中国最大級のテレビゲームイベント、Chinajoy2015（以下、チャイナジョイ）が7月30日に上海で開幕した（8月2日まで）。今年で13回目を迎える本イベントは、中国の主だったゲームパブリッシャーがそろい踏みするもので、昨年に引き続いてソニー・コンピュータエンタテインメント（以下、SCE）とマイクロソフトもブースを出展。PS4とXbox Oneに加えて、SCEブースではVRデバイスのProject Morpheusも出展され、大きな注目を集めていた。
チャイナジョイは一般ユーザー向けにデモやイベントなどを行うB2Cエリアと、業界関係者向けに商談機能を提示するB2Bエリアに分かれており、2014年度は4日間で25万人の集客を数えた。これは東京ゲームショウ2014の入場者数に匹敵する来場者数で、うち5万人がB2Bエリアの来場者だ。このようにチャイナジョイはファンイベントだけでなく、東アジアのゲームビジネスにおいても大きな影響力を持っていることがわかる。
カンファレンス機能が充実している点もチャイナジョイの特徴だ。会期中に「CDEC（チャイナデジタルエンタテインメントコングレス）」「CGDC（チャイナゲームデベロップメントカンファレンス）」「CGBC（チャイナゲームビジネスカンファレンス）」「WMGC（ワールドモバイルゲームカンファレンス＆エキスポ）」という4つの会議が開催されている。なおCGBCには『TENGAMI』の作者である東江亮氏や、Unreal Engineの生みの親として有名なティム・スィーニー氏も登壇する。
さて、今年のチャイナジョイの特徴はおおきく2点があげられる。ひとつめは家庭用ゲーム機の本格出展だ。冒頭にも述べたように、SCEとマイクロソフトが昨年にもまして力を入れ、家庭用ゲーム機をプッシュしてきた。2014年9月29日にXbox One、2015年3月20日にPS4とPS Vitaの発売が中国全土で始まったことを受けてのことだ。SCEはオープニングイベントにアンドリュー・ハウスCEOが登壇。虎の子のProject Morpheusを8台出展するなど、並々ならぬ力の入れようが感じられた。
これに対してマイクロソフトは『Halo 5: Guardians』や新型キネクトのデモなどで中国ユーザーを惹きつけていた。さらに、両陣営共に中国ディベロッパーの囲い込みに余念がなく、PC版のMMORPGなどを家庭用ゲーム向けに移植展開してもらうなどの施策が目立った。現世代機からは家庭用ゲーム機でもF2Pタイトルが一般的になっており、アーキテクチャもPCに近しいため、中国のディベロッパーも参入が容易になっている。今後PCから家庭用への流れがどのように進むかに期待したいところだ。
もうひとつの特徴はモバイル（スマホ）ゲームの拡大だ。昨年より設けられたWMGC向けの専用スペース（WMGCエキスポ）が今年も開催され、モバイルゲーム向けの商談が数多く繰り広げられた。一方でBC2エリアにも中国大手のスネイルゲームがスネイルゲーム・モバイルとしてモバイル専用のブースを出展。スーパーセル・ロビオ・EA・ビッグフィッシュなど名だたる欧米パブリッシャーからタイトル供給を受けるKONLUN.comも、『アングリーバード2』をいち早くプレイアブル出展していた。
もちろん伝統的なPCオンラインゲームも非常に活気がある。モバイルゲーム市場がコンソールゲーム市場を完全に凌駕した日本と異なり、中国はいまだPCオンラインゲームが市場の約半数を占めている（残りをブラウザゲームとモバイルゲームが分け合い、ソーシャルゲーム（ここではSNS上でプレイするゲーム）が数パーセントというイメージ）。会場もほとんどのブースがPCオンラインゲームだ。ロジクール、NVIDIAも巨大ブースを設営。eSprotsで有名なWorld Cyber Arenaもプロゲーマーのエキシビションマッチを行い、多くの来場者を集めていた。
一方でチャイナジョイ名物といえば、露出度が高めのコスチュームをまとったコンパニオンたち。あまりに際どい服装に昨年、異例の「露出度規制」が行われため、今年は衣装の方向転換が行われた。露出度を競うのではなく、可愛らしさをアピールするものが増えたのだ。写真を撮るのも撮られるも好きなお国柄だけに、男性客だけでなく女性客も高価なデジカメを構えて、会場で写真を撮りまくる姿が見られた。また恒例のコスプレ大会も盛り上がり、来場者はさまざまなスタイルでチャイナジョイを楽しんでいた。
