7/31~8/3にかけて上海で4日間にわたって開催された中国最大級のゲームショウ「Chinajoy2014」。12回目の開催となる同イベントだが、今回はこれまで中国国内で禁止されていたPS4やXboxが解禁されたこともあり、会場は例年以上に盛りあがったようだ。また、世界的に成長中のモバイルゲームの出展数が大幅に増え、試遊用のスマートフォンがいくつも設置してあるブースが目立ち、モバイルゲームに対する期待と力の入れ具合がわかりやすく見てとれた。
TAPPLI編集部は、会場内でモバイルゲームを出展しているブースを直撃。中国のモバイルゲーム事情や日本進出への意欲などを、各社の担当者とお話しさせてもらい、これからのスマホ業界の動向を探ってみたのでご覧いただきたい。
▲中国最大級のゲームショウとあって、会場内はゲームファンの熱気があふれる!
▲今世界でもっとも盛り上がっている「League of Legend」。プロゲーマー同士の対決ライブに多くの観客集まっていた。
▲集まった観客にプレゼントをふるまうのもChinajoyの名物。中には思わぬ高額賞品も?
・筑巣
筑巣社は、中国国内でモバイル向けのオンラインゲームを中心に販売を行っているパブリッシャーだ。当日のブース内にはARPGタイプの「黒暗光年」や、多人数プレイができる戦車のバトルゲーム「3D坦克争覇」など、モバイルゲームの試遊機が多数設置してあった。
ブランドディレクターのYangさんのお話では、4G/LTEのサービスがまだ浸透しきってない中国でのモバイルゲーム開発は、アプリ自体の容量が大きくならないように気をつかわなければならず、各開発会社が苦労している。ゲームの完成度が高くても、ダウンロードに時間が掛かってしまいユーザーが離れてしまうようだ。これは通信が必須となるオンラインゲームなら大きな問題だろう。そのため、しばらくはカジュアルに遊べるオフラインのゲームに力を入てれいくそうだ。
日本市場に対しては興味があるが、まだまだ自国でできることに全力で取り組んで行きたいとのことだった。
▲モバイルゲームの第一線で活躍する女性ディレクターYangさん。
・阿里巴巴集団
阿里巴巴集団社は、日本にも根強いファンを持つ「Nikki UP2U」という女の子のコーディネートを楽しむゲームを開発・販売した会社だ。このゲームは各ステージのテーマに沿って女の子のファッションコーディネートを行い高評価を狙うもので、女性ユーザーが多いのが特徴だという。プロダクトマネージャーのZHAOHEさんのお話した際に、登録ユーザーの9割は女性だと聞いて驚いた。この独自のユーザー層に向けて、新しいストーリーやコーディネートグッズなどの追加アップデートを随時行いファンを育てていきたいということだった。
現在は、日本でも基本無料からはじめられるので、気になる方は試してみてはいかがだろうか。
▲日本でも人気の「Nikki UP2U」を紹介してくれたZHAOHEさん
・5agame
軽快な動きが印象的なシューティングゲーム「雷霆?机」を出展していた5agame社。モバイルゲームとは思えない軽快なグラフィックと派手なエフェクトに足を止めて画面を見入るユーザーも多かった。最近はすっかりマニア向けのジャンルとなってしまった感のあるシューティングゲーム。その開発に踏み切った理由を5agameチーフ監査者のWeilinさんに聞いてみると、競合が少ないジャンルで夢中になれるゲームを販売できるチャンスだと考えた。他プレイヤーと競うスコアアタックや友人との協力プレイなども盛り込むことで最高のゲームができたと思う。プロモーションに関しても中国国内で有数の企業であるQQ社の協力が得られたことで、シューティングゲームになじみのないプレイヤーにも受け入れてもらえるはずだと語っていた。
確かに画面一杯に広がる自機の弾幕は、見ているだけでも爽快感が感じられた。シューティングゲームは日本でも下火になってしまったが、中国で成功した際には、ぜひ日本での販売も考えて欲しい。
▲ド派手なシューティングゲームでモバイルゲーム世界に挑むWeilinさん。
・MORE FUN
スマートフォンで本格的なMMORPG「君王2」を開発したMORE FUN社。中国国内でかなりのファンを持つ本作は、日本でも「ルクサンブラ~光と闇の戦記~」として販売されており、現在も正式サービス中だ。今イベントでは、試遊機はなかったもののその続編となる「君王3」が発表され、ブース内はにぎわっていた。
副社長のWuさんからは、「君王2」では自国中国をはじめ、東南アジア、北アメリカ、韓国、日本など各国のユーザーに受け入れてもらえた。「君王3」は、グラフィック、ストーリー、アクション、すべてにおいて前作を遥かに超えるスケールで展開するフルタイムMMORPGになる。世界中の人たちにこのゲームを楽しんでもらえるはずだ、と力強い言葉をいただいた。
日本でもMMORPGは人気のあるジャンルのひとつ。気になるユーザーは日本での販売を心待ちにしていて欲しい。
▲期待の新作MMORPG「君王3」とWuさん。世界を風靡する作品となるか!?
・GAME TOWIN
中国国内だけではなく、東南アジア諸国、韓国、ヨーロッパ、オーストラリアと幅広く海外進出を行っているGAME TOWIN社。2014年4月にリリースしたスマートフォン用カードゲーム「Summoner”s Age」がオーストラリアで支持されたことを受けて、ますます勢いが増したようだ。
韓国市場を担当しているYongさんは、海外進出に力を入れていくことで、世界各国のトレンドを知ることができるだけでなく、グラフィックやシステムなど新しい技術にふれて、それを活かす道を探ることができると話していた。
このブースには、「Sumonner”s Age」のほか、アクションMMORPGや三国志を題材にしたカードゲームが出展されており、どのゲームもさくさくと動いていたのが印象的。日本への進出について訪ねてみたが、日本のユーザーはゲームを見る目が厳しい。彼らを納得させられると自信を持っていえるゲームが完成したらぜひ挑戦したい、とのことだった。
▲積極的な海外展開で着々と成長しているGAME TOWIN社のYongさん。
・MOBARTS
MOBARTS社はシリアスな雰囲気のデフォルメキャラクターが目を引いたカードバトルゲーム「全民英雄」が主力タイトル。様々な能力を持つカードを組み合わせることでうまれる駆け引きなど、戦略の奥深さが人気のゲームのようだ。このタイトルは現在すでに販売中だが、これ以外のタイトルについて同社広報のChunさんにお話をうかがったところ、今回のイベントへの出展は間に合わなかったが英雄をテーマにした三国アクションを開発中で、中国国内だけでなく、東南アジアなどの海外でも販売を予定しているという。ゲームの内容がおもしろいのは当然として、各キャラクターのアバターの着せ替え機能を充実させたことで、ゲーム内での自分の演出をより楽しんでもらえるはずだ、と話してくれた。
世界的なF2Pゲームの浸透により、ユーザーはお金を払わずに多くのゲームをプレイできるようになったが、ゲーム内の進行を強制的にゆったりとするように制限して、その解除のためにお金を払わせるシステムはユーザーにストレスを与えて離脱者を増やしてしまう。ゲームをプレイすること自体は自由にして、別のところにお金を払ってもらえるようなものを作りたい。と語っていた。
日本への進出もすでに考えているとのことで、アバターで使えそうな服や飾りなど、日本人が気に入りそうなデザインを逆に質問してきたりと、積極性のある意欲がみえていた。カードバトルゲームの演出や軽快な動きから開発力の高さは十分。日本市場での活躍にも期待したい。
▲日本でもサービスをはじめられる日を楽しみにしているというMOBARTS社CEO。
海外進出を視野に入れている会社で共通していたことは、モバイル社会が急加速で成長している東南アジアが優先度の高いターゲットになっていたことだ。ゲーム大国である日本で挑戦するよりも、これからゲームに触れ合う人たちが多い国のほうがチャンスがあると思うのは当然なのかもしれない。
近年は、日本企業も東南アジアへの進出が増えているので、今回取材に応じてくれた各社vs.日本企業の主戦場となるのは海外の市場となる可能性も高い。日々新作がうまれている激動のモバイルゲーム時代の成り行きをこれからも楽しみにしたい。