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サンリオ、国内事業では増収も消費税増や海外事業の苦戦で減収減益 2020年3月期第3四半期決算

サンリオ

日本では消費増税や台風の影響があったが売上増加。海外事業では新規市場開拓に挑むも欧州やアジア市場で大きく減収減益。

株式会社サンリオ(以下、サンリオ)は、2020年3月期第3四半期決算(連結)を2月12日(水)に発表した。当期連結累計経営成績は、売上高421億5100万円(前年同期比3.4%減)、営業利益24億3300万円(同36.1%減)、経常利益33億700万円(同27.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益15億4000万円(同48.9%減)だった。

経営成績に関する説明

当第3四半期連結累計期間において、国内は10月に台風と消費増税に伴った影響が物販やライセンス、テーマパーク事業にあったが、増収となった。特に、テーマパーク事業ではイベントで集客や商品販売が好調だったほか、物販事業で話題性の高い商品に恵まれたことで売上が増加した。

海外では、中国の上位ライセンシー3社からの売上減少、香港ではデモによる店頭売上の落ち込みなど、想定よりも外部要因による影響が発生した。一方で、東南アジアに関しては、フィリピンやインドネシアにてライセンス事業の新規代理店が稼働し、北米では新規チャネル開拓が奏功し、売上に貢献した。

地域ごとの業績は以下の通り。

日本
物販事業に関しては、10月前半の消費増税や台風襲来で集客に影響があったが、10~12月期の客数も前年同期比で2桁伸長し、当期累計の既存店売上が前年同期を大きく上回った。

要因としては、45周年を迎えた「ハローキティ」のバースデープロモーションをはじめ、毎年恒例のノベルティ販促策と絡めたクリスマスギフト関連や、あったか関連のシーズン商品が好動向をしめしたことや、毎月発売する当りくじが広い年代の客層に支持された。

さらに、エンジョイアイドルシリーズ第2弾の発売で、上半期に続いて中高生や大学生、OL層に客層が広がった。

卸部門については、取引先のイオンやドン・キホーテ、Amazonの売上が好調だった。12月には秋葉原に小売店をオープンし、新規顧客獲得につなげた。今後さらに、既存取引先に次ぐ柱となる有望チャネルの獲得に向けて営業を強化する。

ライセンス事業の商品化権ライセンスでは、10月の消費増税や台風被害などのマイナス要因があったが、インバウンドを意識した地域限定商品やキャラクターのワイド展開の強化に取り組んだ。

特に、菓子・食品分野では、大手食品メーカーとの取引拡大や新規取引先の獲得により、売上が増加した。また、アニメ・デジタル事業で、大手ゲーム会社の人気ゲームとサンリオキャラクターとのタイアップや、話題のアニメやアーティストとのコラボ商品が好調に推移した。

対企業企画では、「マクドナルド」や「くら寿司」などの外食チェーンのキャンペーンに加え、「イトーヨーカドー」、「アリオ」などの流通大手の空間装飾やキャンペーンが売上に貢献したほか、花王株式会社の「エッセンシャル」の商品化、エースコック株式会社のインスタント麺キャンペーン、赤城乳業株式会社のアイスクリームキャンペーンなど、各大手メーカーとの取り組みが堅調に推移した。

「ハローキティ」の45周年イベントや、「ぐでたま」イベントなどを全国の百貨店で行なっており、エンターテイメント分野の売上も大きく寄与した。

テーマパーク事業は、東京都多摩市のサンリオピューロランドについては、若い女性向けにSNSで情報発信を行なったことで、入園者数が113万人(前年同期比4.3%増)と、前年同期比で増加。商品では、特にカチューシャなどのグッズが好評だった。

上記の結果、日本の売上高は338億6200万円(前年同期比0.1%増)、営業利益20億8500万円(同23.5%減)だった。

欧州
前年同期に計上したミニマムギャランティ未達分の売上をカバーするには至らなかったが、欧州主要国におけるファッションカテゴリーに回復の兆しがみられ、前年同期比での減収幅を縮小した。

新興国については、イスラエルが好調であったが、中東諸国の苦戦をカバーしきれなかった。

「ミスターメン リトルミス」を扱うイギリスの子会社Sanrio Global Ltd.においては、出版やアパレルカテゴリーが苦戦したことに加え、中国市場での拡大遅延の影響で減収減益となった。

上記の結果、欧州地域の売上高は9億9200万円(前年同期比27.6%減)、営業損失4億4400万円(前年同期は2億2000万円の営業損失)だった。

北米
ライセンスでは、「OPI」や「Levi’s」などとのコラボ展開や、コスメ商品の新規関連チャネルの開拓が奏功し、売上に貢献した。

物販では、EC事業にて「Levi’s」等コラボ商品の売れ行きが好調だったが、中南米への卸売の減少や、前期に倉庫閉鎖に伴うセールを行なったことで減収となった。

上記の結果、北米地域の売上高は18億2900万円(前年同期比3.1%減)、営業損失は7億円(前年同期は7億5900万円の損失)だった。

南米
レアル安による為替差損の影響が大きかったが、現地通貨ベースでは微減収に留まった。ブラジルでは、サンダルを扱う「Melissa」とのコラボレーションが貢献したが、アパレルトップライセンシーとの取引縮小が大きく影響した。メキシコでは、生理用品が貢献したが、アパレルやアクセサリーカテゴリーでは苦戦を強いられたことから減収となった。

上記の結果、南米地域の売上高は3億6100万円(前年同期比12.1%減)、営業利益70万円(同95.1%減)

アジア
香港・マカオでは、デモ等による社会騒乱により店頭集客が伸びず、主力取引先が軒並み大幅な売上減少となった。東南アジアでは、タイやシンガポール、ベトナムの売上が伸び悩んだが、フィリピンや新規代理店を採用したインドネシアにおいては、新規契約を多数獲得するなど、開拓が進んでいる。

台湾では、流通キャンペーンや既存取引先からの売上が縮小している。

韓国については、日韓関係を背景に商談中止や商品展開の縮小もあり、新規獲得は進んでいるが売上は大きく減少した。

中国では、ノベルティやモールイベントといったプロモーション関連と、文具やスクール関連の商品が好調だったが、トップライセンシーの落ち込みをカバーするには至らなかった。

上記の結果、アジア地域における売上高は51億600万円(前年同期比17.0%減)、営業利益は19億1000万円(同22.8%減)だった。

関連サイト

株式会社サンリオ公式サイト
2020年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2020年3月期第3四半期決算説明資料

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