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帝国データバンク、「アニメ制作業界動向調査(2019年)」を発表 2018年の平均収入高は前年比約8%増

2018年はTVアニメ「ゆるキャン△」が人気を博し、劇場版作品は『天気の子』が興行収入100億円を突破。一方で労働問題などの課題も。

株式会社帝国データバンク(以下、帝国データバンク)は、アニメ制作業界を調査したレポート「アニメ制作業界動向調査(2019年)」を、9月25日(水)に発表した。

調査結果によると、2018年のアニメ業界は大きな岐路に立たされた1年であり、アメリカの動画配信大手のNetflixがTV放送を介さないオリジナルアニメ作品の制作や配信市場へ本格的に参入したほか、大手企業各社では共同出資による3DCGアニメ制作企業などを相次いで設立するなど、従来のアニメ制作のあり方から一線を画したモデルケースが数多く生まれた。

テレビアニメに関しては、山梨県南部町に住む女子高校生のアウトドア体験や日常生活をゆるやかなタッチで描いた「ゆるキャン△」が人気を博し、「ポプテピピック」などインターネット上で話題となった作品が放送。

劇場版作品については、2019年公開の『天気の子』が興行収入100億円を突破したほか、第92回米アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表アカデミー賞候補に選出された。

一方で、「働き方改革」が社会全体での課題となるなか、近年アニメーターの待遇といった労働問題やコンプライアンス上の課題も噴出し、発展を遂げる半面多くの課題も抱えているのが現状とのこと。

詳細については、以下の調査結果(要旨)または帝国データバンクの公式サイトを確認してほしい。

調査結果(要旨)

1.2018年(1月期~12月期決算)のアニメ制作企業の収入高(売上高)合計は2131億7300万円。1社当たり平均収入高は8億4300万円(前年比8.1%増)で、2006-07年以来11年ぶりに2年連続で前年を上回り、ピークとなった2007年(9億9200万円)の8割超の水準まで上昇した。

2.収入高動向では「増収」が34.1%を占め、2年ぶりに前年を下回った。このうち、元請・グロス請企業では増収企業が35.6%で、全体を1.5ポイント上回った。また、最終損益で「赤字」となった制作企業は30.4%を占め、3年ぶりに増加へ転じた。

3.アニメ制作企業の本社所在地を都道府県別にみると、約9割が「東京都」に本社を置いていた。従業員数別では2018年に比べ「6~20人以下」が「5人以下」を上回った。収入高3億円未満の小規模企業が全体の6割超を占める傾向に変化は無かった。

3.今後も日本アニメの人気を背景に、国内アニメ制作業界は堅調に推移するとみられる。ただし、自社での人材育成や設備投資による生産性の向上、単価交渉などによる、安定した利益確保が必須となる。また、2019年7月に発生した京都アニメーション放火事件によるアニメーターなど人材喪失、制作資料などの物的損失は同社のみならず、日本アニメ文化にとって大きな痛手であり、同社を含めたアニメ制作業界全体の動向を引き続き見守る必要がある。

関連サイト

株式会社帝国データバンク公式サイト

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