この連載では、毎回できるかぎりテーマを設けるようにしている。なあに、たいしたテーマじゃなくていい。両国でおすもうさんの珍ポを探すとか、八王子で8人の王子を探すとか、たとえ思いつきのダジャレであっても、何かテーマがあるだけでエージェント活動は各段に楽しくなる。
第4回の高円寺編では、動物の珍ポータル探しをテーマにした。今回はそれをもっと押し進めてみたい。実は、ずっと前から「上野動物園で動物のポータルを探す」ということがやりたかったんだが、せっかく上野動物園に行くなら、数ある動物の中でもパンダに的を絞ってみたらおもしろいのではないかと考えた。
ようやく冬が終わり、東京特有のイマイチおもしろ味のない春がやって来た。そんな早春のある日に、ぼくは上野の山へ足を向けた。
◆上野名物「パンダ、アメ横、大山、たきおか」
そもそも、上野駅周辺には野生のパンダがたくさんいる。……というのは、ぼく特有の伝わりにくいギャグなので、わかりやすく言い換えると、上野駅のまわりにはパンダをモチーフにした像がたくさん設置されている。動物園に突入するまでもなく、『Ingress』のスキャナーを立ち上げると、まずはこいつらが目に飛び込んでくるのだ。
▲「草パンダ」である。どことなく小泣き爺いっぽくもある。
中央通りには、あきらかに観光客へのサービスなのだろう、様々なスタイルのパンダ像がある。まずは、これをひとつひとつスクリーンショットしていく。臭パンダ、じゃなくて草パンダの次はこいつがいた。
▲造形的にギリギリな感じの「Panda Tree」。
これも中央通りに生息中。ワンシーズン過ぎ去ったら絶対に原形をとどめていないことだろう。
そして、次に珍ポータル界ではわりと有名なやつをご紹介したい。それはコイツである。
▲「よく見るとキモいぱんだ」。
いまは『Ingress』もかなり浸透し、ポータルの名称も洗練されてきた気がする。しかし、人気が出始めた頃はまだエージェントたちもその立ち居振る舞いに迷いがあり、申請するポータルのネーミングにも戸惑いが残されている印象があった。「よく見るとキモいぱんだ」は、その代表格とも言える。
▲坂を登りながら見上げれば「パンダ」。
ビルボードでにっこり微笑んでいるのは「ヨドバシカメラ上野店」のパンダである。とにかく、上野という街は、あっちもこっちもパンダ推しなのである。
しかし、街がパンダ推しなのはいいとして、どれも普通に可愛いパンダのフォルムなのが、珍ポータルマニアとしてはおもしろくない。ただでさえパンダって可愛さ指数が高いので、珍奇なものが好きな人間としては、満足度が低いのだ。どうせだったら、珍パンダが欲しい。
そんなことを思っていたら、上野動物園のすぐそばに、こんなものがあった。
▲赤くない「パンダポスト」。
実にいい。郵便物を入れるのが不安になる感じが、とてもいい。こういうものこそが珍ポータルなのである。
◆動物園内にはさらに無数のパンダが!
と、こうしているといつまで経っても動物園に入れないので、そろそろゲートをくぐることにする。上野動物園なんて、娘が赤ん坊の頃に来て以来だから、いったい何年ぶりだろう。10年は経ってるんだろうな。
料金所で600円の料金を払う。思わず安っ! と声が出る。だって、ゴリラもキリンも見放題。なんならシロクマもライオンも好きなだけ見られて、このお値段よ。これは娯楽としてはずいぶん安い部類だと思うんだよね。以前来たときからもほとんど値上げをしてないはず。
▲入場すると正面には「上野パンダ像」が。
入場していきなりのウェルカムがパンダということは、上野動物園の運営側もパンダをイチオシしていると考えていいのだろう。考えてみたらすごいことだ。パンダは日本に生息している野生動物ではなくて、あくまでも日中友好の証として1972年に中国政府から贈られたものだが、それが44年経ったいまでも上野のイメージキャラクターとして息づいているのだ。上野=パンダ。よそ者が上野の顔。戦後のアメ横を取り仕切った近藤広吉もびっくりである。
とかなんとか言いながら、入園ゲートの方を振り返ると、そこにはまたもう一組のパンダが。
▲パンダ親子による「WWF募金箱」である。
上野動物園内は隙あらばパンダなのである。ある程度は予想していたことだが、予想以上にパンダパンダパンダ。とにかく、パンダのポータルは枚挙にいとまがない。
▲園内の公衆トイレに「金網パンダ」が。
写真では金網に見えないかもしれないが、トイレに出入りする人の目隠しとして、パンダの装飾が施されている。こんなところまでパンダでなくても……と思うが、これもまた上野の風景。
▲モザイクタイルで装飾されたパンダ。
いちおう、スキャナーで様々なポータルをひとつひとつタッチしていくと、それ以外の動物のポータルもあるにはあるのだが、それでも圧倒的にパンダのポータルが多い。ここ、上野動物園におけるパンダの人気を、『Ingress』というゲームを通じて再確認することになるとは思わなかったな。
▲「SAVE the PANDA」のパネル。
丸くて、モコモコで、タレ目で、ケツがうすら茶色く汚れていたりするせいで、いまひとつ緊張感が伝わってこない生き物。それがパンダという動物だが、パンダらはいま絶滅の危機が叫ばれている。そうしたことを踏まえて、上野動物園では飼育中の個体だけでなく、種族としてのパンダ全体の保護と繁栄にも取り組んでいる。
上野動物園公認『パンダのゆめ』なんて歌もあるので、みんな覚えよう!
▲「パンダのポータルをたくさん発見して必死にメモを取るぼく」
というわけで、取材を終えたあとは、パンダの出身地にちなんで四川風担々麺を食べに行く珍ポータルエージェントなのだった。
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