『モンスターハンターワールド:アイスボーン』や大型タイトルのリピート販売が利益に貢献。2020年3月期連結業績予想の利益の上方修正も発表。
株式会社カプコン(以下、カプコン)は、2020年3月期第3四半期決算(連結)を2月4日(火)に発表した。2020年3月期第3四半期の連結業績は、売上高529億800万円(前年同期比13.6%減)、営業利益184億4800万円(同37.1%増)、経常利益187億200万円(同38.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益130億6500万円(同42.3%増)となった。
経営成績に関する説明
カプコンでは、競争力の源泉である家庭用ゲームソフトの開発と販売に経営資源を集中するとともに、開発人員の増強や開発環境の整備など、開発体制の充実強化につとめてきた。
こうしたなか、2019年9月に発売した主力タイトル『モンスターハンターワールド:アイスボーン』が安定した人気に支えられ、全世界で320万本を販売。加えて、大型のリピートタイトルが海外を中心に人気が持続したほか、好採算のダウンロード(以下、DL)販売が拡大したことで収益向上に貢献した。
また、マルチプラットフォーム展開を推し進めるため、サブスクリプションサービス型(定額制)の「アップルアーケード」向けに、新作タイトル『深世海 Into the Depths』の供給を開始した。
商品展開に関しても、カプコンの人気ゲームとのシナジー効果をはかるため、オリジナルグッズや限定商品など物販専門の新業態店を渋谷パルコに出店した。
将来の成長が期待されるeスポーツビジネスについては、事業を軌道に乗せるために「ストリートファイターリーグ: Pro-JP operated by RAGE」を開催したほか、アメリカで「Capcom Pro Tour」の世界決勝大会「CAPCOM CUP 2019」を実施するなど、新しい事業モデルの構築に向けて注力した。
また、大阪府警察のサイバー犯罪防止啓発のイメージキャラクターに「モンスターハンター」シリーズが採用され、若年層の注目を集めるなど、ESG(環境・社会・ガバナンス)推進の一環として、社会貢献活動に取り組んできた。
売上高については、主な販売形態をパッケージ版からDL版に転換したことなどにより減収となった。利益面では、ダウンロード販売中心の『モンスターハンターワールド:アイスボーン』のヒットに加え、リピートタイトルにおいても利幅が大きいデジタル販売比率の向上等により増益となっている。
セグメント毎の業績は以下。
デジタルコンテンツ事業
『モンスターハンターワールド:アイスボーン』が堅調に推移するとともに、採算性が高いDL販売中心の事業展開により、収益アップをけん引した。
また、「日本ゲーム大賞2019」で優秀賞を受賞した『バイオハザード RE:2』と『デビル メイ クライ 5』がユーザー層の拡大により続伸したほか、2018年1月に発売した『モンスターハンター:ワールド』も息が長い売行きをしめすなど、リピート販売の健闘により、利益が押し上げられた。
上記の結果、売上高はデジタル販売比率の向上により405億8900万円(前年同期比15.2%減)、営業利益は『モンスターハンターワールド:アイスボーン』やリピートタイトルの寄与など、収益構造の見直しにより198億8500万円(同30.1%増)となった。
アミューズメント施設事業
当期間は、新機軸展開としてカプコンのキャラクター関連商品のみを取り扱う専門店の「カプコンストアトーキョー」を渋谷パルコに出店したほか、「プラサカプコン池袋店」及び「プラサカプコン藤井寺店」の2店舗をオープンし、施設数は40店舗となった。
上記の結果、売上高は92億100万円(前年同期比13.8%増)、営業利益は11億8700万円(同36.6%増)となった。
アミューズメント機器事業
遊技機市場が型式試験方法の変更などにより低迷状態が続く状況下、パチスロ機部門は新機種の投入がなかったため、主にライセンスビジネスによる事業展開を行なってきた。
売上については減収となったが、営業利益はライセンスビジネスの支えにより黒字に展開した。
上記の結果、売上高は6億6300万円(前年同期比79.5%減)、営業利益は3億7600万円(前年同期は営業損失6億3900万円)なった。
その他事業
ライセンス許諾によるロイヤリティ収入やキャラクターグッズなどの物品販売を行なっている。
上記の結果、売上高は24億5300万円(前年同期比16.7%増)、営業利益は3億5800万円(同63.5%減)となった。
また、2020年3月期の連結業績予想の修正を発表。
販売本数はほぼ前年並みだが、販売方法をパッケージ販売からDL販売への転換を促進したことによる影響で、連結売上高は前回予想を下回る見込みとなった。
一方の利益面に関しては、前々期に発売した『モンスターハンター:ワールド』に加え、前期に投入した『バイオハザード RE:2』や『デビル メイ クライ 5』等の好採算のリピートタイトルが順調に推移。それに加え、過去に人気を博した旧作タイトルも底堅い売れ行きをしめすなど、豊富なIPを活用したデジタル戦略が奏功している。
パチスロ機部門においては、2020年3月発売予定の『新鬼武者 DAWN OF DREAMS』が受注好調のため、当初計画より上振れする見込み。
上記の結果、営業利益と経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益が、前回発表予想を上回る見込みとなった。