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カドカワ、「niconico」有料会員の減少や『君の名は。』の反動で営業益60%減。平成30年3月期決算。

カドカワ

『天華百剣 -斬-』や『ゆゆゆい』などのアプリゲームの好調も、各事業が軟調に推移し大幅な減益。

カドカワ株式会社は、平成30年3月期決算を5月10日に発表した。当期売上高は2067億8500万円(前期比0.5%増)、営業利益31億4400万円(同62.6%減)、経常利益37億1600万円(同49.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益10億3800万円(同82%減)となった。

経営成績の概況

Webサービス事業
動画プラットフォーム「niconico」における「ニコニコプレミアム会員」のサービス収入が柱であり、ウェブサイト上のバナー等の広告、有料動画等の関連収益を計上。期初には平成29年10月を予定していた「niconico」の新バージョン(く)(読み方:クレッシェンド)のリリースやスマートフォン向けの新サービスの投入が遅延し、「ニコニコプレミアム会員」は当連結会計年度末で207万人に減少。最先端の機能の開発投資負担や既存サービスの改善費用負担が、主な減益要因となった。

ライブでは、競合する他の動画サービスとの差別化を図るべく、「ネットとリアルの融合」をテーマに各種ライブイベントの企画・運営、ライブハウス「ニコファーレ」を運営。。平成29年4月に開催した「ニコニコ超会議2017」の2日間の会場来場者数は15万4,601人と過去最高を記録。8月に開催した世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live 2017 -THE CARD-」では、3日間で8万1000人を集めた。また、平成30年2月に開催した「闘会議2018」に7万2425人が来場し、盛り上がりを見せるなか、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)よりジャパン・eスポーツ・プロライセンスが発行され、日本におけるeスポーツ発展の布石となった。また、ニコニコ動画で人気のクリエイター陣が関わるNHN PlayArt株式会社との共同プロジェクト「#コンパス〜戦闘摂理解析システム〜」や人気動画配信者のライブツアー関連の事業が収益に貢献している。

モバイルでは、シングル楽曲/着うたなどを配信する総合エンタテインメントサイト「dwango.jp」や、アニメ総合ポータルサイト「animelo」からの収益を計上。有料会員数は減少しているが、外注費や広告宣伝費等の固定費削減に努め、年度を通じて収益性を維持している。

上記の結果、売上高は290億2300万円(前年同期比7.2%減)、セグメント損失は10億6700万円(前年同期 営業利益28億1500万円)となった。

出版事業
電子書籍・電子雑誌では、株式会社NTTドコモが運営する雑誌読み放題サービス「dマガジン」、自社グループの総合電子書籍ストア「BOOK☆WALKER」、他社の電子書籍ストアでの販売がいずれも好調で、出版業界の厳しい環境の下、成長が継続した。

書籍では、ライトノベル・コミックス分野で「Fate」「ソードアート・オンライン」「この素晴らしい世界に祝福を!」等のシリーズ作品が、文芸書で「西郷どん!」「ラプラスの魔女」等、児童書で「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」といった作品がヒットした。ノンフィクション分野における新機軸のジャンルや語学・学習参考書・辞典分野の強化を進め、「女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと」や、23年ぶりの改訂となった「新字源」が多くの読者を獲得。一方で、平成32年4月のフル稼働に向けてテスト生産を始めている製造・物流一体の最新鋭工場や出版分野でのデジタル関連の新規事業の準備費用、前年同期に歴史的ヒットを記録したアニメ映画「君の名は。」関連書籍の反動により減益となった。

雑誌では、創刊30周年を迎えて月刊化した「レタスクラブ」が好調となり、地域情報誌やテレビ情報誌も堅調であった。また、販売や広告売上の減少が続く市場環境の下で、Webメディアへの移行等ビジネスモデルの転換を進行。それにより、Webサイトのページビューや広告収入の増加といった成果につながった。

上記の結果、売上高は1126億9100万円(前年同期比0.3%減)、セグメント利益は60億円(前年同期比28.1%減)となった。

映像・ゲーム事業
映像では、実写作品の「空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎」や「ナミヤ雑貨店の奇蹟」が売上に大きく貢献。アニメでは、「ノーゲーム・ノーライフ ゼロ」や「劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い」の配給収入やパッケージソフト販売、「劇場版 艦これ」のパッケージソフト販売に加えて、「Re:ゼロから始める異世界生活」「オーバーロードⅡ」「ソードアート・オンライン」のライセンス収入などが、総じて好調だった。しかし、その他の実写作品の勢いが弱く、アニメも「君の名は。」から反動減もあり、減益となった。

ゲームに関しては、アプリゲーム『天華百剣 -斬-』『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』やコンソールゲーム『DARK SOULSⅢ』が年度を通じて好調を維持。新作『ARK: Survival Evolved』のヒットや「ダンガンロンパ」シリーズを中心としたSteamでのキャンペーンの成功から、増収増益を記録した。

上記の結果、売上高は474億4000万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は28億7400万円(前年同期比13.2%減)となった。

その他事業
ネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育プログラムの提供や、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール運営を行う教育事業、キャラクター商品の企画・制作・販売やアイドルCDのeコマース等のMD(物販)事業を行なっている。

東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32年を収益化の目途としているインバウンド事業の準備費用等が引き続き計上しているが、教育事業の貢献により赤字が縮小。

上記の結果、売上高は208億2100万円(前年同期比3.0%増)、セグメント損失は13億5600万円(前年同期 営業損失16億3500万円)となった。

以上の結果、カドカワの当連結会計年度業績は、売上高2067億8500万円(前年同期比0.5%増)、営業利益31億4400万円(同62.6%減)、経常利益37億1600万円(同49.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益10億3800万円(同82.0%減)となった。

平成31年3月期の業績予想に関しては、以下の通り。

関連サイト

カドカワ株式会社公式サイト
平成30年3月期  決算短信〔日本基準〕(連結)
2018年3月期 通期決算説明資料

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