ぼくはアニメーションというものを見ないのでよく知らないのだが、風のウワサによると武蔵野市の三鷹にジブリの森というのがあるんだそうですな。ジブリぐらい知ってますよ。「ジブリ映画のタイトルを組み合わせて一番面白い奴が優勝」とかいうあれでしょ? あれの元ネタになったアニメ制作会社。
そのスタジオジブリの本社は、三鷹の近くの東小金井にある。そこで、ジブリ映画のファンたちのために、緑豊かな三鷹の森にジブリ作品に関するものを展示した美術館を建てた、と。そういうことだよね。そうなると、当然、周辺一体にはジブリ的な何かがたくさんこしらえてあるに違いない。トトロとかいるのかもしれない。よし、ここはひとつ、ジブリな珍ポを探しに行ってみるか! 7月のまだ暑さ厳しい中、たいして予備知識もないままに中央線に飛び乗ったのだった。
◆幸せそうな家族のシャッターアート
というわけで、三鷹の駅に降り立った。普段、ぼくがここに来るときは、たいてい「中華そば みたか」が目的だ。だから今回も行く。焼豚の小皿とってビール飲んで、そのあとラーメン食っちゃおう。まだ真っ昼間だけどそれでいいのだ。これがぼくの黄金コースだ。
が、その前に駅前でちょっとエージェント活動をしておこう。なんたって三鷹駅なんだから、ジブリをモチーフにした珍ポータルがあるかもしれないもんね。スキャナーを立ち上げて周辺をサーチしてみると、おや、何やらそれっぽいものが出てきたぞ!
▲これ、あれだろ! 魔女のなんとかに出てきた猫!
え? あれは黒猫? そうか、違うのか……。おじさん早トチリしてしまったな。いくらなんでもそう簡単に見つかるはずないか。まあ、それでもあきらめずにもう少し粘ってみよう。スキャナーの拡大縮小を繰り返し、気になるポータルをタップしてみる。
おっ、これはなんだ! 法専寺の近くにあるどこかの商店のシャッターアート!
▲これはトトロだろ! トトロに出てきた家族じゃないか!
だってサツキとメイもいるよ。お母さんも元気になったんだ。よかったねえ。……あ、違うの? 先頭にいるのは糸井さんだと思ったんだけどな。うーん、なかなかうまくいかないもんだな。わかった、とりあえずここはあきらめてラーメン食いにいこう。
▲最初は焼豚の小皿でビールの小瓶をいただきます。
ぼくはいつもこのパターン。カウンターに座ってもすぐにはラーメンを頼まず、焼豚をつまみながらビールを味わう。ここの焼豚は醤油ダレの他に化学調味料も少しかかっていて、これがまたうまい。化学調味料はイヤだって言う人もいるけど、ここはラーメンにもどっさり入れてるので、化学調味料が嫌いな人はそもそもこの店には来ない。
▲焼豚が残り少なくなったらラーメンを注文する。
ラーメンは、ごく普通のものでいい。これに、少し残しておいた焼豚とネギとタレを入れてしまう。そうしてホンの少しだけ味を濃いめにして食べるのがいいんだなー。いつだったか誰かがそうやってるのを見て以来、ぼくもちゃっかり真似させてもらっている。
◆今度こそ、本物のトトロ氏を発見!
大変満足して店を出る。「中華そば みたか」のある地下から地上へ出ると、ふたたび夏の熱波がブワッと襲いかかってくる。早く三鷹の森に行きたいもんだ。
が、ここでもまたちょっと寄り道をしよう。麺(めん)をクリアしたら、次は盤(ばん)だ。盤とは、ようするに中古レコードのこと。ここからすぐ近くに「パレード」という、いまは数少なくなったごく普通の町の中古盤屋さんがあって、マニア向けショップじゃないがゆえに値付けが財布に優しい。そんなところが大好きで、三鷹に来た際は「中華そば みたか」同様の巡回ポイントなのだ。
▲ガーン! 定休日でした……。
そんなこともあるさ、と気持ちを切り替えて、ふたたび歩き出す。Ingressのスキャナーだけを見ていると道に迷うので、通常のマップアプリと切り替えながらジブリ美術館の方角を目指す。
そうして、20分ほど歩いたところで、ようやっと井の頭恩賜公園のある吉祥寺通りへ出た。ジブリ美術館もこの公園内にある。ここからはスキャナーを常に稼働させて吉祥寺通りを北上しながら、目についたポータルをひとつひとつチェックしていく。
そして、やっと見つけた! 今度はポータル名に「ジブリ」って入ってるから間違いない。
▲これが「三鷹の森ジブリ美術館入り口」。
思ってたより小さいな。子供用というか、おとぎの国への入り口みたいなもんだから、このくらいのこぢんまりとした感じがふさわしいのかな。
▲館名を記した電灯もあった。あまり珍ではない。
もっといろんなキャラのポータルがあるのかと思ったが、ほとんど見当たらない。お金を払って中に入ればハックし放題なのだろうか。でも、美術館とその敷地自体はそう大きなものではないから、収穫はあまり変わらなそうだ。
さらに吉祥寺駅方面に向かって歩く。
▲なんかいた。今度こそトトロだ。
「トトロの受付」ということは、ここで入場料を支払うわけか。彼は通貨という概念を知っているのだろうか。お札を出したら食べてしまったりしないか。布から千円札を出してピラピラ見せても、彼は無垢な瞳でこちらをじーっと見つめていた。
▲バス停のサイン。よく見ると、上部に小さいトトロが。
やはり、ジブリ作品ではいちばんのスターは彼なのか。いろいろなところにその意匠が施されている。しかし、珍ポータルという意味では、ちょっと煮え切らない思いである。勝手に珍ポ探しに来られて「煮え切らない」とか言われてもスタジオジブリはいい迷惑だろうけども。
まあ、それなりの収穫はあったのでそろそろ帰ろうかと思ったぼくの目の前に、とてもいい感じのポータルが飛び込んできた。わ、わ、わ!これは素晴らしい。
▲「A Gardener of Laputa」。
説明文がちゃんと書かれていて、この方面に詳しくないぼくでもちゃんと理解できた。写真の撮り方もすごくいいな。美術館の中には入らなかったので、この像の現物は見ることができなかったけど、もう、この写真だけで気持ちは満足した。これをポータルに申請したひと、偉い!