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【台北ゲームショウ2015】一般ユーザーで人気のBtoCエリア、台湾の未来を感じさせたBtoBエリア……台北ゲームショウ雑感

会場全景

 台北ゲームショウの一般公開日が1月30日からスタートした。例年台湾の旧正月休みにあわせて開催されるイベントとして定着しており、今年も多くの来場者がエキスポフロア(BtoCエリア)に詰めかけた。そこでは、いわゆる「産地」がどこであろうと、おもしろいゲームにユーザーが群がるという、遊びに対する貪欲な姿勢が感じられた。

 台北ゲームショウは例年ビジネスデイが2日、一般公開日が3日間と合計で5日間開催される、デジタルゲームの販促イベントだ。これまでPCのパッケージゲームからオンラインゲーム、ブラウザゲーム、モバイルゲームと主役が入れ替わってきたが、特にここ数年のトレンドになっているのがモバイルゲーム。今年は『神魔之塔』を擁する香港のmadheadに加えて、『刀塔伝説』を擁する中国Lemon Gameが初出展し、両者でフロア全体の1/3を占める巨大ブースを設営。業界関係者の間では「今年の台北ゲームショウは“Two Towers(ふたつの塔)”だ」という声も聞かれたほどだった。


▲台北ゲームショウ2015の会場図。左上と右上の巨大ブースが“ふたつの塔”だ。

 一方、第二勢力を形成したのがコンソール陣営で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が「ふたつの塔」には劣るものの、そこそこ巨大なブースを設営。単独でブースを設営したバンダイナムコゲームスとあわせて、存在感を強くアピールしていた。また「ふたつの塔」がステージイベント中心でフロア自体はガランとしていたのに対して、コンソール陣営ではPS4やPS Vitaでのデモ機を多数展示。いわゆる東京ゲームショウと同じスタイルで、好対象をなしていた。

 またSCEブースではゲーム機本体や専用ソフトをブース内で販売し、ビジネスデイの初日は午後早くに割り当て分が完売したほど。台湾ユーザーにおけるコンソール熱のたしかな高まりも感じられた。専用ソフトも大半がディスカウントされ、旧正月休みに遊ぶゲームを物色するために訪れるユーザーも少なくないと聞かれたほど。後述するBtoBコーナーでも、PS4でリリースしたいというインディゲーム開発者の声も聞かれた。このほか今年度はアナログゲームコーナーが新設され(台湾では若者の政治熱の高まりを反映して政治を題材にしたオリジナルゲームが人気なのだとか)、ゲームを購入したり試遊したりする参加者で賑わっていた。

 これに対して一時期より格段に減少したのがPCオンラインゲームやウェブゲームの出展だ。またスマホゲームも「ふたつの塔」以外はガクンと減り、合計でも10本未満といったところ。大ヒットタイトルの出現の影で、全体的な寡占化が進んだ印象だ。また世界規模のゲーム大会IEM(Intel Extreme Masters)を展開するIntelブースも含めて、そのほとんどが(台湾人にとって)外国企業ブースばかり。そうした出目には関係なく、ステージイベントを楽しみ、ゲーム機やソフトを購入し、Eスポーツに熱狂する台湾ゲームユーザーの姿に、ゲーム文化が改めてインターナショナルな存在であることを実感させられた。

 もっとも、こうした状況に両手を上げて賛同というわけにはいかないのが、地元台湾のゲーム業界人であることは言うまでもない。そのためビジネスデイにあわせて1月28日・29日に実施されたBtoBコーナーには、台湾企業を中心にインディゲーム企業が約60社、パブリッシャーやツールメーカーが約70社集結。技術やマーケティングに関するカンファレンスも併設され、業界人の姿が多く見られた。一般ユーザー向けのBtoCエリアからは、ほぼ一掃されてしまったが、台湾のゲーム産業の未来はBtoBコーナーから生まれる……そうした気概も感じられたほどだ。


▲インディーズゲームフェスタが同じ部屋で開催されたため、気軽な雰囲気で開発者同士やパブリッシャーとの交流が行なわれていた。ビジネス色が濃厚だったBtoBのイメージが払拭される内容だった。

 台北ゲームショウはコンソール中心の東京ゲームショウと、PCオンラインゲーム中心のチャイナジョイ(中国)やG−STAR(韓国)の、ちょうど中間に位置する世界でもユニークな展示会だ。過去の急速な変化と同じく、今後もその時々のゲームを貪欲に飲み込んで、さまざまに形を変えていくに違いない。そうしたダイナミズムが十二分に感じられた内容だった。

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