「ヤングマガジン」「イブニング」など計8誌の編集著作権を侵害。今後も海賊版被害の拡大防止のため、違法サイトの運営者らの責任を追及。
株式会社講談社(以下、講談社)は、1月17日に大阪地方裁判所から実刑判決が下された、海賊版サイト「はるか夢の址」の運営者ら3人に対して、損害賠償を求める民事訴訟を提起し、7月9日付で大阪地方裁判所に受理されたことを公式サイトで発表した。
本発表は、「はるか夢の址」の運営者ら3人が共同で、講談社のマンガ作品などを含む多数のコンテンツを無許諾でアップロードし、公開していたことに関するもの。
同サイトによる被害は、マンガだけでも2016年7月~2017年6月の1年間で、総額約731億円という推計(一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会「ACCS」調べ)があることから、講談社は、自社の出版物に限っても、数十億円を下らない被害が発生したものと試算している。
今回の民事訴訟は、数多くの出版物が海賊版として不正に流通したなかで、講談社発刊の「ヤングマガジン」「イブニング」など計8誌に関する編集著作権が侵害された損害について、損害額をおよそ1億6000万円と算定し、損害賠償を請求するというもの。
被告人らは、刑事事件の第一審において、懲役3年6か月、同3年、同2年4か月の有罪判決を受けており、今後、控訴審の審理に臨むとのこと。その中で、講談社はこれまで明らかにしているとおり、海賊版被害の拡大と蔓延を防ぐため、積極的に違法サイトの運営者らの責任を追及していく。
本件について、講談社の主張が認められた場合、当該3人から支払いを受けた損害賠償金は、読書にかかわるアクセシビリティ関連の団体に寄付することを検討している。
今後も講談社は、「はるか夢の址」の事案にとどまらず、マンガ家ら創作者の努力を踏みにじる悪質な権利侵害案件について、刑事告訴に加えて民事訴訟の提起を進める考えでおり、さまざまな法改正を求めると共に、海賊版撲滅に向けて警鐘をならしていくと発表した。