ゲームクリエイターと言えば、「子どもがなりたい職業ランキング」上位の常連職業。とはいえ、女性のゲームクリエイターはまだまだ少なく、特にディレクターやプロデューサーともなると、滅多にお目にかかれないのが実際のところ。
というわけで、いま現在ゲームを作っている女性クリエイター、特にプロデューサーをされている方々にご登場いただき、若手の女性開発者からのアンケート質問にお答えいただく、異色の企画が実現!
お答えいただくのは、セガゲームスの熊谷美恵さん、トライエースの三鴨ユキさんのおふたり。対談形式でお届けします。
先輩、女性のゲームプロデューサーやディレクターって、実際のところどんな感じですか!?
熊谷美恵
株式会社セガゲームス セガネットワークス カンパニー
開発本部 ゲームデザインR&D部 部長兼プロデューサー
代表作:『パワースマッシュ』シリーズ(スマートフォン・コンシューマ・アーケード)、『アヴァロンの鍵』(アーケード)、『ダービーオーナーズクラブ』(スマートフォン・アーケード)、『スカッズ ~最凶の絆~』(スマートフォン)ほか
(敬称略)
三鴨ユキ
株式会社トライエース
開発管理部 プロデューサー
代表作:『学園アリス~ドキドキ不思議たいけん』、『学園アリス~わくわくハッピー★フレンズ』(コンシューマ)、『SILENT SCOPE BONE-EATER』(アーケード/プロジェクトマネージャー)ほか
(敬称略)
――熊谷さんと三鴨さんは、おふたりとも、ゲーム業界ではまだ少ない女性プロデューサーということで、女性クリエイターの実際について、対談形式でお話を伺っていきたいと思います。
今回はTAPPLI編集部で、ゲーム業界でこれから頑張っていく女性開発者から質問をお預かりしていますので、それにお答えいただく形でいきましょう。
ではまず、柔らかい質問から。
◆質問:おふたりの好きなゲーム、初恋のゲームは何ですか?
三鴨 私は、家庭用ゲーム機で最初にガッツリと遊んだのが『ファイナルファンタジーVII(FF7)』(スクウェア、現スクウェア・エニックス)ですね。プレイステーションなので、わりと最近になるのかもしれません。
熊谷 それはちょっと年代ギャップがありますねぇ(笑)。
三鴨 ウチは親がうるさかったので、大学に入ってから自分でプレイステーションを買ったんですよ。当時は、学校に行かなくなって、単位を落としまくるくらいやっていました(笑)。すごくハマりましたね。
熊谷 当時はみんな『FF7』が好きでしたよね。ゲームの中に、推しメンがいた状態でしたもん。
――熊谷さんは、どんなゲームが初恋だったんですか?
熊谷 一番最初は、駄菓子屋さんで遊んだ『ラリーX』(ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメント)です。コンシューマは、ゲームボーイの『テトリス』(任天堂)とか『Sa・Ga2 秘宝伝説』(スクウェア、現スクウェア・エニックス)あたりで、まあまあいいお姉さんになってから、彼氏経由でゲームを教えてもらって。自分ではゲーム機も持っていないしゲームセンターにも行かないけれど、彼氏の影響で、というパターンですね。でも、旅行中でもずーっとゲーム機で遊んじゃうくらい、止まらない感じでした。
――おふたりとも、そこから好きになってゲーム業界に入ったんですか?
三鴨 いや、『FF』のときは、これを仕事にしようとは全然思わなかったですね。ゲーム業界を目指すキッカケになったのは、セガの『NiGHTS into dreams…』だったんです。
熊谷 じゃあ、セガサターンも買ったってことですか?
三鴨 買いました。
熊谷 ゲーム機を買うくらい好きな女の子ではあったんですね。周りにはいなさそう(笑)。
三鴨 言われてみれば、いなかったかも(笑)。私は、美大で総合芸術を勉強していた頃に、いろいろな要素を組み合わせてコンテンツを作ることを学んでいて、『NiGHTS』の中にはそれがすべて詰まっている気がしたんですよ。グラフィックや世界観、音楽、体感性が、バランス良く入っていて。それを見て「これはゲームを作るしかない!」と思ったのが最初です。
熊谷 私は、キッカケになったゲームがないんですよ。『Sa・Ga2』のあとはしばらくゲームに触れていなかったし、ゲーム機も持っていなくて。でも、他の業界からの転職先として、家から30分圏内に会社があったというだけで、セガの中途入社試験を受けてしまったんです(笑)。
どんな業界かも分かっていなかったんですけれど、たまたま当時ナムコに勤めていた友人がいて、「ゲーム業界って景気いい?」と聞いたら「景気いいよ!」という返事だったので(笑)。友達思いの彼女が新聞切り抜きのスクラップを送ってくれたりして、確かに景気が良さそうなので受けてみるか、というのが、いまから20年くらい前のことですね。
三鴨 でも、受かっちゃうからいいですよね。
熊谷 その頃のセガは、ちょっとどうかしていたので(笑)。
三鴨 私は普通に落とされました(笑)。
熊谷 三鴨さんと少し年代にギャップがあるから(笑)。私のときは、まだメガドライブが海外で全盛の頃で、アーケードの体感ゲーム機をどんどん出している最中で。当時、日本全国にデジタルテーマパークを作る構想が打ち上がっていて、その構想に響いて門を叩いたんです。なので、最初はAM施設に配属になるかと思っていたんですけれど、面接試験にいたゲームクリエイターの方に「営業より開発に来たら?」と言われて、ソフトウェアの開発部門に入社したんです。
――意外な展開もあるものですね。
熊谷 その時点では技術はゼロだったので、よくそんな人を採ったなとも思うんですけれど(笑)。面接に同席していたクリエイターが水口哲也さん(編注:代表作『セガラリーチャンピオンシップ』『スペースチャンネル5』『Rez』ほか。元気ロケッツなどの音楽プロデューサーでもある)で、当時セガの社内に「情感デザイン研究室」という、人間工学や情感的なアプローチでゲームやインタラクティビティを研究する、ちょっと変わった研究室を作っていたんです。その水口さんが私の経緯を面白いと思って採用してくれたんですね。
三鴨 私は『NiGHTS』がキッカケだったので、セガに行きたかったんですよ。でも、セガを含めた大手メーカーを20社くらい受けて、全部落ちたんです(笑)。それで絶望していた頃に、ちょうど先輩が5~6人で会社を立ち上げたので、ゲーム業界の片隅でもいいから入り込みたい、と思って入れてもらったのが最初でした。
熊谷 でも、そういう気持ちは重要ですよね。どんな職種にも言えると思いますけれど、とにかく業界の端っこにでもしがみついて、そこからスタートできることはいっぱいありますから。
三鴨 そこは前向きでしたね。業界地続きなんだから、いつかは行ける、と思っていました。
熊谷 それをつかむ力が当時の三鴨さんにあったのは素晴らしいですよ。
三鴨 ただ、入社はいいけど会社として整ってなかったんで、そこからが大変でしたけどね(笑)。
――入り方はいろいろでも、それぞれに上がっていくやり方がある、ということでもありますね。
熊谷 まさにそうだと思います。アプローチもいろいろよ、ということですね。
――では、次の質問に行ってみましょう。これも、グッと柔らかい質問です。
◆質問:毎日のお化粧に、どのくらい時間をかけていますか?
三鴨 そうですね、15分くらい?
熊谷 同じようなものですね(笑)。
――一般的には、どのくらいかけているものなんでしょうね。
熊谷 女性雑誌を見る限りは、このくらいが平均値ですよね?
三鴨 そうなんじゃないかな、と思います。
――出社するときに、気を使っていることはありますか?
熊谷 逆に、昔は気を使っていなさすぎて、入社して1~2年目の頃、ミニスカートで会社に通っていたんですよ。その頃はアーケードの開発チームにいたので、しゃがみこんで筐体の下にある高さ調整用の足をいじっていたら、当然のことながら下が見えていたわけですよ(笑)。
三鴨 大サービス(笑)。
熊谷 後輩の社員に「熊谷さん、見えてます!」っていう逆セクハラをしちゃったことがありました(笑)。それがキッカケで、ミニスカは気をつけたほうがいいぞ、と気を使うようになりました。男性が多い職場ですから、キチンとしておかないとダメだなと。
三鴨 私は、あまり香りのキツい化粧品を使わないようにしていますね。開発を同じブースでしていると、男の方だと、匂いで気持ち悪くなるとか、女性の化粧の匂いが合わないということがあるので。オフィスに籠りっきりでやることになりますからね。
――そういう意味では、オフィスワークであることで、気をつけることもあるんですね。
熊谷 そうですね。あくまでもオフィスワークに適した仕事着、という感じです。
――ディレクターやプロデューサーとなると、外の人と会うことも多いと思いますが。
熊谷 多少はちゃんとしよう、というのはありますけれど、この業界では相手方も似たような方が多いので(笑)、わりと気張らなくても許されるところがあるかな、と思います。
三鴨 私は、今日は会社で作業をするぞ、という日はジーンズを履いて行ったりもしますけれど、やっぱり打ち合わせなどのときにはスカートを履くことにしています。そこは、作戦もありつつ(笑)。
熊谷 作戦もあるんだ(笑)。
三鴨 緊張感が高い会議のときは、あえてスカートで行ったり。
熊谷 それは分かります。色みのあるものを着て行って、和ませようとか。
三鴨 場の空気が和らいでくれないかな、と思うことはありますね。
――では、次に行ってみましょう。おふたりはお友達でもあるそうですから、こんな質問はどうでしょう。
◆質問:ゲーム業界の女性同士は、どんな会話をしていますか?
三鴨 わりと普通、という感覚なんですけどね。
熊谷 愚痴ったり、というのは多いですね(笑)。特殊な業界というのもあって、一般的な女友達には理解され難いことも多いので、同じゲーム業界の三鴨さんなら分かってくれる、というのはありますね。
三鴨 それはあるかもしれないですね。立場的に、会社では愚痴もうっかり言えないですし。なので、熊谷さんと一緒のときに炸裂させたりします(笑)。
女同士でありがたいのは、愚痴と割り切って言えるところですね。お互い吐き出しちゃえ、と、大げさなくらいに愚痴を言い合ったり(笑)。
熊谷 会社の中では、改善に結びつけるには、あるいは課題として整理して、という話になるんですけれど、そんな建設的な話はこれっぽっちもなしで(笑)、ただ単に言いたいときには女性の友達同士はとてもいいんですよ。
三鴨 お互い言いたいだけなのは分かってるので、気持ちよく言い合っています。バーっと言い合って、忘れちゃう(笑)。
――よく、男性は解答を求めたがる、女性は共感を求めたがる、という話もありますね。
熊谷 その典型ですね。会社の中ではやっぱりビジネスとして解答を出していかなければいけませんけれど、そればかりだと疲れるので、気を抜いて言い合えるような間柄はありがたいですね。
三鴨 本当に、非常にありがたいです。
――そういう人を同じ業界の中で見つけておくのは、結構重要かもしれないですね。
熊谷 探すのが大変でしたよ。三鴨さんと初めて会ったときに「友達になって」って言いましたものね(笑)。女性で、プランナー出身で、ディレクターなどをしている人に会ったことがないので、三鴨さんには友達になって欲しいとお願いしたんです。そのくらい稀有な存在です。
三鴨 私は学校でも教えているので、教えた学生たちがゲーム業界にたくさん進んではいるんですけれど、管理職の苦労はさすがに共有できなくて(笑)。プロジェクトが危機になったときの耐えどころの話などでも、熊谷さんならスッと分かってもらえます。ありがたいし、力強いですね。
熊谷 なので、こちらの道に進む女性は、同業の友達を見つけておくのは本当にオススメです。
――では、次に行ってみましょう。
◆質問:女性で良かった、あるいは、女性だからできた、ということはありますか?
三鴨 実は、なかなか思い浮かばないんですよね……。
熊谷 女性だから、という手は、なかなか使えないんですよね。ゲーム自体は、もともとのターゲットユーザーに男性が多かったのもあって、ビジネスをランニングしていくとなると、やっぱり相手は男性ユーザーになるんです。そうすると、女性目線そのものには、それほど優位性がないんです。
さっきの服の話も含めて、場が和らげばいいな、という程度のことは期待したりもしますけれど、女性だからというのは、あまりパッと思い浮かぶことがないですね。
三鴨 管理職だから、というのもあるかもしれませんけれど、結局「プロデューサーなんだから、自分でどうにかして」と言われるケースが多くて。責任者なので、男も女も関係なくなってきますね。
熊谷 逆にありがたいのは、私が一緒にものづくりを進めてきた仲間たちの場合、女性だから、と軽視されることがまったくなかったんです。伸び伸びとここまでやれているのは、上司を含めて、一番最初に所属した組織の理解があったからだと思います。
三鴨 良くも悪くも、フラットな世界ですよね。いい意味で、仕事の内容を見てくれる、というところがあります。
熊谷 私が入った頃は若い業界で、これから風土やカルチャーを作っていくような柔らかい環境だったので、受け入れてくれる空気感につながったのかもしれませんね。
――逆に言うと、女性だから上がれない、という古い風潮が、あまりない業界でもあるんでしょうか。お茶くみから始めろ、というようなところがない。
熊谷 そうですね、確かにそれほどないと思います。
三鴨 確かに過去、「女性のくせに……」と何度か言われた事もあって、その時はムカっとしたりもするんですが、最終的には、やっぱり、仕事の内容で評価して頂けていると思います。
私なんか、あまりに気を使ってもらえなすぎて、もうちょっと気を使ってよ、って思う事はありますけれど(笑)。
熊谷 私はそんな風に伸び伸び育てられちゃったものだから、接待や会食のときでも、お酌やらお皿を取るやらの役目ができなくて、だいたい男性たちがやってくれたりするので、女子的にはちょっと心苦しいところも(笑)。
――では、次の質問に行ってみましょう。
◆質問:おふたりは、なぜプロデューサー、ディレクターという管理領域の道を選んだのですか?
――おふたりともプランナーを経験されていると思いますが、プランナーからディレクター、プロデューサーという道は、ゲーム業界では直結しているものなんでしょうか。
熊谷 私の場合は、比較的直通でした。
三鴨 私は、最初にゲーム業界を目指していたときは、いい企画書を書けばいいゲームができる、とすごく短絡的に考えていて、ディレクターやプロデューサーなんていう職種自体を知らなかったんですよ。でも入ってみたら、そんなに簡単ではなくて、企画書を書いても人の問題できちんと伝えられないこともあるし、スケジュールや予算の問題も出てくるしで。どうにかゲームを理想通りに完成させるためには、と全要素を潰していったら、結局プロデューサーに行き着いたんです。
熊谷 やるしかなかったわけですね。おのずと道がそこにしかなかった感じで。
三鴨 やるしかなかったです。気がつけば、その領域のことを全部やっていました。前の会社を辞める頃には、何でも屋になっていて、もう自分の職種はよくわからなくなっていましたね。
熊谷 それを当てはめてみたら、プロデューサーだったという感じですね。
三鴨 そうです。前の会社を辞めてトライエースに入るまでに、自分の仕事を何と言うべきか考えてみたら、どうもプロデューサーらしいと。
――トライエースには、最初からプロデューサーとして入られたんですか?
三鴨 トライエースからは、女性のアシスタントプロデューサーを探しているという話が人づてに来たんです。これを言うと怒られるんですけれど、そのとき、私はトライエースが何を作っている会社なのか全然知らなくて(笑)。そこで職務経歴書を見せたら「プロデューサーだね」と言われたので、やっぱりプロデューサーだったんだ!と分かりました。
――中小規模の開発会社では、あまりその辺りはハッキリ分かれてないことがあるんでしょうか。さすがにセガでは、そんなこともないかと思いますが。
熊谷 いやいや、全然分離していなかったですよ。水口さんの部署と離れて完全にゲームの開発部門に異動したときには、まだプロデューサーという職種はなくて、ディレクターが何もかもやっていました。特にアーケードはコンパクトなチームで作ることが多かったので、企画はディレクターとアシスタントディレクターのふたりだけが右往左往するような時代でした。
プロデューサーという名前はセガの中にはなくて、私が知る限りでは、例えば鈴木裕さん(編注:セガAM2研で『スペースハリアー』『アウトラン』『バーチャファイター』などを手がけたクリエイター)もプロデューサーではなくAM2研の部長で、結果的にすべてのゲームのプロデュースをしていた、という形ですね。しかもご自身でかなりのところまでプログラムを組んでいました。部長さんが自動的にプロデューサーとして仕事をしていたんだと思います。
いまはプランナーからディレクター、プロデューサーまで、きちんと分けていることがほとんどですね。ゲーム開発が大規模化していった、歴史的な背景もあります。
――トライエースでは、その辺りの分化はいかがですか。
三鴨 トライエースの場合は、明確に分かれていますね。社内ガイドラインにも、プロデューサーとはこういうものである、という定義が明記されています。ディレクターならゲームクオリティに絶対の責任を持つ、プロデューサーなら渉外や予算管理に絶対の責任を持つ、という感じで。そうだったのか、って思いました(笑)。
――そういう意味では、昔のように、デザインもプログラミングもする、という業界ではなくなっているんですね。
熊谷 いまはほとんど考えられないですね。
三鴨 作っているものの規模だとは思いますけれど。小規模なうちはできるかもしれません。
熊谷 10人程度くらいまでなら、なんとかなるのかもしれないですね。
――では、最後の質問に行ってみましょう。
◆質問:ゲームの作り手を目指す女性に、これだけは気をつけておけ、というアドバイスをするなら?
熊谷 私なりに答えると、ライフプランですかね。女の子だけにそれを問うのはかわいそうだけれど、やっぱり結婚して子どもを産んで、というのは年齢とともにある問題なので、ざっくりどういう社会人人生を送るのかをイメージしておいたほうがいいです。男性のように、時期がくれば、というだけでいくのは難しい。女性はある程度意識的にどうするかを決めてかからないと、どうしてもタイムリミットが来るので。
ある程度未来を見据えて、その上で自分の答えが出ていればいいんですけれど、流されていくと、気がついたときには時間が経っちゃうよ、ということだけは、伝えておきたいことですね。
――やりがいのある仕事でもあるので、どうしても流されてしまうこともあるのかもしれませんね。
熊谷 時間も心も奪われる、すべて持っていかれる仕事なので、そのつもりではいなさいよ、ということですね。
三鴨 熊谷さんのおっしゃるとおりで、特に子どもができてからも仕事を続けたいのかどうかで、変わってくると思います。その点では、どうしても女の人のほうが大変ではあるので。考え方は人それぞれで、どういう形でもいいとは思いますけれど、自分がどうするか、例えば子どもを産んでも仕事を続けると決めたら、ブレさせない覚悟は必要だと思います。
熊谷 いずれにしても、何をどうするのかを決めて、そのために環境をどう作っていくのかは、意識しておいたほうがいいですね。
――では、最後にひとことずつ、ゲームのプランニング、ディレクション、プロデュースの道を考えている女性に、こんな人なら来てみたら?、という呼びかけを。
熊谷 自分がこんなキッカケで入っておいて申し訳ないんですけれど(笑)、求めるのは、女性ではあっても、なんだかんだでゲームが好きで、作ることにモチベーションが高くて、でも常に向こう側にあるユーザーの目線で考えて、こういうものを提供すれば楽しんでもらえるのではないか、と考えられること。そういう人には目指してみて欲しいですね。
それと、女性プランナーを採用していると、負けん気が強い人が多いんですよ。負けん気はこの職種には重要だなと思いつつも、気負いすぎるなよ、とは言いたいですね。負けていいことなんて、実はいくらでもあるんです。勝たなきゃいけない部分だけ勝てばいい。そこは、負けん気が強い皆さんに言っておきたいことですね。
三鴨 それは良くわかります。私も当初は男性に負けないように、と意識していたことはあったんですけれど、対等の勝負をしようとするからおかしなことになる、ということもよくあるんですよね。あえて同じ土俵で戦わない、という選択は必要かもしれないですね。
――三鴨さんは、どんな人に来てみて欲しい、と思いますか?
三鴨 女性のゲームユーザーさんも増えてきましたし、ゲームが好きでやる気のある女子は、どんどん業界を目指して欲しいと思います。業界自体、女性が能力を発揮できる環境が整ってきていると思います。
管理職という事に関しては、多くの人が管理職の責任の重さに引いてしまうという事があると思いますが、責任を取る取らないばかりを考えずに目指して欲しいですね。
私も責任を感じないわけではないですけれど、結局は目の前のことを一所懸命やるしかなくて、その延長線上にディレクターやプロデューサーがあっただけなんですよね。仕事を突き詰める、ステップアップしていくことを純粋に考えたときに、その先に管理職があれば、目標にしてみてもいいんじゃないかな。責任の取り方も色々ありますし、気負わずにやってみたら?と思います。
――では、今回はこんなところで。おふたりとも、ありがとうございました。
(2015年4月収録)
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