本格スリラーアドベンチャー『ディム・ライト (Dim Light)』。銃もない。ヒントもない。化物だらけの病院で、頼れるのは懐中電灯と自分の頭脳だけ!【編集部日記】

ディム・ライト (Dim Light)

 暗闇は、人間が本能的に恐れるものだといいます。夜中、トイレなどのために暗い部屋の中を手探りで歩くとき、ふと「もしかしたら、目と鼻の先に殺人鬼が立っているかも」とか「首をつった死体に触るかも」なんて想像したことはありませんか? 暗闇はなんでもない場所を一気に恐怖の世界に変えてしまいます。

 『ディム・ライト (Dim Light)』は、そんな暗闇の恐怖をリアルに味わえるゲームです。「dim light」とは「かすかな灯り」という意味。この世界は終始闇に支配されており、頼れるのは懐中電灯のわずかな灯りだけなのです。

ディム・ライト (Dim Light)
▲な、何も見えない……。怖い……。

 主人公自身の姿も見えないところが、暗闇の恐怖をリアルに再現しています。
 タップしたところに赤い点と線が引かれ、主人公はそのとおりに歩きます。2回タップすると走ります。
 歩いたあとには足跡が残りますが、すぐ消えてしまうので道標にはなりません。
 私たちの目的は、主人公を操作してこの謎の建物から脱出することです。途中「ソイツラ」と呼ばれる化物が出てくるので、うまく逃げなければなりません。捕まったら殺され、食べられてしまいます……。
 武器やヒントアイテムなどはないので、ひたすら探索し、隠れ、逃げるしかありません(ステージを進めればもしかしたらアイテムも登場するかもしれませんが、少なくとも序盤は存在しません)。でもうかつに走ってはいけません。こっそり静かに歩いて行くか、一気に走り抜けるか、いつも考えなければなりません。
 真っ暗なので敵の位置がわかりづらく、声はするのに姿が見えないときなど、とてもハラハラします。「囲まれている!」と突然わかって跳び上がることもあります。

ディム・ライト (Dim Light)
▲ステージ1の冒頭。「Door.1 今夜、ここから脱出する。」と表示されています。ステージごとに主人公の回想や独り言が聞けます。

 主人公は特に喋ったりしませんが、毎回ステージの始めに興味深い独り言を聞けます。
 彼の話によると、ここは病院だそう。しかしいつからか化物が現れて、人々を殺し、食べているそうです(わたしたちもその現場を目撃することができます……)。
 彼の言葉はハッキリと状況を説明してくれるわけではありません。しかしそれが逆にこちらの想像力を刺激し、物語を楽しませてくれます。病院はなぜこんなことになってしまったのか? 「ソイツラ」は何者なのか? 他に生存者はいるのか? いろいろと考えながらゲームを進めていきましょう。
 しかし私が気になったのは、主人公が「ここを脱出する為、薬をやめた。」と言っていたことです。いったい何の薬なのでしょう? あまり良い予感がしないのですが……。ゲームをクリアする頃にはすべての謎が解けるかもしれません。

ディム・ライト (Dim Light)
▲化物が追ってくる! 頭を使ってうまく逃げ切らないと!

 先に「隠れ逃げるしかない」と書きましたが、なにも打つ手がないわけではありません。化物が近くにいると唸り声が聞こえたり、主人公の高鳴る心音が聞こえたりします。イヤホンをつければ唸り声がする方向も少しわかります(これがまた不気味で……)。よって、壁越しにでも「隣の部屋にあいつがいるな……。よし、迂回して行こう」などと工夫できるのです。ときには「この先に絶対いる!」とわかっているのに進まねばならないこともあり、緊張と恐怖はピークに達します。

 敵をやっつけたりパズルを解いたりはしないので、そういったことがしたい人にはものたりないかもしれません。しかし「私は逃げたい! ひたすら逃げて隠れるスリルを味わいたいんだ!」という人にはうってつけです。『ディム・ライト (Dim Light)』で本能的な恐怖を味わってください。