映画事業の苦戦に加えて、興行事業や催事関連事業でも新型コロナウイルスで損失を計上。「ドラゴンボール超 ブロリー」の劇場上映権販売は北米で好調。
東映株式会社は、2021年3月期第2四半期決算短信(連結)を11月13日(金)に発表した。当第2四半期連結累計期間の売上高は458億8300万円(前年同期比39.7%減)、営業利益53億5000万円(同60.6%減)、経常利益は63億3800万円(同58.5%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は15億9400万円 (同76.9%減)だった。
経営成績に関する説明
東映グループでは、自治体からの各種要請や政府による緊急事態宣言を受けて、劇場用映画の公開延期やシネコンなどの営業休止、イベントの中止などの対応を行なってきたが、緊急事態宣言解除後は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を徹底し、映像関連事業を中心にコンテンツ事業の強化や効率的な活用につとめるなど、堅実な営業施策を講じてきた。
セグメント毎の業績は以下。
映像関連事業
映画事業では、提携製作作品である「映画おしりたんてい/仮面ライダー電王/映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂/ りさいくるずー(東映まんがまつり)」や「死神遣いの事件帖 -傀儡夜曲-」などの6作品を公開したが、「劇場版 仮面ライダーゼロワン/魔進戦隊キラメイジャー THE MOVIE」や「シン・エヴァンゲリオン劇場版」など、当第2四半期連結累計期間に配給を予定していた一部の劇場用映画は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響で公開延期となり、前期の公開作品の続映や旧作の配給といった対応を実施せざるを得ない状況だった。
ビデオ事業では、主力の劇場用映画のDVD・ブルーレイディスク作品に加えて、テレビ映画のDVD・ブルー レイディスク作品を販売した。
テレビ事業では「特捜9」や「警視庁・捜査一課長」「仮面ライダーゼロワン」などを制作して、作品内容の充実と受注本数の確保につとめた。キャラクターの商品化権営業は、玩具の小売販売が厳しい状況に置かれるなか堅調に推移した。
コンテンツ事業では、劇場用映画などの地上波・BS・CS放映権とビデオ化権の販売に加えて、VOD(ビデ オ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツを販売した。アニメ関連では「ドラゴンボール」シリー ズのゲーム化権販売や、「劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』」の劇場公開に向けたタイアップ・キャンペーン向け許諾が好調だった前年同期の勢いには至らなかったが「ドラゴンボール超 ブロリー」の劇場上映権販売が北米で好稼働した。
上記の結果、売上高は370億4700万円(前年同期比25.6%減)、営業利益は79億3500万円(同27.8%減)となった。
興行関連事業
映画興行業では、緊急事態宣言を受け、4月から5月にかけて東映の直営館と株式会社ティ・ジョイ(以下、ティ・ジョイ)が運営するシネコンの営業を全国的に休止した。営業を再開した6月以降も、新型コロナウイルス感染症対策の一環で、座席制限を行なったことや配給各社の公開延期などで、興行収入が低調に推移した。7月以降は、他社配給作品でヒット作があったものの、依然として先行きの不透明な状況が続いている。
なお、2020年6月24日にティ・ジョイ運営のシネコン「T・ジョイ横浜(9スクリーン)」が開業したことで、214スクリーン体制(東映直営館4スクリーン含む)で展開している。
上記の結果、売上高は33億5600万円(前年同期比74.1%減)、営業損失は13億6700万円(前年同期は営業利益16億4700万円)だった。
催事関連事業
催事事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でキャラクターショーや文化催事、舞台演劇などが相次いで中止を余儀なくされるなど、大変厳しい状況だった。
また、緊急事態宣言の対象が全国に拡大された4月中旬以降は、シネコンなどが全国的に臨時休業したことで、劇場映画関連商品の販売が大幅に減収となった。
7月以降は「シルバニアファミリー展」などのイベントを行なったが、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、規模を縮小して行なわざるをえず、感染拡大の収束時期も見通しが立たないことから、今後の売上回復には、相応の期間がかかる見込み。
東映太秦映画村では、前期の3月から引き続き、6月中旬にかけて新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため臨時休業した。営業再開後も、入場制限や一部イベントの休止を行なっていることから、引き続き、厳しい状況になると予想している。
上記の結果、売上高は9億5700万円(前年同期比80.9%減)、営業損失は4億7900万円(前年同期は営業利益10億3700万円)だった。
観光不動産事業
不動産賃貸業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一部テナントの家賃減免及び賃料改定、支払猶予などの対応を行ない、「プラッツ大泉」「オズ スタジオ シティ」「渋谷東映プラザ」「新宿三丁目イーストビル」「広島東映プラザ」などの賃貸施設は売上が減少したが、将来見通しが立ち辛い現状の中、堅調に稼働した。
ホテル業では、インバウンド需要が低迷するなどの非常に厳しい経営環境にあるとのこと。7月からスタートした「Go To トラベル事業」などの各種政策の効果は不透明であることから、一定期間に渡って様々な影響を受けると想定している。
上記の結果、売上高は24億1000万円(前年同期比24.7%減)、営業利益は6億9000万円(同47.7%減)だった。
建築内装事業
公共投資は底堅さを維持しているが、企業収益の減少や先行き不透明感の高まりにより設備投資は弱含み、当面、慎重な動きが続くと見込んでいる。
当第2四半期連結累計期間については、厳しさを増す受注環境にありながら、従来の顧客の確保と新規顧客の獲得につとめ、シネコンや商業施設の内装工事等を手掛けるなど、積極的な営業活動を行なった。
上記の結果、売上高は21億1200万円(前年同期比58.0%減)、営業損失は1900万円 (前年同期は営業損失700万円)だった。