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【Ingress珍ポータル】とみさわ昭仁の 珍ポータル紀行・第8回 大阪から電車に乗って神戸へ。詩集と魔窟と珍ポ探しの旅

 前回までのあらすじ。夜行バスで一睡も出来ないまま大阪にやって来た珍ポータルおじさんは、大好物のうどん(210円)を食べるとJRに飛び乗り、神戸へ移動した。六甲アイランドでは魅惑の珍ポータルに出迎えられ、ようやく本来の目的地へと向かったのだった。

◆超絶! エンタープライズな美術館

 今回、神戸に来た目的は、六甲アイランドにある「神戸ファッション美術館」だ。友人の付き合いで、ここで開催されている「超絶刺繍 II」という展示を見に来たのだ。正直ぼくは刺繍のことなんてよくわからないけど、タイトルに「超絶」と付いてるところに心惹かれた。どんな分野であれ、極端なものに魅せられてしまうのだ。

 で、館内に入る前に、まずこの神戸ファッション美術館の建物を見上げてみて、たいへんに度肝を抜かれた。なんという形だ!


▲エンタープライズ号が停泊してるのかと思った。

「超絶刺繍」というのはどんなものか。展示の解説文を要約すると、「京都祇園祭長崎くんちでの長刀鉾を飾る豪華な懸装品や長崎刺繍、さらに18世紀ロココ時代のヨーロッパ宮廷で着用された絢爛豪華な衣装類、20世紀初頭よりパリを彩ったオートクチュールのドレス」といったものの刺繍が展示されているということだ。


▲このポスターにコラージュされているのも絵じゃなくて全部刺繍。

 いやーすごかったなあ。神戸での展示はもう終わっちゃったけど、皆さんも機会があったら見るといいね。

 さて、六甲アイランドには銅像やオブジェがたくさんあり、ということはポータルも当然のごとく豊富にある。『Ingress』的にはとても盛り上がる場所なわけだ。しかし、珍ポータル・エージェントには関係のない話である。ざっと見渡したところ、前回の「乳ポータル」を越えるようなものは見当たらなかった。

◆古本とばかうま餃子とちんき堂

 さて、六甲から三宮へ出て、しばらく町を散策する。まあ、散策といってもぼくの場合は、古本屋とか中古レコード屋をハシゴするだけなんだけどね。

 アーケードをぶらぶらしていると、あかつき書房があった。ここは以前、古本仲間と来たときにも寄った店だ。小ぢんまりとしていながら、状態のいい本がきちんと並べられた良店だ。しかしながら、そういう良店にはぼくが欲しくなるような本はないのがいつものことなので、軽く棚を眺めるだけで退散する。


▲お洒落な外観だけど、店頭のワゴンに歴史がにじみ出ている。

 アーケードを三宮から元町方向へ進む。ふと見あげると、ブックオフの看板が。ここも、以前、神戸に来たときに立ち寄っているのだが、そのときは店内リニューアル中だったかで、入店は出来なかった。そのリベンジというわけではないが、今回はじっくりと棚を拝見させてもらった。


▲クルマで来ているわけではないので、荷物にならないよう2冊ほど購入。

 元町の近くまで来たところで休憩にしよう。なんとなく店頭の見本がうまそうだったので選んだ中華屋で餃子とビール。正確には「三宮セット」というもので、焼餃子8ヶと唐揚げ2ヶと枝豆に生ビールが付いて900円。


▲安いだけでなく、この餃子がどえらくうまい!

 連れが頼んだ炒飯セットも春巻も何もかもうまかった。ひょっとするとこの店って有名なんじゃないの? と、あとで調べたら、ここは「三宮一貫楼 本店」といって、老舗の名店だった。神戸イチの豚まんを出す店でもあったが、春巻で満腹して食えなかったなあ。

 その後、コレクターとしても古書店主としても尊敬している戸川昌士さんの店「ちんき堂」に顔を出して、久方ぶりのご挨拶をする。もちろん、ぼくの好きそうな本やレコードをいろいろ取り揃えている店なので、買い物もしっかり。


▲キング・テリーこと湯村輝彦さんの看板絵が目印。

◆モトコーでタイムスリップを味わう

 今回、友人の希望する「超絶刺繍」に付き合って神戸まで来たわけだが、そのかわりに、今度はぼくの希望で元町の魔窟「モトコー商店街」に友人を付き合わせた。モトコー商店街とは、正確には「元町高架通商店街」といって、JR神戸駅と元町駅をつなぐ高架下に連なる商店街のことだ。


▲神戸駅の側から入るとこんな感じ。

 以前はもっとアメ横並みに栄えていたそうだが、1995年に発生した阪神・淡路大震災の影響で、大半が店を閉めてしまった。それでもまだ、昭和から時間が止まったままのような店がいくつも残っていて、何度訪ねても不思議な気持ちになる。


▲ワープロ専門店。2015年に撮影したとは思えない絵面!

 ベルトのバックルだけを扱った店、レコードが山積みになった中古レコード店、テレビを録画したVHSテープを売る店、コンバースのバスケットシューズが棚という棚に積み上がった靴屋など、ウィンドーショッピングならぬ“地層ショッピング”をたっぷり楽しんだ。

 モトコーを抜ければ、元町へ戻ってきたことになる。そこから道を北上して、新神戸の駅へ向かう。珍ポータルはあまり採取できなかったけれど、最後におめでたいポータルがあったので記念にスクリーンショットを撮っておこう。


▲鯛の背中に団子がのったような彫像の「Medetai」。

「1990年 MASAYUKI NAGARE作」とあるね。あとで調べたら(この連載は「あとで調べたら」が多い)、流政之という彫刻家の作品だった。珍ポータル集めは、ポータルの現物を観測することは重視しておらず、あくまでも『Ingress』内でのスクリーンショットさえ撮れればそれでいいというスタンスでやっている。

 でも、これはすぐに現物が見つかったので、旅の終わりの記念写真を撮ってみた。さよなら神戸!


▲我ながらいい笑顔!(ほろ酔いなので)
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