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【Ingress珍ポータル】とみさわ昭仁の 珍ポータル紀行・第2回珍ポ求めて静岡県へ! 東海道ブックオフめぐり(前編)

 今回はちょっと遠くまで行ってきた。静岡県です。ぼくはフリーライターのほかに神保町で古本屋も営んでるわけだけど、普通の古本屋じゃないのでお客様からの買取りをしていない。自分の足で日本全国の古本屋さんをまわって、我が店に並べるのにふさわしいヘンな本を集めてくるのです。

 狙うのはブックオフの108円コーナー。もちろん108円で叩き売られているぐらいだから、そこに並んでいるのはほとんどがベストセラーなどの、はっきり言ってしまえば“市場にダブついている本”。でも、そんな中にいい味わいの本が混じっていることがあるんだな。これを発掘するのがたまらない快感なのね。そして、この行為自体が、無数のポータルの中から「珍ポータル」を見つけ出す遊びとも重なってくるわけです。

◆五十音集めにヌカよろこびする

 ぼくの古本仕入れツアーは、その目的地によって交通機関の利用方法が3つに分かれる。

1)都内近郊の場合は、電車やバスなどの「公共交通機関+徒歩」で。
2)やや遠い場合は、自宅からそのまま「マイカー」で。
3)大阪や京都など遠距離の場合は、「公共交通機関+レンタカー」となる。

 で、今回は静岡県なので2番を選択した。3月の上旬、まだうすら寒い早朝にマイカーで家を出発する。クルマでの移動だと、どれだけたくさん本を買っても、そのまま積んで帰って来れるので都合がいい。

 ただ、ひとつ問題があるのは、クルマの運転中は『Ingress』を起動するどころか、スマホの画面さえも原則として見てはいけないということ。そうした行為は道路交通法の罰則対象だし、なによりも危険。だから、クルマ移動中の沿道にどれだけ素敵な「珍ポ」があっても、クルマを停められない状況ならばそれは無視しなけりゃならない。

 したがって、クルマ移動でスキャナーを起動していいのは、高速道路なら休憩のためサービスエリアにクルマを停めたときだけ。一般道も古本屋やレコード屋、あるいは食事のためにクルマを停めたときだけと決めている。信号待ちのときについ見たくなっちゃうけど、それを許すと歯止めが利かなくなっちゃうので絶対ダメ。そういうルールにしている。

 というわけで、我が家のある千葉県松戸市から国道6号線を下ること1時間。がんばって6時起きしたけど、どうしても朝の渋滞にハマっちゃうのよねー。ようやく四つ木インターから首都高速環状線に乗ったときには、すでに1時間以上も経過していた……。 

 なんとか首都高を抜け東名高速道路に入る。ここまで来れば、あとは早い。あっという間に港北パーキングエリア(PA)まで来て、ようやく休憩が入れられる。
 ここで昼メシにご当地っぽいラーメンを1杯食べたんだけど、これは失敗麺だったので省略。わざわざ名前を出してケナすことないもんね。食後のトイレを済ませ、外に出ておもむろにスキャナーを起動させてみると……いきなり「ガリ子」という奇妙なポータルを発見。


▲東名高速港北PA(下り)で見つけた「ガリ子」

なんだこりゃ? と思ってガリ子の現物を探してみたんだけど、ここのPAは敷地がえらく広くてガリ子が見つけられず、ポータル画像のスクリーンショットを撮ることしかできなかった。そして、さらに何かないかと周囲をスキャンしてみると、もうひとつヘンな人形が。

 そして、さらに何かないかと周囲をスキャンしてみると、またヘンな人形があった。


▲東名高速足柄SA(下り)で見つけた「ウ」

 ウ……?

 これもガリ子同様に見つからないのでスクショだけ。で、あとで調べてみたところ、これらは本当はもう少し先の足柄サービスエリアにあるやつで、フジテレビ『めちゃイケ』のタイアップキャラクターだったのね。それがGPSのズレか何か理由はわからないけど、スキャニング範囲に入ってきたようだ。

※編注:『Ingress』は、位置を測定するのにGPSとWi-Fiの位置情報を利用しています。公共のWi-Fiを使って位置検出がされた場合、まれに、その公共Wi-Fiのネットワーク構成によって、まったく違う場所が表示されることがあります。
 今回のとみさわさんはまさにそのトワイライトゾーンに飲みこまれてしまった格好で、神奈川県横浜市にある港北PAにいながら、76km先の足柄SAのポータルを見てしまったわけです(とみさわさんは足柄SAには立ち寄っていないそうです)。
 考えようによってはまったく行ってない場所のポータルにアクセスできてラッキー! なのですが、場合によってはこの行為はペナルティ対象となり、数時間Hackができなくなったりするそうです。公共のWi-Fiで別の位置が表示されたときは、ご注意ください。

 で、この「ウ」は珍キャラポータルでもあるけど、実は珍ポハンターにとっては別の重要な意味もある。何かというと、「五十音集め」である。
 珍ポの中には、ときどきこうした平仮名(もしくは片仮名)ひと文字のポータルがある。これを五十音の「あ」から「ん」まで全部集めるという野望を、ぼくは秘かに抱いているのだ。なので、足柄SAの駐車場でスマホを覗き込みながら「また一文字埋まったー!」とガッツポーズを決めたわけだが……帰宅して五十音の珍ポ画像をまとめたフォルダーを見たところ、こうなっていた。


▲すでに「う」は持っていたー!

 ガッカリである。まだ3文字しか持ってないというのに、すでにダブり発生。こりゃ五十音すべてを集めるのはイバラの道ですなあ。

◆いいツラ構えのブックオフを発見する

 ご存知の方もいるかもしれないが、地方のロードサイドにあるブックオフというのは、ヘンな形をした店舗が多い。これは、業種を問わず他店が撤退したあとの物件をそのまま居抜きで借りて出店しているためだ。改装費をかけなくとも、おなじみの三色に塗るだけでブックオフらしさは出せる。そうやって、低コストで支店数を増やしてきたのがブックオフなのだ。地方へ仕入れツアーに出かけたときは、こうした変わった形のブックオフを見つけるのも楽しみのひとつ。

 と、ブックオフうんちくを語っているうちに、静岡インターまでやってきた。ここで高速を降り、10分もしないうちに最初のブックオフが見えてきた。その「ブックオフ静岡産業館西通り店」は……こんな形をしていた!


▲黄色い矢印をふたつ合わせたような外観の「ブックオフ静岡産業館西通り店」。いいわー。

 などと、いつまでも形に見とれていてもしょうがない。写真を撮ったら即座に入店し、108円コーナーをチェックする。ここでは4冊ほど本を仕入れて、すぐに次の目的地へ移動する。仕入れの旅は忙しいのだ。

 おっと、クルマのエンジンをかける前に周囲のポータルをチェックしてみなければ。画面内にあるポータルをひとつずつタッチして、どんなものかを確認する。すると、ちょっとおもしろいポータルがあった。


▲「県営住宅有明団地」セメントかコンクリを利用して顔を描いたオブジェ。子供の作品だろうか。

 続いて向かった2軒目は「ブックオフ静岡馬渕店」。ここでは、こんないい本を見つけた。


▲『酒井法子のやっピーBOOK』。うちの店のアイドル本コーナーは80年代のものまで、と決めている。だからAKBもハロプロもない。

 さて、ブックオフめぐりもいいが、地方へ古本の仕入れ旅行に出かけたついでに、その土地の中古レコード屋を見てまわるのも、ぼくにとっては何よりのお楽しみである。そして、この世には『レコード+CDマップ』という日本全国の中古盤屋さんが掲載された実に便利な本がある。出発前にこいつで、目的地にはどんな中古盤屋さんがあるかを調べておくのだ。

 まず1軒目は、静岡市の葵区にある「Sound Kitchen」という店。そこではこんなものを買った。


▲山城新伍とせんだみつおのレコード。せんだのB面『もしかして』がジルバ+ロックンロールでなかなかいい。探してたんだ、これ。

 同じ葵区にはもう1軒中古盤屋がある。徒歩移動でそこへ向かう途中、珍ポータルをふたつ見つけた。


▲「わさび漬け発祥の地碑」。これらの発祥の地シリーズは全国各地にあって、なかなか集め甲斐がある。


▲「奥歯君」。こちらはマスコット系。こんなに可愛ければ奥歯抜かれるのも怖くない!

 その後、中古盤屋を1軒、ブックオフを3軒まわっていろいろと仕入れる。最後に訪問した「ブックオフ藤枝店」では、本日最高の収穫とも言ってよい本を見つけた。

 これです。


▲戸塚ヨットスクール校長、戸塚宏の『私が直す!』(帯付き美品)。

 愛甲猛の『球界の野良犬』もかなりいい味出しているが、やはり『私が直す!』にはかなわない。この本は過去に1冊だけ仕入れることが出来て、それなりの値段を付けて店に並べておいたらすぐに売れてしまった。だから、うちの店の看板商品としてまた仕入れたかったのね。これが手に入っただけでも、今回、静岡まで来た甲斐があるというもの!

 といったところで日が暮れて、今夜の宿へ向かう。ホテルは藤枝市内にあるなんの変哲もないビジネスホテルを予約してある。たかだか古本の仕入れだから、そういうところは可能なかぎり節約するの。そして、この日はホテルのすぐそばで見つけた小料理屋で、静岡おでんを肴に土地の酒で酔わせていただいたのだった。

 次回(後編)へ続く!

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