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【レビュー】『脱走兵シミュレーター』は脱走兵が愛と自由を求めて戦場を駆ける、愛すべきバカゲーだ!


 みなさんは『大脱走』という映画はご存知でしょうか? 1963年公開とずいぶんと古い映画なんですが、第二次大戦下のドイツの収容所から捕虜たちが一斉に脱出するという内容で、往年の名優スティーブ・マックイーンがバイクで逃げるシーンが超かっこいいのですよ! 私、とても大好きな映画なのです。

 さて、いつものようにぼんやりとストアを眺めていたら、ふと見つけたのがこのゲーム、『脱走兵シミュレーター』です。「脱走兵をシミュレートするって、やっぱ『大脱走』みたいにかっこいいのかな!」と。さっそく勇んでダウンロードしてみたのですが……!?

▲脱走兵がオートバイで戦場を駆ける! その部分は決して間違えてなかったんですが……。


◆説明ナシで唐突に始まる逃避行! 行く先はどこ!?

 いきなりですが本作は、操作方法などの記載がゲーム内にありません。これは「プレイ開始するとまずチュートリアルが始まる、よくあるパターンなのかな?」と、とりあえずスタートしてみると、いきなり兵士がオートバイに乗って走り出します。びっくりした! どこに向かって走ればいいのかもまったくわかってないよ!?

▲唐突に走り出す脱走兵を乗せたオートバイ。いや、まだ何も心の準備ができてません!


 とはいえ、操作方法は何も難しいことはなく、直感ですぐにわかります。オートバイは自動で進み、画面左下の矢印をタップすれば、その方向に曲がります。そして、右下のタイヤ跡のアイコンはドリフトですね。

 しかし矢印のアイコンを押してもなかなか思うようにオートバイが曲がってくれません。速攻で事故ってゲームオーバーになりました。これはなかなか難易度が高そうです……。

▲最初に主人公が乗っているオートバイは、実は乗りこなすのが難しいマシン。90度のカーブを曲がりきるのもひと苦労です。


◆逃げて、逃げて、逃げまくれ! 愛と平和をこの手につかむのだ!

 そんなワケで、ひと息入れて、ゲーム内で得られない情報を公式サイトとアプリストアの紹介を見ることにしました。本作は元々はPCゲームのダウンロード販売を行なうSteamで販売されており、それをスマートフォンでも遊べるようにした移植版です。「戦いに疲れ果て、歩くこともままならない主人公がオートバイで戦場を逃げまくることで混乱を招き、平和を勝ち取る」という内容なのです。

 で、とにかく逃げまくると「ラブ&ピースポイント」なるポイントが獲得できます。これが一定値を超えると「SR救援物資」が受け取れて、新たな乗り物や主人公のキャラクターが入手できるという仕組みです。

▲乗り物やキャラクターによってスピードや曲がりやすさ、安定性などが異なります。ゾンビやアンドロイドなど、脱走兵というには個性があり過ぎなキャラもいます。


▲空から降って来た救援物資に新キャラクターが! ぐったりしてますが、箱に詰められて落下傘で落とされてくるので無理もない(笑)


 逃げると言っても、どこに向かって逃げれば良いのかというと……実はこのゲーム、ゴールというものがありません。障害物にぶつかったり壁に当たるなどして、主人公がオートバイから落ちてしまうなどの走行不能状態になったらゲームオーバー。そんな状態に陥らないように、ひたすら戦場を走りまくって何メートル走行できるのかにチャレンジするゲームなのです。

▲逃避行に行き先などない。きっと走りまくれば明日が見えてくるのだ! しかしもはや画面だけ見るとなんのゲームだかわかんないな、これ。


 ちなみに逃げる主人公を追いかける追っ手の存在もありません。ただし、道には爆発するドラム缶や、ジャンプ台、加速装置など、さまざまな障害物やギミックが置いてあります。兵士が歩いていることもありますが、特に主人公を捕まえるという意思はないようです。この兵士は、たわむれに轢こうと思えば轢けます。逆に道を走っている車両は、隙あらば主人公を轢こうとするので、注意が必要でしょう。

▲普通だったら避けるのもそんなに難しくなさそうな障害物。しかしマシンコントロールが難しいので、思わぬ事故も!


▲ガスタンク爆発で宙を飛ぶ脱走兵(ニンジャ)。実は爆発して飛んだ距離も走行距離にカウントされるので、積極的に吹っ飛ぶのもよいのかもしれない!?


▲加速装置で一気にスピードアップ! いや追っ手がいないので、スピードを上げても事故の確率が上がるだけな気もしますが(笑)


◆やればやるほど逃げやすくなる! ゲラゲラ笑ってやり込もう!

 キャラクターも乗り物も、最初は選択肢が少ないので、なかなか自分にフィットする組み合わせでプレイできません。しかしSR救援物資で増えますので、プレイのしやすさは上がっていきます。

 また、走行距離が一定値に達するたびに、町の中に積まれたガレキの山が撤去され、走ることができるコースが広がっていきます。つまり本作は、やりこめばやりこむほどプレイしやすくなっていくのです。

 BGMは弦楽器のソロで、なんだか厳かな雰囲気。しかしゲーム内容はどこか間が抜けていて、これはこれで絶妙な組み合わせ加減を感じます。

 ただ闇雲に戦場を走るだけのシンプルな内容ですが、不条理系のギャグ漫画のような、珍妙なおかしさが漂うゲームです。深いことは何も考えず「うわー、また事故ったぁ!」などとはしゃぎながら、ぜひとも遊んでみてください!

▲手榴弾でガレキが撤去されるたび、いける場所がどんどん広くなる! 主人公はどんどん自由になっていくのです。


▲アチーブメント(実績)の要素もあり、達成すると大量にポイントがもらえます。あんまり達成したくない内容の実績も多いのですが。


▲とにかく笑える動きが多いのです。ゲーム内でプレイを録画するシステムもあるので、逃避行の想い出に、ぜひ。


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