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【カジュアル】「我は戦士。悪の根を絶やす者なり。年齢は65歳…」シビアな世界で何度も人生を重ねていく刺激的RPG『異世界に生きる』

 タイトルだけ見ると、長い副題の付くライトノベルに思えなくもないが、『異世界に生きる』はそんなイメージとは180度逆を行くヘヴィなファンタジーRPGだ。なにしろ、コンセプトが「死は絶対の掟」なのである。

タイトル

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◆死んだらそこで終わり。しかし、その魂は脈々と受け継がれる

 プレイヤーには体力や攻撃力、守備力等の一般的なパラメータに加え「年齢」がある。無一文では武器も防具も買えないので、5年10年と仕事に精を出して金を稼ぐ。フィールドに出てモンスターと戦っている間も、宿屋での体力を回復している間も時は流れ、プレイヤーはあれよあれよという間にオッサンとなり、老人へとなっていく。衰えとともにステータスは下がっていき、時の流れの残酷さを思い知るのだ。


▲武器や防具を買うために40年近く働き、そこそこの装備に身を固め初めてフィールドへ出る――それってもはや、定年後の脱サラ戦士。それは果たして、ムダな人生なのだろうか……?

 人生に限界を感じたら、街にある市長の家で「引退」を告げる。引退=ゲームフィニッシュなので、画面は無情にもタイトル画面へ戻り、[スタート]ボタンをタップすることを促される。いくらレベルを上げても、お金を稼いでもコンティニューというものはない。新しい人生を一から歩み始めるのだ。


▲こわくて押せないコマンドも、恐怖を覚えるナゾのメッセージもある市長の家。明らかに怪しいですこの家。

 そ、それってどこが楽しいの!? となってしまいそうだが、このゲームでは次の代へ引き継げるものがふたつある。ひとつは、ゲームスタート時の職業を決めることができる「魂」。ボスを倒すか、レベル20以上で引退すると手に入れることができ、「今回の人生失敗したな……」というときもコレだけは入手するようにしたい。


▲商人はいきなり500G持っている、聖職者は「ヒール」のスキルが使える、盗賊は戦闘から逃げやすくなる、吸血鬼は歳をとらない(が労働はできない)など、職業に応じて初期パラメータやスキルは大幅に異なる。

 もうひとつは「街の発展度」だ。街が発展することによって装備品が充実し、仕事の報酬がアップする。以前の人生では倒せなかったボスも、発展した街の武器屋にある武器で討伐できた――これまでの人生は決してムダなわけではなかったのだ。

◆シンプルでドライなレトロテイストが没入感を増幅させる

 このゲームには常に「死の恐怖」がつきまとう。モンスターとの戦いはもちろん、酒場の「ルーレット」はロシアンルーレットで弾を引き当てたら即デッド。宿屋には「空室に忍び込む」、仕事には「裏の仕事」という怪しいメニューがあり、当然そのリスクに追われることとなる。


▲闇の仕事は報酬がおいしいが、逮捕される可能性が高い。うまく逃げ切れる場合もあるが、捕まってしまうと刑務所で何年もムダな時間を過ごすハメになる。服役中「脱走を図る」なんてコマンドも出るが……。試してみる?

 本作最大の特徴は、古き良きTRPG(テーブルトークRPG)を彷彿させるレトロなテイストだろう。モンスターはシルエットだし、フィールド移動も「さらに東へ」「山頂へ」など昔のPCアドベンチャーゲームのよう。しかしそれは同時に、プレイヤーの想像力を極限まで掻き立てるスパイスでもある。お気に入りの小説を、何度も読み返すようにこの世界を何度も転生し、これまでの人生の集大成ともいえる人生を目指そう。


▲もう一度書く。死は絶対の掟――。戦闘ひとつをとっても、得も知れない緊張感が包む。

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