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【Ingress情報局・TAPPLI支部】とみさわ昭仁の珍ポータル紀行・第17回 渋谷の街でいかにも渋谷な珍ポータルを探す

 さて、今回は渋谷に来てみた。シブヤ、SHIBUYA、シヴヤである。若者たちが群れ集う街に、わたくしのような初老のおじさんが何か用でもあるのだろうか。まあ、ないよね。少なくとも昼間はない。日が暮れてくれば、立ち飲み屋の「富士屋本店」とか、朝までやってる「山家」とか、井の頭線のガード下とか、気になるところはある。

 でも、今日は渋谷では飲まない! なぜなら、このあとまだ神保町の仕事場で仕事をしなければならないから。今日は午前中に下北沢で打ち合わせがありまして、いまはそれを終えて神保町まで戻るところ。渋谷は、井の頭線から半蔵門線への乗り換えでちょっと降り立っただけなのだ。で、降りたついでにちょっと街をうろついて、この連載のネタを探しておこうというわけ。

◆駅の周辺に設置されたものたち

 そんなわけで、普段あまり来ることのない渋谷という街で、珍ポータルを探してみることにした。渋谷かあ~。どんなテーマがいいかなあ~。そもそもこの街に対する知識が薄いから、なーんにも浮かばないんだよね。

 こんなときは、とりあえずスキャナーを起動させてしまおう。ポータルを見ていけば、何か思いつくかもしれない。

 キュン! キュン! キュン! ズビョビョビョ~~~~!(起動音)

 立ち上がったスキャナーをクルクル回してポータルを探す。めぼしいポータルがあったら、それをタッチして内容を確認する。そして、最初に見つけたポータルを見た瞬間、今回のテーマがひらめいた。

 テーマは「渋谷」だ。いかにも渋谷そのものって感じのポータルを集めてみよう。

 この街のことをよく知らないぼくが、どの程度それらしいポータルを集められるのかはわからないが、まあいいじゃないか。むしろ、渋谷通が選ぶよりも余所者のぼくが渋谷らしさを感じたものの方が、わかりやすいはずだ。

 というわけで、渋谷といえば何と言ってもこれだろう。還らぬ主人を待ち続けたあいつ。


▲駅前にたたずむ「ハチ公」の銅像。

 ハチ公のポータルは絶対あるとは思っていたが、ハックしてみればまさかの後ろ姿。しかも、写真が何とも芸術的だ。こういうのって、最初にポータルを申請した人のセンスが問われるからおもしろいよね(後で他の人が写真を差し替えたのかもしれないけど)。

 渋谷駅での待ち合わせポイントといえば、ハチ公の他にもうひとつある。ハチ公口から西側へ回ったところにあるコイツ。


▲花壇からヌッと顔を突き出す「モヤイ像」。

 これを「モアイ像」だと思っている人も多かろう。モアイはイースター島の石像だが、渋谷にある「モヤイ像」は伊豆諸島の新島から贈られたもので、モアイ像をモデルにはしているが、名前も姿も似て非なるものだ。「もやい」って複数の人間が力を合わせるという意味で、元はたしか九州地方の方言だったはず。

 さて、この段階でぼくは渋谷の駅前からまだ一歩も移動していない。渋谷のように様々な施設が密集しているところでは、うろうろ移動しなくてもかなり数多くのポータルをチェックすることができるのだ。

 そんなふうにズボラな態度で街をスキャンしていて見つけたのが、次のポータル。


▲岡本太郎作の巨大壁画「明日の神話」。

 とあるアート集団によるイタズラで脚光を浴びたのも記憶に新しい。この作品は、いまから50年近く前にメキシコで制作されたものの、長いあいだ行方不明になっていたという。それが2003年に発見され、渋谷駅の構内に飾られるようになった。JRから井の頭線に乗り換えるときにこの絵画の前を通るわけだけど、絵本体よりも、ついイタズラされた右下の部分を見ちゃうよね。

 ここでもうひとつ、渋谷のシンボルとも言えるものを見てみよう。道玄坂へ向かったところの正面に、どーんとそびえる「109」。コギャル風に言うなら「マルキュー」だ。『ガメラ3』で派手にぶっ壊されてたアレね。


▲これまた写真が禍々しさ全開の「Shibuya 109 Tower」。

 渋谷に限った話ではなく、各地でポータル探しをしていると、たびたびこういう怪しい感じに撮られた写真に出くわす。誰かが意図してこんな風に撮っているのだろうか。珍ポータル的にはそれほどおもしろいものでなくても、写真がいいとうれしくなってしまうよね。

◆エージェント付きのポータルを発見!

 道玄坂から宇田川町の方へ目を転じると、こんなものが出てきた。吉本興業が関東に進出して以来、あちこちに劇場が作られたけど、いまは渋谷にもこういうものがある。


▲渋谷BEAMの地下にある「ヨシモト∞(無限大)ホール」。

 若手のお笑い芸人さんが登場して番組収録をしたりするところで、その様子が外からも覗けるためか、いつもファンの女の子たちが群がっている。おじさんも生涯に一度くらいはチヤホヤされてみたいものだな。

 ここでちょっと駅の反対側に目を向けてみよう。ESTこと渋谷東口会館ビルに「渋谷卓球倶楽部」なるものがあるのだ。


▲窓に描かれてるのは松本大洋の「ピンポン」かな?

 これが渋谷を代表する場所なのかどうかはよくわからないが、まあ施設名に「渋谷」って書いてあるんだからいいじゃないか。

 そしてふたたびハチ公口に戻ってきた。最初にスキャンしたときには見落としていたが、こんなものがあった。


▲スクランブル交差点角のビル6階にある「ハチ公前献血ルーム」。

 献血の大切さはわかっていても、注射が大の苦手なぼくは、なかなか足を踏み入れる気になれない。だから施設の中を見たことはないんだが、いま検索してみたら待合室のソファーが赤十字型をしていて楽しそうだった。

 さてさて、ぼくが最後に向かったのは、ある意味渋谷でいちばんにぎやかな場所、センター街である。スマホを見ながら歩いていてチーマーにぶつかったりしたら狩られるので(いつの話だ)、よく周囲を確認しながら移動しよう。

 渋谷は「キラー通り(これはお隣の青山か)」だの「ファイヤー通り」だの、いちいち道路にカッコよさげな名前を付けがちだが、センター街にもいつのまにか「バスケットボールストリート」なんて名前が付いていた。センター街でバスケやってる奴なんか見たことないが、まあそういうことになっている。


▲そのストリートの「モニュメント」がポータルになっていた。

 これはリングにボールが入らんとしているところをデザインしたのだと思うが、よく見ると……ボールに誰かが写っているぞ。もうちょっと写真をアップにしてみよう。


▲撮影中のエージェント出たー!

 こういうメタリック球体系のポータルは、それを撮影中のエージェントが写り込んでしまっていることが多い。こういうポータルばかりを集めるのも珍ポータルハンターの密かな楽しみである。

 てなわけで、渋谷の探索は終了した。この日は時間がなかったので、古本屋にも中古レコード屋にも寄らなかった。ただ、すっかり腹が減ってしまったので、飲み会の前に軽くラーメンでもすすっていこう。渋谷でラーメンといえば、やっぱりあそこしかないよなー。


▲道玄坂からラブホテル街へちょっと入ったところの「喜楽」。

 どっさり乗ったもやしに、焦がしネギが香ばしい。何よりも、ここのラーメンは熱した油がかかっていて、ものすごく熱いのが最高だ。久しぶりに食べたからなおさらうまい!

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