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【レビュー】古きよきTRPGの雰囲気をスマホで再現! ロールプレイ重視のファンタジーADV『ソウルアンリーシュ』をレビュー!

 テーブルトークRPG(TRPG)をご存知だろうか。まだ家庭用コンピューターが一般的でなかったころに生まれた、RPGの元祖だ。ルールブックと紙、コマ、サイコロなどを使い、数人のプレイヤーが寄り集まって遊ぶ。プレイヤーは、自分のキャラクターを「演じる」こと――「ロールプレイ(役割演技)」を楽しむのだ。

『ソウルアンリーシュ』は、そのTRPGの魂を受け継いだ作品だ。かつてTRPGにハマった人たち、動画サイトのプレイ動画でTRPGに興味を持った人たち、そしてまったくTRPGに触れたことのない人たちにも、ぜひ遊んでほしいゲームに仕上がっている。


◆あなただけのキャラクターを作り、演じる。ロールプレイの醍醐味!

 ゲームが始まると、まずキャラクター作成を行なう。種族や性別、顔パーツ、色などを選択し、名前を付ければ完成だ。パーツは豊富で、種族を変えれば、耳を尖らせることや、肌に紋章を刻むこともできる。

▲筆者、この画面で悩むこと実に1時間。


 キャラクター作成を終えると、いよいよ冒険の始まりだ。魔物退治や人探しなど、さまざまな依頼を請け負う「冒険者」となって、物語を進めていこう。ストーリー中には選択肢が出ることもあり、選んだ内容によってキャラクターの反応が変わる。基本的にどれを選んでも有利不利はないので、純粋にキャラクターの性格を演じるために選ぶのがよい。

▲ゲームの舞台、「アルカヴァロン」に到着。目的を選びます。


▲「地位・名誉・お金」を選択。いいキャラになってまいりました。


◆ダンジョン探索と戦闘システムは、カード選択型のシンプル操作

 酒場で依頼を受けて、仲間を集めたら、ダンジョン探索の開始だ。画面に表示される「階段を上る」、「本棚」などのカードをタップすると、それに応じた行動が取れる仕組みになっている。移動も探索もすべて同じシステムで統一されており、シンプルでわかりやすい。

▲「袋」が落ちている。中を見るにはタップしよう。だが、罠の危険も……。


 戦闘は、キャラクターごとに配られた「攻撃」、「アイテム」などのカード6枚から、毎ターン1枚を選んで使っていくシステムだ。ときには使いたいカードが一向にこないこともあるが、そんなときは、あらかじめセットしておいた得意技のカードが必ず来る「Favorite」や、1ターン使って6枚のカードすべてを交換する「Replace」で体勢を立て直そう。

 また、強力な技や魔法を使うと敵からの「注目度」が高まり、狙われやすくなる。それを利用して、防御力の高いキャラクターが敵の攻撃を引きつけることもできる。シンプルなシステムながら、戦闘の戦略性はかなり高い。

▲「!」は注目度を表す。魔法使いは防御が弱いのに注目されやすいので注意。


◆戦うだけが冒険じゃない。キャラクターの個性を演出しよう!

 経験値が溜まるとレベルが上がり、新たな「タレント」を覚えられる。「タレント」は戦闘で役立つものだけではない。うわさ話に詳しくなる「事情通」や、隠し扉や罠を見つける「ディテクティブ」など、情報収集や探索を助けるものもある。一見地味だが、ダンジョンの中では補助的な「タレント」の有無が生死を分けることもある。

▲本棚を調べると、タレント「伝承」が発動。重要なヒントを読み取れることも。


 また、自分のキャラクターには、一定の文字数内で自由に「生い立ち」を書くことができる。ゲーム的な意味は特にないが、とにかく設定を考えるのが楽しい。ほかのプレイヤーが設定した「生い立ち」も、酒場でそのキャラクターを仲間にすれば読むことができる。同様に、自分が書いた「生い立ち」もほかのプレイヤーに読んでもらえるのだ。面白い「生い立ち」を書いている人も多く、酒場で仲間を募集するたびに「生い立ち」を読むのが楽しみになる。

▲うちの子の「生い立ち」はこんな感じ。凝った設定を付けてあげよう。


◆「ロールプレイ」に重きを置いた、TRPGファン納得の良作

『ソウルアンリーシュ』は、古きよきTRPGの雰囲気を見事に再現している。戦闘の繰り返しよりも「ロールプレイ」に重きを置き、自分のキャラクターをどう演出するか頭を悩ませるシステムになっている。戦闘やキャラクター育成で運要素がやや強すぎるのが難点だが、スマートフォンで手軽にTRPGのシナリオが遊べるという魅力は、それを補って余りある。

 キャラクター設定を考えることや育成が好きな人には特にオススメだ。TRPGのエッセンスを、ぜひ味わってみてほしい。

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