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【Ingress情報局・TAPPLI支部】とみさわ昭仁の 珍ポータル紀行・第9回 夏のロマ弁、江の島で珍ポータルを探す

 毎年1月に飲み仲間とやっている「ロマ弁」という遊びがある。簡単に言うと、電車(ロマンスカー)の中で駅弁を食うというただそれだけのことだが、これがすこぶる楽しい。そもそもは、新宿京王百貨店が毎年開催している「元祖有名駅弁と全国うまいもの大会(通称:駅弁大会)」なのだが、我々はこれが大好きで、会期中はほぼ毎日会場に顔を出しているほどだ。

 これを、よりいっそう楽しむために仲間の一人が発案したのが、駅弁大会の会場で好みの弁当を購入して新宿発のロマンスカーに乗り込み車中で弁当を肴に酒盛りして箱根あたりで温泉に入ってふたたび新宿へ折り返してくる、すなわち略して「ロマ弁」である。

 で、駅弁大会は1月の第1週から約2週間ほど開催されるので、当然のことながら我々のロマ弁もその期間内に実施されるのだが、なにも1月だけを待つ必要はないよね。弁当は駅弁大会でしか買えないわけじゃないし、夏だってロマ弁やりたいよね。という実に都合のいい解釈のもとに、夏のロマ弁をやってみることになったわけだ。

◆赤がまぶしい真夏の江の島

 いつものロマ弁は箱根湯本行きのロマンスカーに乗るのだが、今回は真夏。さすがに温泉という気分じゃない。夏なんだから海にでも行こう! ということで、江の島を目指すことにした。江ノ島なら何か珍なるポータルもありそうだぞ……と、みんなの気持ちとは無関係に、ひとりほくそ笑むぼくである。

 ロマ弁に持ち寄る弁当は、いかに仲間を驚かせるか、意表を突くか、といった工夫のしどころでもあるのだが、あいにくぼくは弁当に対しては非常に保守的で、あれこれ迷ったりしない。いちど食べておいしいと思ったら、以後、ずーっとそれを買う。冬のロマ弁なら奥羽本線米沢駅の「牛肉どまん中」か、長崎本線長崎駅の「ながさき鯨カツ弁当」だ。

 しかし、今回は駅弁大会をやっていないので、この2品を買うのは手間がかかる(探せば買えないこともないのだろうが)。そこで、安易に新宿駅構内の崎陽軒で「シウマイ弁当」を購入した。これはこれでうまいんだから何も問題はない!


▲安定したうまさのシウマイ弁当。缶ビールはロマンスカーVSE10周年記念缶。

 冬のロマ弁は片道1時間40分ほどの行程だが、夏のロマ弁は箱根よりもかなり手前の片瀬江ノ島駅が目的地なので、乗車時間は約1時間ほどだ。缶ビールひとつと、あとちょっと追加の酒を飲んでいるうちに着いてしまう。

 が、その前にひとつ珍ポータルを発見した。小田急江ノ島線は、ストレートに片瀬江ノ島まで行くわけでなく、藤沢でいったんスイッチバックするが、その際に何気なくIngressを立ち上げて周囲をスキャンしたら、こんなものがあったのだ。


▲国鉄80系の形を模した「湘南電車キオスク」。こういうの大好きだ~。

 というわけで、片瀬江ノ島に到着した。ここは駅舎が竜宮城の形をしていることでも有名で、実際そのままポータルにもなっていた。もちろん記念のスクリーンショットをパチリ(擬音が古い)。


▲我々が行った日もこの写真と同様の快晴で、駅舎の赤がまぶしかった。

◆ハックするには届かない2本の灯台

 基本、ロマ弁は行きと帰りのロマンスカーでの酒盛りがメインなので、到着した場所のことはわりとどうでもいいことになっている。それでも、せっかく来たのだから江の島を少しは散策しておきたい。


▲駅前を出て、境川に掛かる橋にあったオブジェ「雲の形」。

 境川を超え、さらに江の島大橋を渡っていけば、徒歩でも江の島まで行くことはできるが、なんせ連日の猛暑である。おまけに我々は体力の劣った中年グループだ。長時間歩いていったら死人の一人や二人出るだろう。


▲女性陣は日傘を装備。ぼくも帽子とサングラスを装着。

 そこで、カネで解決することにした。ま、カネと言ったって400円の遊覧ボートに乗るだけなんだけどね。

 ボートに乗っているあいだ、ヒマなのでまたスキャナーを起動させてみた。すると、こんな感じの光景が目に入った。


▲まわりは海だから何もないはずなのに、ポツンとふたつポータルがある。

 なんだろうと思ってタッチしてみると、灯台だった。片瀬漁港から延びている堤防に2本の灯台が設置されているんだな。


▲晴れの日に撮影された「片瀬漁港堤防赤灯台」。


▲夕焼けのタイミングで撮影された「片瀬漁港堤防白灯台」。

 形状としては珍ポ的ということもできるが、しかし単なる灯台なので「珍ポータル」として記録するほどのものでははない。それでも、こういう陸からちょっと離れたところにあるポータルっていうのは、なんだか夢がある。

 その後、江の島に上陸してビールなど飲んでひと休み。軽い酔いに身をまかせてボーッと海を眺めていると、帰るのヤんなっちゃうね。


▲こんな恐ろしいんだか可愛いんだかよくわからないポータルも!

「生首ちゃん」を見ているうちに思い出した。我々には馬が待っているのだ。さあ帰ろう。馬のいるところへ!

◆馬の味を吸った蕎麦で飲む

 帰りはまた片瀬江ノ島からロマンスカーに乗るのだけど、目的地は新宿じゃない。町田で途中下車するのだ。なぜなら、そこには我々が駅弁大会と同じくらい愛する店、馬肉専門の「柿島屋」があるからだ!

 そう、今回のシメはここで馬肉宴会なのである。馬刺しはうまいし、馬鍋もいい。馬肉を使ったメンチも隠れた名物だ。でも、この連載で最後に持ってくるのなら、それは珍麺であるべきだ。誰から言われたわけでもないが、ぼくが自分で勝手にそう決めている。

 でも、馬肉屋に麺なんてあるの? とお疑いの皆さんにお知らせです。ここ柿島屋では、鍋に追加する具材として蕎麦があるのです。


▲具をひと通り食べ終えた鍋に麺を投入ー!

 この麺が、ちゃんと鍋用に作られていて、長時間煮込んでも伸びずにずっとおいしく食べられる。肉もいいけどさ、よく煮えた蕎麦を箸で1本、2本つまみながら、酒をチビチビ飲むのって、最高よ。皆さんもやってみるといいね。

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