一部商品の販売延期やマーケティング活動の制限で売上減。玩具事業では、回復傾向がみえるものの外出自粛などが業績に大きく影響。
株式会社タカラトミーは、2021年3月期第3四半期決算短信(連結)を2月9日(火)に発表した。当第3四半期の売上高は1105億1500万円(前年同期比16.3%減)、営業利益78億7200万円(同35.5%減)、経常利益74億5600万円(同36.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益54億7700万円(同16.9%減)だった。
経営成績に関する説明
日本
春の緊急事態宣言の解除により、外出自粛や店舗の臨時休業、営業時間の短縮は緩和されたが、10月以降は全国的に新型コロナウイルス感染症の感染者数が急激に増加するなど、断続的な影響が続いていることに加えて、映画公開の延期や各種イベントの中止、延期、縮小、インバウンド消費の大幅な落ち込みなどにより、「キデイランド」「トミカ・プラレールショップ」などの小売事業、「トミカ博・プラレール博」などのイベント事業が、想定よりも回復に遅れがあった。
一方で、巣ごもり需要に対応する商品が人気になり、eコマース購買がさらに高まった。
2020年に発売50周年を迎えた「トミカ」については、4月にテレビアニメ放送がスタートした『トミカ絆合体アースグランナー』の関連商品を継続して展開するとともに、「トミカ50周年自動車メーカーコラボプロジェクト」やアパレルなどとのコラボレーションを進めた。
2015年夏に発売した「ベイブレードバースト」は、国内販売が減少傾向にあるが、海外向け輸出が北米のテレビアニメ放送継続などにより堅調に推移した。
トレーディングカードゲーム「デュエル・マスターズ」においては、競争環境が激しさを増すなか、商品構成を見直したことが好評だった。
ペットボトルキャップを発射するシューティングホビー「キャップ革命 ボトルマン」は、発売前よりSNSなどで話題になるなどの人気を集めた。
「ポケットモンスター」では、液晶玩具「スマホロトム」をはじめとする関連商品の好調に加え、9月からはアミューズメントマシン「ポケモンメザスタ」の展開を開始した。
ガールズ商品では、7月に液晶玩具「すみっコぐらし すみっコキャッチ」を発売した。「リカちゃん」については、「ゆめいろリカちゃん カラフルチェンジ」などのドールが人気になり、堅調に推移した。
一方でサプライズトイに関しては、勢いに落ち着きがあった。
海外で高い人気のテレビアニメ『パウ・パトロール』の関連商品が好調に推移し、動かして遊べる手のひらサイズの動物フィギュアシリーズ「アニア」も商品ラインナップの拡充により、堅調に推移した。
外出自粛により、家の中で楽しめる商品に注目が集まったことで、ボードゲーム「人生ゲーム」やパーティーゲーム「黒ひげ危機一発」などファミリーゲームの販売が伸長し、「くまのプーさん えらべる回転6WAYジムにへんしんメリー」といったベビー関連商品も好調だった。
2019年12月にリリースしたカードゲームアプリ『DUEL MASTERS PLAY’S』では、定期的に新カードパックを配信するとともに、2020年12月には1周年記念キャンペーンを行ない、プロモーションを強化するなど、継続展開を実施した。
さらに、年末商戦に向けて、流通評価の高い「ダブルアクショントミカビル」「フェルティミシン すみっコぐらし」「人生ゲーム ジャンボドリーム」など、多数の商品を市場に投入した。
上記の結果、売上高は898億5200万円(前年同期比20.2%減)、営業利益は86億4900万円(同38.9%減)となった。
アメリカズ
新型コロナウイルス感染症の拡大により、春にロックダウンが実施された後も外出規制などにより、巣ごもり需要やeコマース購買が高まった。
家で過ごす時間が長くなったことから、生活必需品に準じたベビー向け食器やトイレトレーニングに使用するおまる、お風呂関連商品の需要が高まるなど、ベビー用品が好調だった。
農耕車両玩具については、ロックダウンにより自宅の庭でも遊べる乗用玩具が人気を集めるなど好調に推移した。
また、10月にファット・ブレイン・グループが、TOMY International, Inc.の子会社になった。
上記の結果、売上高は166億8400万円(前年同期比26.7%増)、営業利益は4億1400万円(前年同期は営業損失3億900万円)だった。
欧州
断続的な新型コロナウイルス感染症の拡大により、ロックダウンが実施されたことなどから、巣ごもり需要やeコマース購買が高まった。
コロナ禍の影響でファミリーゲームに注目が集まり、ボードゲームやアクションゲームを展開している「DrumondPark」ブランドの商品が好調に推移した。
また、「Toomies」などのプリスクール関連商品が堅調に推移すると共に、コアブランドである農耕車両玩具が堅調に推移した。
3月からは、テレビアニメ『Ricky Zoom』の関連商品も展開したとのこと。
上記の結果、売上高は49億2000万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は6400万円(前年同期は営業損失5億1800万円)という結果になった。
オセアニア
新型コロナウイルス感染症の拡大により、春に行なわれたロックダウンによる外出制限は、一部地域にて7月以降も実施されたことで、巣ごもり需要の高まりがみられた。
生活必需品に準じたベビー用品に加え、プリスクール関連商品が好調に推移した。
また、農耕車両玩具においては、「Animal Sounds Hay Ride」などのプリスクール商品が人気となり、好調に推移した。
上記の結果、売上高は14億9000万円(前年同期比27.7%増)、営業利益は1億900万円(前年同期は営業損失1億1900万円)だった。
アジア
新型コロナウイルスの感染症の拡大があったが、生産面では中国やベトナム、タイにおいて通常通り操業している。
需要面では、春に各国と地域においてロックダウンなどが行なわれ、それ以降も国や地域によっては外出制限が行なわれるなど、購買動向に大きな影響があった。
また、「ベイブレードバースト」などのボーイズ関連商品の販売減少や、前期展開した映画関連商品の販売が一巡したことで減収減益という結果になった。
上記の結果、売上高は336億6600万円(前年同期比22.1%減)、営業利益は8億2000万円(同23.8%減)となった。
関連サイト
株式会社タカラトミー公式サイト
2021年3月期第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2021年3月期第3四半期決算説明会資料