◆フォーメーションがバトルの鍵を握る!
日本人は戦略や戦術について議論するのが好きな傾向がある。それが現実の世界で顕著に表れるのが、野球の打順やサッカーのフォーメーションに関する話だ。たとえばサッカーのフォーメーションは、欧州ではそこまで議論されないのだが、日本だとメディア総出でフォーメーション議論に熱くなることもしばしば。
もちろんファンも同様。野球やサッカーが好きな人は自分ならではのスターティングメンバーと選手配置を頭の中に描き、試合を観て、そして結果を確認して、そのチームについて分析、考察していることだろう。こういった話はネットならごく日常的にみられるものだ。
乱暴な言い方をすれば『ソードクロニクル 世界樹の秘宝』は、そんなスポーツ観戦好き、戦略/戦術マニアなら必ず楽しめるゲームだ。本作品のゲームジャンル名は“フォーメーションRPG”。バトルでのキャラクター配置および変更という、フォーメーションが鍵を握るゲームなのだ。
スポーツ好きがどのように楽しめるかを解説する前に、まずはゲームのストーリーと概要を説明しよう。創造主の竜王によって創り上げられた世界「ドラゴンズヘイム」で、主人公は謎の少女ユナやさまざまな仲間たちと出会い、冒険を続ける中で世界と竜王の謎に迫っていく。ひとつのマップですべてのバトルをクリアすると、新たなマップが登場してストーリーが進行。そのバトルでパーティを構成するのは、それぞれに属性や能力を持った個性的な幻獣たちだ。
幻想的なストーリーと神話の世界などをモチーフにした幻獣たちは、ファンタジックな世界やRPGが好きな人なら存分に楽しめるものになっている。そんな世界観の上に、スポーツ好きならより楽しめるシステムが加わっているのだ。
◆戦闘ではポジションと打順の変更が重要だ!
プレイヤーが監督で、幻獣が選手と考えると、フォーメーションRPGの意味がわかりやすい。ゲーム開始時にプレイヤーは、パーティの中心となる幻獣を選択する。スポーツに例えるとキャプテン的な役割だ。そしてそのキャプテンを中心に5体の幻獣を選抜してチームを編成し、前列3枠、後列3枠のフォーメーションに配置。残りの1枠はほかのプレイヤーからの助っ人をレンタルして埋めることになる。
この前列3枠、後列3枠の配置は、ポジションであり打順でもある。前列は敵の物理攻撃を受けるが、後列は魔法攻撃以外でダメージは受けず、後列からの攻撃も威力が落ちることはない。そして幻獣には属性が存在するので、自分のチーム同様に最大6体で登場する敵の属性を見て、相性がいい属性の幻獣を正面に配置すれば優位に戦える。相手の守備の弱点を突くサッカーのような采配を楽しめるのだ。
攻撃順は仲間は前列左からスタートし、前列全員が終わったら後列も左から攻撃。敵も同様で、幻獣1体ずつ交互に攻撃を行なうことになる。最初に攻撃する幻獣、回復魔法が使える幻獣、全体攻撃が可能な幻獣など、どの仲間にどのタイミングで打順が回ってくるのかを考慮することもポジションと同様に重要だ。
ポジションと打順を同時に考える。まるでサッカーと野球の監督を同時に務めているような感覚だ。バトル中に幻獣を交代させることはできないが、1ターンごとに配置は変更できる。HPが減った仲間を後列に移動させたり、前列の敵を倒したあとに後列の敵に合わせて配置を変えたりと、プレイヤーには選手の状態と勝負所を見抜く指揮官としての手腕が試されるのだ。
◆魅力的な幻獣たちとド派手なバトルにも注目!
采配だけでなく選手育成も重要だ。幻獣たちは強化合成や進化合成、限界突破といった手段で強化できる。さらにチームを見守っているオーナーのような存在の「守護神」も同様だ。守護神を強化すれば、HPや物理攻撃といったステータスの上昇が、バトルに臨む幻獣すべてに及ぶことになる。たとえるなら、スタジアムやトレーニング施設を改良することによって、チーム全体が強くなっていくような感覚だろうか。
システムをスポーツに例えて紹介してきたが、最初にも述べたように『ソードクロニクル 世界樹の秘宝』は、スポーツ観戦好きや戦略/戦術マニアだけでなくファンタジックな世界が好きな人やRPGが好きな人も大いに楽しめるゲームとなっている。250種類以上も登場する魅力的なイラストで描かれた幻獣たち、必殺技や魔法が次々と飛び出すド派手なバトル、期間限定イベントやユーザー同士で戦う闘技場、片手でほとんどの操作を行なえるなど、すべてにおいて内容充実。スポーツの楽しさが戦術やルールだけではないように、『ソードクロニクル 世界樹の秘宝』も多くの魅力を持っている。その魅力を入口としてシステムの奥深さにぜひ触れてほしい。