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秦佐和子の「ゲームがなくちゃはじまらないっ!」【最終回・後編】

秦佐和子

 みなさんこんにちは。声優の秦佐和子です。
 前回、突然のお知らせとなりました「ゲームがなくちゃはじまらないっ!」最終回。後編では引き続き『声優』というテーマで、お仕事についてお話させていただこうと思います。

声優というお仕事を始めてからはより面白い職業だなって思うようになりました

 新人声優としてデビューしてから、ありがたいことに今までにいくつかのアニメやゲームで声優をやらせていただきました。特に思い入れがあるのは、昨年から放映されていた『バトルスピリッツ ダブルドライブ』の『エト』役ですね。今までアニメで一人の役を1年もやらせていただくことがなかったので、最初はどうして私がこのキャラクターの役に選ばれたのだろうと不安だらけでしたが、毎週毎週キャラクターと向かい合っていくうちに、一緒に成長できた気がします。

 1クール1クールが短い作品が多いので、慌ただしく過ぎてしまうキャラクターが多い中、1年一緒に付き合うことができたのは大きな経験でした。技術的な課題もたくさんありましたが、それを乗り越えてまた壁にぶつかっての繰り返しで、自分で見返すと「あ、この時こうだったな」っていうのがすごくたくさんあったり。そういった成長も大事な思い出です。

 また『VENUS PROJECT』で演じさせていただいた『原エリコ』役も印象に残っています。最後の方は私なりの原エリコちゃんになったかなと思うのですが、熱血キャラ系の設定に私の中にない要素が多すぎて、悩むことが多い役でもありました。自分にない部分をお芝居で埋められればよかったのですけど、結局足りない部分に自分の暗さとかそういう部分を足してしまった感があって、一見、熱血で元気いっぱいだけど影のあるキャラクターになってしまったかな、と。あまりにも自分の中にないものを表現するのは難しいと思いましたね。

 課題はありつつも声優というお仕事を始めてからは、憧れていた時よりもより面白い職業だなって思うようになりました。例えばオーディションで特に指示がない場合は自分なりに思ったキャラクターを演じるのですが、それで選ばれた時は、自分の中で作り上げた役のイメージが認めてもらえたんだ! っていうやりがいがあります。

 声優という職業に向いているか向いてないかで言えば、向いてないと思うことの方が多いのかもしれないけど、元々やりたいことをこうしてできているのは、本当に人や作品との縁と、運に恵まれているのだなと感じています。だから壁にぶつかっても乗り越えようと頑張れるんです。

 そんな私の憧れの声優像は、声に特徴がある方。自分の声があまり個性的でないからかもしれませんが、キャラクターにハマって説得力が生まれる、そんな声優になれたらいいなと思います。難しいとは思いますが、スタッフさんに「秦佐和子さんのこの声が欲しいね」ってキャスティングされるようになれると嬉しいですね。

 最近は大人っぽいというか、年齢の高い役もいいかもしれないね、と言われることもあるので、大人の女性も演じてみたいと思っているのですが、そのイメージに重なるのが大先輩の井上喜久子さんです。優しいお姉さんの声っていうイメージが強いのですが、少女役の声を演じている時は優しい母性がパッと消えて可憐な感じになるのが不思議で、一体どういう仕組みなのか聞き入ってしまいます。
 偉大な先輩方の背中を追いかけている私ですが、まだまだ自分のできること、自分にしかできないことを模索しながら、後の世の人が評価してくれるような声優さんになりたいと妄想しています。

 声優というお仕事をさせていただくようになって、今まで以上に声に対して意識するようになったのですが、ナレーターさんもその中のひとつ。原稿を読むだけでなくお芝居とは違うところで状況を伝える技術が必要だと思いますし、参考にさせていただいています。

 そういえば先日、羽田空港のプラネタリウムカフェに行った時に、案内のナレーションを聞いていて「あっいいな」と思ったら、能登麻美子さんのお声でした。アニメでの声優としての能登麻美子さんは知っていましたが、いつもとは違う雰囲気で心地よかったです。

 声優に関する話題といえば、アイデンティティさんの野沢雅子さんのモノマネが話題になりましたね。同じくドラゴンボール芸人のフリーザさん(BANBANBANの山本さん)とはお会いする機会があったのですが、すごく似ていて素敵な方でした。

 モノマネをされる方って、真似をする技術もそうですが、耳がいいんだなって思います。声優さんの中でもモノマネの上手い方がたくさんいて、やっぱり声の特徴の捉え方が上手なんです。私も時々、声優のお友達にモノマネされたりするんですけど、変な感じがしますね。いいところも悪いところもそこだけデフォルメされるので、自分からすると「そうじゃないよー」って思うのですが、傍から見るとこういう風に見えているんだなって。

 でも、いい所も悪い所も知ることができるし、ある意味、自分を見つめ直すいい機会なのかもしれませんね。いつかたくさんの人にモノマネされるようなビッグネームになれたらいいな(……ちなみに私のモノマネのレパートリーは皆無に等しく、そもそも昔から、披露する相手がいませんでした……)。

 2回にわたって私の『声優』というお仕事に関することを少しお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。これまで、ゲームのことを中心にお話させていただいていたので、びっくりさせてしまったかもしれません。この連載を通じて、私もたくさんのゲームに触れることができ、拙いコラムでしたが少しでも皆さんにゲームの楽しさが伝わっていればいいなと思います。

 連載は終わってしまいますが、これからもどんどんゲームを遊んでいきます! 皆さんもよいゲームライフをお送りください♪

 最後までお付き合いいただき本当にありがとうございました。

 秦佐和子

 

この記事を書いた人

秦佐和子
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