒ http://www.jp.playstation.com/psn/psm/title/#!0451
▲左から中澤くん、三鴨先生、高橋くん(以下、敬称略)
――今日は一年間続いてきたプロジェクトに参加した感想などのお話を伺えればと思います。最初に簡単な自己紹介をお願いします。
高橋 今年の4月から株式会社Aimingに入社させていただきます高橋と申します。
中澤 今年の4月から株式会社ディンゴで働かせていただきます。中澤と申します。
三鴨 一年間、この授業の指導をした三鴨です。普段は開発会社でゲームプロデューサーをしています。
――今回のプロジェクトで担当された業務をそれぞれ教えください。
中澤 『リュースのぼうけん(以下、リュース)』を作ったチームLittle Humanでリーダー兼プランナーとして活動しました。
高橋 育成RPG『Magmell』でリーダーを担当しました。
各ゲームの詳しい紹介はコチラから!
【TDG Game Project】ゲーム制作専門学校生作!『リュースのぼうけん』『mag mell』の2タイトルがリリース間近!
⇒ http://otakuindustry.biz/archives/1290&cid=25
――お二人がリーダーになられた経緯を教えていただけますか。
中澤 紆余曲折ありましたが、僕は2代目のリーダーで初代のリーダーが東京ゲームショウ2014(以下、ゲームショウ)のあとまで、プロジェクトを続けるのが難しいというので引き継ぎました。
▲リュースを作成したチームLittle Humanのリーダー兼プランナーの中澤くん
――ゲームショウのあとからですか?
中澤 いえ、プロジェクトの開始から1~2ヵ月後経ったくらいに引き継ぎました。
――立候補ですか?
中澤 立候補ではなく、その時僕を含めて2年生のプランナーが2人と他が1年生だったので「やるなら2年生じゃないの?」ということでやることになりました。
――高橋くんはなぜリーダーになったのでしょうか?
高橋 もともとは黙々と仕事をするほうが好きなんですが、チームに2年生のプランナーが2人しかいなくて消去法で(笑)
一同:笑
――高橋くんはクールにズバっといってくれそうなのでリーダーに向いてそうですね。
高橋 いえ、ちょっとプレッシャーに弱いので(笑)
▲Magmellを作成したチームToy’s Kitchenのリーダー兼プランナーの高橋くん
――チームリーダーをやって良かった点と悪かった点を教えてもらえますか?
中澤 良かった点はチームの全体を見ながら、自分を中心にゲーム制作を進行させてもらえましたので、自分が作った作品ですといえるところだと思います。まだリリースはされていませんが(2015年3月時点です)。チーム全体を見ているので、おいしいところ獲りというわけではありませんが、各担当が喜んでいるところで自分も喜べるというのは良かったですね。結構わがままも通してもらいましたし(笑)。
――悪かった点はありますか?
中澤 ストレスが……。
一同:笑
中澤 一年間やり続けてきましたが、ずっと責任と戦わなくてはいけなくて……、ゲーム制作というのは本当にストレスがたまると実感しました。
――ストレスの原因はなんですか?
中澤 そうですねえ……。自分のふがいなさですかね。個人的な理由もあってチームメンバーにかなり迷惑をかけていたので……。
三鴨 リュースチームは一時期かなりギクシャクしていましたね。
中澤 これまでリーダーという経験がなかったので、どう振舞っていいかわからなかったのですが、本当にチームメンバーのおかげでなんとかここまでやってこられました。
――Magmellチームはいかがでしたか?
高橋 まあ……、いいところも悪いところも含めて、いい勉強をさせてもらったことが良かったと思います。
――一番良かった印象として残っていることはなんですか?
高橋 作り始めてから3~4ヶ月だと思うのですが、ゲームが初めて動いたときの感動ですね。思うように進まなくて、かなり遅くなってしまい、ゲームショウ前の時期になってしまいましたが、動いたのを見てからは「ここをこうしよう」とか、目的がはっきりしましたね。
悪いところはやっぱりストレスですかね(笑)。
――今の話を踏まえて、チームメンバーに伝えたいことはありますか?
中澤 まだリリースまでは出来ていませんが、文句を言ったり、僕がいたらないことばかりだったと思います。それでも一緒にやってきてくれたことには本当に感謝をしています。
高橋 途中で投げ出さずに、最後までやってくれたグラフィッカーや、今でも頑張ってくれているプログラマー、ゲームショウまで頑張ってくれたプランナー、みんなに感謝という気持ちしかないですね。
――次はゲームについて聞かせていただきます。それぞれのゲームのリリース予定を教えてください。
中澤 リュースの方はリリース申請が終わっていて、申請さえ通ればリリースというところまできました。目標としては3月中にはリリースしたいと思っています。
▲小人を使った謎解きやアクションが楽しいリュース。PlayStatin(R)Mobileで発売中!
高橋 そうですね。大方終わっていますが、まだ細かいところをプログラマーが頑張ってる最中です。目標は同じく3月中にリリースです。
▲美麗なモンスターのグラフィックにドット絵マップが新鮮!? 育成RPGのMagmell。
――ゲームを作っていて一番難しかったと思うことはなんですか?
高橋 最初にゲーム制作で想像していたこととは全然違って、人と人との関わりですね。自分と他人とで弱いところを補い合うのがゲーム制作だと思っていたのですが、自分たちが出来るものを作るというか、そういうのを丸められるように調整するのが大変だと思いました。
中澤 僕もやっぱり人との意思疎通に苦労しました。自分の考えていることを相手に伝えるときに、うまく伝えきれなくて、実際に出来上がったら違うものができてしまうことが多々ありました。本当に人にモノを伝えるのは難しいなと痛感しました。
――その辺りは三鴨先生に相談をしたりすることも多かったんですか。
三鴨 そうですね。基本的には生徒たちに任せていたんですが、学生たちの普段の連絡はLINEを使っていますが、そこで行き違いが起こり険悪な雰囲気になる時もあるんですよね。そんな時には仲介に入って、目的と結果を双方で間違いないことを確認して初めて伝えたことになるんだよと、そういった調整はしていました。
中澤 毎週いわれてましたね。
――(ゲーム会社に入ったら)これからも毎週続きますよ
中澤 毎日かもしれません(笑)。
――次はこれから発売するゲームをたくさんの人たちに遊んで欲しいと願っていると思いますが、その方たちにゲームのPRをお願いします。
高橋 Magmellにはドラゴンが登場するんですが、そのドラゴンを育成して育っていく過程を楽しんで欲しいです。
――私もドラゴンは大好物です(笑)
中澤 チーム名にもなっていますが、小人がウリのアクションゲームなので、小人の動きを楽しんで欲しいですね。
――ゲームショウのときは小人がたくさん出ていましたが、その後問題があって小人が出る数が減ったと聞きましたが?
中澤 はい。無制限から5匹くらいと大幅に減りました……。それでも作るのにも苦労しましたし、こだわった部分でもあるので、ぜひぜひ遊んでみて欲しいです。
三鴨 Unityで開発したことで、小人を大量に出したときの処理が重くなってしまったみたいです。これが、社会に出て経験を積んでC+(プログラム言語)などを覚えていくと、リュースが、なぜ重くなってしまったのかといったこともわかってもらえるようになると思います。
――三鴨先生が、今回のプロジェクトで作られた2つのゲームの企画を聞いたときに、方向修正などのアドバイスはされたんですか?
三鴨 会社に入ると好きにゲームが作れなくなるので、ここではあえて自由に作らせています。学生から出される最初の企画を見た時に「これはどうなの?」と思うことも多々ありますが、もしかしたら、それが今までにない“おもしろさ”を生むんじゃないかという期待もあって、アドバイスは技術的なものにとどめて、素のアイデアで進めさせています。
――それぞれのゲームが動いたときに「おぉっ!」と思った瞬間などはありますか。
三鴨 リュースに関しては、小人がぞろぞろと出てきたときに「おおぉっ!」っと思いましたね(笑)。10匹くらい出てくるとやっぱり画面がにぎやかなんです。結局、5匹になってしまいましたが……(笑)。
それでも、小人を投げる角度が調節できるようになったときに「ああ、これはこれで戦略性があっておもしろいな」と感じましたね。
――Magmellに関してはいかがですか?
三鴨 かなりグラフィックに力を入れていたので、色んなモンスターの絵を見たときに「いいな」と思ったのと、ある日突然マップを見たらドット絵になってまして(笑)。あれはなんでああなったの?
高橋 あれは……、もともと一枚絵で出していたんですが、歩けるところと歩けないところの差別化に躓いてしまったのと、容量の問題でドットにしたほうが軽量化できると考えて実行しました。
三鴨 そのドット絵の風景が、私が子供の頃のRPGと重なってビックリしてしまって、なんでこんなになっちゃったの!? って(笑)。でも、そのギャップがなんだか不思議な感じがするんですよ。ドット絵のマップで(敵モンスターと)エンカウントしてこの戦闘画面なんだ。って(笑)
その感覚がおもしろいですね。彼らのなかでは、これが新しいのかも? って。
――以前うかがったときに、ちょうどそのドット絵を描く作業をしていたんですけど、今までやったことがないから勉強しながらだと学生さんたちがいっていましたね。それでやれてしまうのがすごいです。Goサインはリーダーの高橋くんが出したんですか?
高橋 そうですね。本当にやってくれました(笑)。
三鴨 私たちの頃は、ドット絵っていうのはそれこそ容量を抑えるために苦肉の策として使っていたんですが、今の子たちには逆に新しかったり、かわいいと感じたりして、ひとつの表現方法なんですよね。
――次はプロジェクトに関してお伺いしたいのですが、プロジェクトは土曜日に行われる特別授業だとお伺いしていましたが、普段の授業と違う点はなんですか?
中澤 どっちもゲームを作る授業ですが、やっぱり一番違うのは作ったゲームを販売まで持っていくという点でしょうか。普段の授業だと各タイミングで、個人として発表したら終わりというか、それでモチベーションが下がることもあるんです。このプロジェクトではリリースが最終的な目標と最初からいわれているので、そこまでは気が抜けないですね。
――どっちがおもしろいですか?
中澤 どっちもツライです(笑)
一同:笑
高橋 普段の授業だと、企画書を作る授業は企画書、仕様書を作るのは仕様書と作るものが決まっているんです。このプロジェクトではそれを通してやらなければならないところが実戦的ですね。経験がないので間違ったまま進めてしまうこともあるんですが、そこは三鴨先生に正していただいて、業務の流れをトータルに経験ができるのが有意義だと感じています。
どちらがおもしろいかというと、僕は色んな企画を練るのが好きなので、企画ばかりやっているのもおもしろいですが、プロジェクトではその企画を発展させて形にするという別のおもしろさがあります。どっちもおもしろいと思いました。
三鴨 時間が限られていたので、3人で空いた時間もスカイプを使ったリーダー会議もしていました。それで進捗の確認やこれからのことなんかを話あってましたね。
高橋 そのリーダー会議でグチのいい合いもしたりして(笑)
中澤 当然ですが、メンバーが違うので得意な分野も違うじゃないですか。それでお互いにどうしてる? といったような相談が出来たのはすごく助かりました。
◆TDG Game Projectの一年を振り返って
三鴨 最初の何もわからないときに集められて「ゲーム作って」って言われたときの気持ちって実際どうなの?
高橋 実は、僕はその日、アルバイトでプロジェクトの授業を休んでいたので、戻ってきたらRPGを作ることになっていました(笑)。
▲びっしりとアイデアが書き込まれたホワイトボード。これから作るゲームの企画出し?
――じゃ、もし授業に出席していたらリュースチームに入っていましたか?
高橋 う~ん……僕は流されやすいんでわかりません(笑)。
中澤 僕は、その授業のちょっと前に開催されたゲームジャムで最優秀賞を獲ったんですよ。今思うとメンバーに恵まれただけですが(笑)。それで、自信に満ち溢れていて「なんでもできる!」と思っていました。でも、実際は……。
三鴨 舐めてたよね(笑)。ゲームショウに向けてゲームを作っていて、もう駄目かもって思った瞬間ってある?
中澤 紆余曲折あってリーダーになったというお話をしましたが、それまで10人規模のグループのリーダーをやった経験がなかったんです。それで、自信満々で臨んだはずの最初の会議から自分のやりたいことを全員にわかるように伝えられなくて……。すごいストレスで、いきなり駄目だと思いました。
――早くないですか?(笑)
中澤 それでチーム崩壊寸前まで行きましたね(笑)。
▲授業でのプレゼンの様子。学生たちのゲームに対する真剣な雰囲気が伝わってくるようだ。
三鴨 そのときはチームメンバーからも不平不満が上がっていましたが、中澤がきちんとメンバーに謝罪することでおさまりました。私も全員に聞き取り調査を行なっていましたが、彼が自分で腹をくくって謝罪が出来たからこそ解決したと思っています。あの時は立派だと思いました。
――揉まれてますね~(笑)。高橋くんは「逃げ出したい!」と思った瞬間っていうのはありますか?
高橋 そうですね。そういう時は携帯の電源を切って……。
一同:(笑)
高橋 基本的な連絡はLINEでやっていたので、もうLINEの着信音が嫌いになりました(笑)。
中澤 俺もあれ大っ嫌い(笑)
高橋 僕は眠りが浅いせいか、着信音で起こされるんです。それで見てみると問題が起きているという……。だからもう起きてから全部やることにして、それ以来寝るときは携帯は切ることにしました。
――バッサリいきますね。(笑)
三鴨 リュースの方はメンバー同志でぶつかり合って、ケンカという形で出てくるので、それを解決すればよかったんですが、Magmellの方は遠慮がちな子が多くてなかなか思っていることがいえなかったんですよね。ずっとそういう状態が続いていたので、黙々と作業はするんですけど、自分たちが作っているものへの情熱というか、そういう熱量が見えなかったので不安でしたね。
――Magmellのメンバーはその状態が解決するきっかけみたいなものはあったんですか?
高橋 うーん、あまり今でも変わってないかもしれないですね。
――そうしたら結構ガマンしていることが今でもあるんじゃないですか?
高橋 うーん……、いや、僕はないですよ(笑)
一同:笑
――そのあとゲームショウに出展するわけですが、三鴨先生としては「よしよし、なんとか間に合ったな」という感じだったんですか?
三鴨・中澤 いや、間に合ってないですよ。
――2人でいいましたね(笑)
三鴨 過去2年の作品が順調だったので、今回は正直グレードダウンいうか、かなり中途半端な状態になってしまいました。一年生が多かったというのも要因のひとつですが……。それでも一般の方たちに見てもらうというか、人の目に晒すことに意味があるのかなと。
――ゲームショウで思い出といえば何かありますか?
高橋 ゲームショウとは関係ないかもしれないですが、それまで僕は腰痛に悩まされていたんですが、それがゲームショウが終わったら消えたんですよね。で「あ、これストレスだったんだ」と(笑)
中澤 子供から大人の方まで、幅広いユーザーの方々にゲームを触ってもらえたのが良かったなと、それがそのあとの改修にも結びつきましたしね。
――僕らもゲームショウで中澤くんに教えてもらいながらリュースをプレイしましたが覚えていますか?
中澤 すいません、覚えてないです(笑)
――一杯一杯だったんですね(笑)。リュースもMagmellもゲームショウ後に大きな改修を加えてましたね。
高橋 はい。Magmellは詰め込みすぎたというか、今のメンバーでちゃんと完成まで持っていけるように仕様を組みなおしました。
――それはゲームショウの会場でユーザーの意見を聞いての方向転換ですか?
高橋 というのもありますが、自分で全然納得できない状態で出してしまっていたので、メンバーで話合って、どういったものならば完成出来るのかということを徹底的に話しました。
中澤 リュースは、アンケートで小人の絵がかわいかったといったプラスの意見はいただいていたんですが、同じくらいに操作性が悪いというマイナスの意見も多くて、そこはかなりメンバー間で話合いました。
三鴨 ゲームショウで一般の方たちと触れ合った結果だと思うんですが、それから生徒たちの心構えが変わったと思います。お互いに駄目だと思うところを意見としていうようになったり、積極性が出てきました。それだけでも出展した意味はあったと思いました。
――そして大改修を経て、現在のリリースの時期になったんですね。
▲ゲームショウ後に気になる点を洗い出しての総改修! ゲーム制作の道のりは険しい……。
◆仕事としてのゲーム制作の階段を一段上がらせるのが目的です
――プロジェクトを経てゲーム制作への考え方が変わったと思いますが、どう変わりましたか?
高橋 僕の視点からの話になってしまいますが、チームでのゲーム制作のリーダーを経験して、プランナーはもっとしっかりしないと駄目だなと。みんなの意見を聞くのは大切なので加減は難しいのですが、聞きすぎるのは駄目で、自分で決めるってことが大事だと考えるようになりました。
中澤 僕もプランナー視点の話になるんですが、今回のチームでは1年生も多くて、今までの2年生で組んだチームなら出来たことが出来ないということがありました。今考えると経験が少ないので当たり前ですが、そういう時の立ち回りというか、相手に合わせて仕様を組んだりすることがすごく重要だと思うようになりました。
三鴨 そういった人とのコミュニケーションは経験をして初めてわかることなので、このプロジェクトで教えたいことのひとつです。まんまと学んでくれましたね(笑)
――今後プロジェクトに関わる後輩たちにひとことずつお願いします。
中澤 甘くないよってことですかね(笑)。100やりたいことの10が出来れば御の字だからそのつもりで!
高橋 こればかりはやってみた方が早いと思うので、好きなことやればいいよといいます。そして、トラウマになるくらい失敗すればいいよと(笑)
――厳しいですね(笑)
高橋 それでストレスで腰痛になればいいんですよ(笑)。でも、貴重な経験ができるのは間違いないので、プロジェクトに参加する価値はありますよ。
――三鴨先生はいかがですか?
三鴨 2人がいっていた通りですが、社会に出て経験する前に、(ゲーム制作という仕事の)階段を一段上がらせてあげようというのがこのプロジェクトの趣旨です。たかが一段ですが、その一段を上がることで視野がぐっと広がって、社会に出てから必ず役に立つと思います。
高橋 そうですね。一年間かけてその一段に挑戦していますが、リリースするところまでを想定すると責任を感じるので、普段の授業にはない緊張感があります。それが経験できるのは大きいですね。
――おふた方がこれから入社される会社ではどのような職に就かれますか。
中澤 僕はアシスタントディレクターです。
高橋 僕は運営プランナーです。
――プロジェクトで活動していたことを入社する会社の方々は知っていますか。
中澤 面接のときにどんなゲームをどう進行して作ったかを聞かれました。
――プロジェクトの反応はいいですか?
高橋 そうですね。やっぱり現場作業に近い活動なので、興味を持ってもらえました。
――最後にこれから社会に出てやりたいことなどを伺ってもいいですか。
中澤 いつかディレクターとして活躍できるように、しっかり経験を積んでスキルを磨いていきたいと思います。
高橋 やりたいことというよりは、自分がどうなっていくかが楽しみです。色んな経験が出来ると思いますが、何にでも挑戦して吸収していきたいと思います。
――これからゲーム業界に入るおふたりに三鴨先生からもひとことお願いします。
三鴨 2人は本当に頑張ったと思います。この授業に参加する条件は「最後まで投げださない」というひとつだけですが、2人とも責任のあるリーダーをいきなり任されたにも関わらず最後までやり遂げたというのは、それだけですごいことだと思います。
私は「経験こそが宝物」だと思っています。
私が大学時代にやった制作活動や学園祭実行委員の経験が、今の仕事に活きているように、この先のゲーム業界での活動でプロジェクトの経験が役立つ瞬間が必ず来ると思います。
その時にこの「ゲーム制作」で学んだことを思い出して乗り越えていって頂ければ嬉しいです。
そして、これまでは先生と生徒でしたが、これからはゲーム業界の先輩と後輩になるので、これからもよろしくお願いします。
――みなさんの活躍をこれからも楽しみにしています。ありがとうございました。
▲2年生たちの卒業式の風景。元気のある学生たちが持つ夢と希望と不安が見えるようないい式でした!
▲プロジェクトに参加した学生たちの記念撮影。卒業証書が誇らしげです。
◆取材を終わって
2014年11月に開催されたゲームショウでプロジェクトの存在を知って以来、数回に渡り彼らの取材を行ってきた。プロジェクトの趣旨としては、学生たちにゲーム制作ビジネスの入り口を体験させるのが目的だが、今回のインタビューでは技術の話ではなく、技術以外のチームメンバーや先生とのコミュニケーションの話題がメインとなった。
確かにゲームを作るのに技術は必要だが、時にはそれよりも大事なことがあるということを学生たちは気づいていたのだ。特にリーダーをつとめた2人は、チームの運用をする立場だっただけに、様々な思いがあったに違いない。それを乗り越えて、一年間のプロジェクトをやり遂げたというだけでも、大きな価値があるように思える。
また、取材をしていて印象的だったのは、学生たちがゲーム制作を進めている過程で、授業では教わっていない未知の技術に挑戦している場面を何度か見かけたことだ。このプロジェクトでは、ゲームを好きに作る技術だけでなく、好きなゲームを作るための技術にも自由に挑戦できる場となっていて、学生たちがその挑戦にやりがいを感じていたことは間違いないだろう。昨今の著しい技術の進歩に負けないためにも、自分から学んでいく姿勢を身につけるのは、ゲーム業界で生き残るために必要な要素のひとつだ。
今後、このプロジェクトの活動が広まり、より多くの学生たちの挑戦の場となっていくことを期待したい。
◆東京デザイナー学院からのお知らせ ~ ゲームに関するあらゆるプロフェッショナルを目指して ~
「TDG Game Project」を展開する東京デザイナー学院、ゲームクリエイター科は、平成28年度より姉妹校である東京ネットウエイブと統合し、プロのゲームクリエイターを目指すための新しい学校へと生まれ変わります。
東京ネットウエイブでは、名前を“ゲーム総合学科”と改め、従来から学べる分野であるイラスト・3DCG・プログラマー・プランナーに加えて、ムービー・サウンド、ゲームライターコース、ゲーム実況コースなど、ゲームに関わるすべてが学べるよう、より環境が充実します。平成28年度から入学を検討している方は、東京ネットウエイブのサイトやオープンキャンパス情報をチェックしてください。
東京デザイナー学院ではイラストレーション科のゲームイラスト専攻で2Dグラフィッカーの育成を引き続き行います。ゲームを含めた幅広いデザインに興味をお持ちの方は、東京デザイナー学院のサイトやオープンキャンパス情報をチェックしてください。
公式サイト&オープンキャンパス情報
東京ネットウエイブ公式サイト ⇒ http://www.tnw.ac.jp/
東京ネットウエイブ4・5月オープンキャンパス情報 ⇒ http://www.tnw.ac.jp/oc/
東京デザイナー学院(TDG)公式サイト ⇒ http://www.tdg.ac.jp/
東京デザイナー学院4・5月オープンキャンパス情報 ⇒ http://www.tdg.ac.jp/opencampus0304/