制作遅延で作品が翌期にずれ込んだ影響で売上予想に届かず。「魔法使いの嫁」「曇天に笑う」などのコミックスの販売や版権事業は好調。
株式会社IGポートは、平成30年5月期決算を2018年7月13日に発表した。当期売上高は84億2600万円（前期比11％増）、営業利益は3億1000万円（同40.3％減）、経常利益は3億8600万円（同28.6％減）、親会社株主に帰属する四半期純利益は1億4700万円（同35.6％減）だった。
経営成績の概況
劇場用やテレビのアニメーションから、ゲーム用プロモーション映像などの制作を行なう映像制作事業、コミック誌やコミックスの企画・製造・販売を行なう出版事業、映像作品への出資することで二次利用から生じる収益分配を主とする版権事業などを行ない、今期は前期に比べて増収減益となった。
当連結会計年度の売上高は、映像制作事業の一部の作品が翌期へずれ込んだことにより業績予想には届かず84億2616万円（前期比11.0％増）。経常利益は、映像制作事業の営業損失に対して堅調に推移した出版事業と版権事業でカバーしたが、3億8673万円（同28.6％減）。親会社株主に帰属する当期純利益は映像制作事業の固定資産の減損損失と繰延税金資産の取り崩しにより、1億4713万円（同35.6％減）となった。
セグメント毎の業績については以下。
映像制作事業
劇場用実写映画「亜人」をはじめ、劇場用アニメーション「進撃の巨人 Season 2～覚醒の咆哮～」「ときめきレストラン☆☆☆MIRACLE6」、テレビ用アニメーション「ボールルームへようこそ」「魔法陣グルグル」「魔法使いの嫁」「恋は雨上がりのように」「銀河英雄伝説 Die Neue These」などを制作。その他、ビデオ用アニメーション、ゲーム用・遊技機用のアニメーションを手掛けた。
CG制作費や優秀なクリエイターの拘束費等の外注費が高騰し、制作期間の長期化で制作コストが増加。また、現時点の見積原価が受注額を超える一部作品に将来の損失として受注損失引当金を計上した。
上記の結果、売上高は45億9663万円（前期比2.2％増）、営業損失は6億8636万円（前期1005万円の営業損失）となった。
出版事業
コミック誌の定期刊行物は「月刊コミックガーデン」（12点）を刊行した。書籍（コミックス、ノベルス、原作ガイドブックを含む）は、「魔法使いの嫁」「あまんちゅ！」等の最新刊等、特装版・初回限定版7点を含む85点を刊行した。「魔法使いの嫁」や「リィンカーネーションの花弁」「曇天に笑う シリーズ」といった既刊コミックスの販売が好調だった。
また、利益率の高い電子書籍での収入が順調に増えており、収益の改善に貢献した。
上記の結果、売上高は17億3489万円（前期比11.0％増）、営業利益は3億8570万円（同48.7％増）となった。
版権事業
「魔法使いの嫁」「進撃の巨人」「黒子のバスケ」「宇宙戦艦ヤマト」「甲鉄城のカバネリ」「ハイキュー!!」等のシリーズタイトルを中心に、二次利用による収益分配を計上。
IGポートグループの戦略作品「魔法使いの嫁」については、特に海外販売を中心に好調であった。
上記の結果、売上高は17億8065万円（前期比51.6％増）、営業利益は6億8716万円（同59.2％増）となった。
その他事業
雑誌のイラスト描きやキャラクターの商品販売、スマートフォン向けアプリ等により、当事業の売上高は3億1396万円（前期比11.6％減）となり、営業利益は1467万円（同59.1％減）となった。
平成31年5月期の連結業績見通しについて、売上高97億5100万円（前年比15.7％増）、営業損失1億5700万円（前年は3億1000万円の営業利益）、経常損失1億3800万円（前年は3億8600万円の経常利益）、親会社株主に帰属する当期純損失2億円（前年は1億4700万円の親会社株主に帰属する当期純利益）を見込んでいるとのこと。
