ソニー、平成30年3月期第2四半期決算を発表。為替やゲーム分野の増収で営業利益3.5倍の3618億円。

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PlayStation4、ゲームソフトがともに好調に推移し大幅な増収を達成。連結業績予想についても上昇修正。

ソニー株式会社(以下、ソニー)は、平成30年3月期第2四半期決算を10月31日(火)に発表。平成30年3月期第2四半期の累計売上高及び営業収入は3兆9206億4400万円(前年同期比18.7%増)、営業利益は3618億3900万円(同255%増)、税引前四半期純利益は3474億5900万円(同256.2%増)、自社株主に帰属する四半期純利益は2117億2300万円(同714.1%増)となった。

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第2四半期連結業績概況

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売上高及び営業収入(以下、売上高)は、前年同期から22.1%増加の2兆625億円となった。この大幅な増収は、為替の影響とゲーム&ネットワークサービス(以下、G&NS)分野の増収によるものと発表しており、前年同期の為替レートを適用した場合は、売上高15%増加となる(為替変動による売上高及び)。

営業利益に関しては、前年同期から1585億円増加の2042億円となり、この増益は半導体分野やG&NS分野、その他分野の損益改善によるものとしている。なお、前年同期の営業利益には、半導体分野においてモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減94億円、平成28年(2016年)熊本地震(以下、熊本地震)に関連する費用(純額)12億円を計上している。また、電池事業の譲渡にともなう減損328億円についても、その他分野に計上していると発表した。

当四半期の構造改革費用(純額)は、主に前年同期には前述の電池事業の譲渡にともなう減損の影響があったことによって、前年同期に比べ310億円減少の16億円となった。構造改革費用は、営業費用として営業利益に含まれているとしている。

分野別の業績は、以下。

モバイル・コミュニケーション(MC)分野
MC分野の売上高は、ほぼ前年同期並みの1720億円となった(前年同期の為替レートを適用した場合、3%の減収)。これは、スマートフォンの販売台数が減少したものの、為替の影響や固定通信事業の増収などによるものとのこと。

営業損益は、前年同期の37億円の利益に対し、当四半期は25億円の損失となった。この損益悪化は、オペレーション費用や広告宣伝費などを削減したが、スマートフォンの販売地域ミックスの変化、主要部品の価格の上昇、コストの米ドル建て比率が高いことによる米ドル高の悪影響などによるものとのこと。当四半期の為替の悪影響は12億円(為替ヘッジの影響を含む)だった。

ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野
前年同期比35.4%増加の4332億円となった(前年同期の為替レートを適用した場合、25%の増収)。この大幅な増収は、ネットワークを通じた販売を含む「プレイステーション 4(以下、PS4)」のソフトウェアの増収、為替の影響、PS4ハードウェアの増収などによるものと発表。

営業利益は、前年同期比358億円増加し548億円となった。この大幅な増益は、販売費及び一般管理費の増加があったものの、主に前述のソフトウェアの増収によるもの。当四半期の為替の好影響は31億円だったとのこと。

なお、当四半期の営業利益には、当分野内の取引として2017年度第1四半期に認識されるべきだった内部ロイヤリティの調整額51億円(益)が含まれている。この調整は、当分野内の子会社間での内部ロイヤリティの認識タイミングが一致していなかったことによるものとしている。

イメージング・プロダクツ&ソリューション(IP&S)分野
IP&S分野の売上高は、前年同期比15.8%増加の1567億円(前年同期の為替レートを適用した場合7%の増収)。この大幅な増収は、為替の影響や前年同期に熊本地震の影響があったことなどによるものとしている。

また、営業利益は、前年同期比40億円増加の189億円となった。この増益は、販売費及び一般管理費の増加があったが、主に為替の好影響や前述の増収によるものとしている。なお、当四半期の為替の好影響は52億円だった。

ホームエンタテインメント&サウンド(HE&S)分野
HE&S分野の売上高は、前年同期比28.1%増加し3009億円となった(前年同期の為替レートを適用した場合17%の増収)。この大幅な増収は、主にテレビの高付加価値モデルへのシフトによる製品ミックスの改善及び為替の影響によるもの。

営業利益は、前年同期比68億円増加し、244億円となった。主要部品の価格の上昇及びマーケティング費用の増加があったものの、主に前述の増収及び為替の好影響により分野全体で大幅な増益となった。なお、当四半期の為替の好影響は70億円であった。

半導体分野
半導体分野の売上高は、前年同期比 17.9%増加の2284億円となった(前年同期の為替レートを適用した場合、10%の増収)。この増収は、モバイル機器向けイメージセンサーの販売数量が大幅に増加したことに加え、前年同期には熊本地震の影響によるイメージセンサーの生産の減少があったことなどによるもの。一方で、事業規模を縮小したカメラモジュール事業は前年同期に比べ大幅な減収となった。

営業損益は、前年同期の42億円の損失に対し、当四半期は494億円の利益となった。この大幅な損益の改善は、前述の増収や為替の好影響に加え、前年同期にはモバイル機器向けの一部のイメージセンサーの在庫に関する評価減94億円を計上していたことなどによるもの。また、当四半期の為替の好影響は90億円だった。

映画分野
映画分野の売上高は、前年同期比27.0%増加の2440億円となった(米ドルベースでは17%の増収)。米ドルベースでの大幅な増収は、主に映画製作及びメディアネットワークの増収によるもの。映画製作は、「スパイダーマン:ホームカミング」の劇場興行収入が全世界で好調だったことにより、大幅な増収となった。メディアネットワークも、主に、2017年2月にSPEが買収したインドのスポーツネットワークであるTEN Sports Network及びインドの既存のテレビネットワークで広告収入や視聴料収入が増加したことにより、大幅な増収となった。

営業利益は、前年同期に比べ45億円増加し、77億円となった。この増益は、メディアネットワークの番組費用及び広告宣伝費の増加があったものの、前述の増収の影響があったことなどによるものとしている。

音楽分野
音楽分野の売上高は、前年同期比37.5%増加の2066億円となった(前年同期の為替レートを適用した場合、32%の増収)。この大幅な増収は、主に映像メディア・プラットフォーム及び音楽制作の増収によるものです。映像メディア・プラットフォームは、モバイル機器向けゲームアプリケーション「Fate/Grand Order」が引き続き好調だったことにより、大幅な増収となった。音楽制作も、主にストリーミング配信売上が引き続き増加したことにより、大幅な増収となった。なお、当四半期にヒットした音楽作品には乃木坂46の「逃げ水」、欅坂46の「真っ白なものは汚したくなる」及びDJキャレドの「グレイトフル」などがある。

営業利益は、主に前述の増収の影響により前年同期比160億円増加し、325億円となった。

金融分野
金融ビジネス収入は、主にソニー生命の増収により、前年同期比7.2%増加の2792億円となった。ソニー生命の収入は、保有契約高の拡大にともない保険料収入が増加したことや特別勘定における運用益が増加したことなどにより、前年同期比6.6%増加し、2460億円となった。この運用益の増加は、市場環境が良好であったことなどによるもの。

営業利益は、主にソニー損保における自動車保険の損害率低下、及びソニー生命における前述の保険料収入の増加にともなう増益により、前年同期に比べ30億円増加し、366億円となりました。なお、ソニー生命の営業利益は前年同期に比べ12億円増加の322億円となりました。

連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

2017年8月1日に発表した2017年度通期の連結業績の見通しについて修正を発表した。

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2017年度の連結売上高は、下半期の前提為替レートを円安に見直したこと、ならびに音楽分野及びHE&S分野などで増収を見込むことから、8月時点の見通しを上回る見込みと発表。

連結営業利益については、前述の前提為替レート見直しの影響、8月時点のその他/全社(共通)及びセグメント間取引消去の見通しに含まれていた様々なリスクが縮小したこと、ならびに半導体分野、音楽分野及びHE&S分野での増益を見込むことなどから、8月時点の見通しを上回る見込みとしている。

2017年度の構造改革費用は8月時点の想定から変更なく、グループ全体で約150億円を見込んでおり(2016年度実績は602億円)、営業費用として前述の営業利益の見通しに含まれているとのこと。

関連サイト

ソニー株式会社公式サイト
平成30年3月期  第2四半期決算短信〔米国基準〕(連結)

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