コロナ禍でライブやイベントなどの観客を動員する活動は自粛傾向に。映画「みをつくし料理帖」などに出資。
株式会社KeyHolder(以下、KeyHolder)は、2020年12月期決算短信(連結)を2月12日に発表した。当連結会計年度における業績は、売上収益107億万円(前期の売上収益は49億8400万円)、営業利益16億500万円(前期は営業損失4億1900万円)、税引前利益9億9600万円(前期は税引前損失5億400万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益12億8800万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期損失8億4800万円)だった。
2019年12月期は、決算期変更により2019年4月1日から2019年12月31日までの9か月間だったことから、対前期増減率については記載していない。
経営成績に関する説明
総合エンターテインメント事業
ライブ・エンターテインメント部門においては、株式会社ゼスト(以下、ゼスト)と株式会社A.M.Entertainment(以下、AMR)、ノース・リバーが展開する芸能プロダクションとトータルプロデュースを主な事業としている。
当期は、政府が発令した「基本的対処方針」やガイドラインに基づき、一部の催し事には厳格な制限を設けることで再開の兆しがみえはじめたが、「SKE48」や「Novelbright」「BRIDEAR」などの所属アーティストにおけるツアーやライブ、ファン交流イベントなどといった観客を動員する活動は依然として自粛傾向にある。
このようななか、「Novelbright」がユニバーサルミュージックより「コカ・コーラ ゼロシュガー」CMソングでメジャーデビューしたほか、男女混合次世代コーラスグループ「空のシタFAMILIA」や5人組ダンスアンドボーカルグループ「FlowBack」、自社開催のオーディションによる新人発掘では、ライブ配信アプリ「ミクチャ」のトップライバーのひとりでSNSから誕生した次世代女優として活躍が期待される「井筒しま」など、個性豊かなタレントのマネジメント契約を積極的に行なった。
そのほか、ファン参加型ボーイズユニット育成プログラム「ZEST SECOND」を開始し、さらなる体制強化を推進した。
アーティスト以外にも、複数のプロスポーツ選手との所属、またはメディアマネジメント契約を締結するなど、所属タレント層の拡充につとめた。
カラーコンタクトレンズ部門においては、株式会社FA Projectにおいて、「me me mar」のブランド名でカラーコンタクトレンズの企画、開発、販売を行なっている。
ドン・キホーテや薬局など全国600を超える販売店での取り扱いと並行して、2020年7月からイメージキャラクターにPopteen専属モデルの福富つき氏(通称、タルちゃん)を起用するなど、販促に注力してきた。
デジタル・コンテンツ部門では、株式会社allfuz(以下、allfuz)において、累計850万ダウンロードを達成した恋愛シミュレーションアプリ『乃木恋』や、韓国のPOPアイドルグループ「TWICE」の公式ゲームアプリ『TWICE -GO! GO! Fightin’-』に加え、新作スマートフォン向けのゲームアプリ企画から運営、プロモーションに関わる支援を行なっている。
上記の結果、売上収益58億200万円、セグメント利益22億8700万円となった。
映像制作事業
株式会社UNITED PRODUCTIONSが、地上波における人気バラエティ番組を制作したほか、「世界は教科書でできている(NHK総合)」や「国民・専門家・AIがガチで選ぶ戦国大名総選挙(テレビ朝日)」などの特番の制作、1月より放送された「病室で念仏を唱えないでください(TBS)」や10月より放送された「恋する母たち(TBS)」のドラマ制作などを行なった。
ほかにも、2020年10月16日より全国で公開された映画「みをつくし料理帖」、2021年2月11日から全国公開している直木賞受賞ベストセラーサスペンス「ファーストラブ」、2021年公開予定の日米合作映画「太陽の子」への出資など、複数の製作委員会に参画した。
しかしながら、新たなバラエティ番組や特番の制作を獲得しているものの、いくつかの制作案件において制作時期や放送時期、映画公開時期のずれ込みなど、売上と利益面で影響を受けたものがあった。
また、番組制作スタッフの派遣事業に関しては、派遣先である映像制作会社の状況に伴って、一部の制作案件では派遣の受け入れが減少したが、順調に推移したとのこと。
上記の結果、売上収益38億4100万円、セグメント利益1億3700万円となった。
広告代理店事業
株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが毎年展開するセブンイレブンフェアの企画提案を行なっており、著名アーティストや「乃木坂46」などとのコラボ企画のほか、KeyHolderグループのコンテンツである「SKE48」を活用した企画の展開と運営に加え、企業クライアント案件や行政機関などからの依頼に対する制作案件では、グループリソースを活かした提案を行なうなど、様々な取り組みを行なってきた。
当期は、広告主による出稿時期の見直しや自粛などの判断により、売上、利益面で影響を受けた。
上記の結果、売上収益6億6100万円、セグメント損失8800万円となった。
その他事業
allfuzにおいて飲食事業として、都内で「Don Bee」の屋号などで、ダイニングバー2店舗を運営している。それに加え、株式会社victにおいて運送事業として、ネットスーパーに関わる配送業務のほか、ライブやイベントなどで使用する機材運搬を行なっている。
また、キーノートが担っていた不動産事業セグメントが非継続事業となったことで、KeyHolderとallfuzによる不動産事業セグメントに含まれていた不動産賃貸部門の業績を、その他事業のセグメントに計上した。
上記の結果、売上収益3億9400万円、セグメント損失4100万円となった。