『ダンジョン飯(9)』などのコミックをはじめ、一般文庫や一般書の販売も好調。過去最高の売上高と営業利益を更新。
株式会社KADOKAWA(以下、KADOKAWA)は、2021年3月期決算短信(連結)を4月30日(金)に発表した。当期の業績は、売上高2099億4700万円(前期比2.6%増)、営業利益136億2500万円(同68.5%増)、経常利益143億6900万円(同63.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益95億8400万円(同18.4%増)となった。
経営成績に関する説明
出版事業
当期は、書籍市場全体で需要が高まっていることに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の環境下においても新刊点数を前期並みの水準に維持したことや、返品率が大幅に良化したことが収益に貢献した。それに加え、『ダンジョン飯(9)』といったコミックスをはじめ、『あやかし草紙 三島屋変調00物語伍之続』『青くて痛くて脆い』などの一般文庫、『あつまれ どうぶつの森 ザ・コンプリートガイド』『世界一美味しい手抜きごはん 最速! やる気のいらない100レシピ』などの一般書の販売が好調に推移した。
電子書籍や電子雑誌については、市場全体が伸びていることに加え、積極的なマーケティング施策により引き続き好調に推移しており、第3四半期に続いて、第4四半期も四半期ベースで過去最高の売上高を更新した。
上記の結果、売上高は1295億7600万円(前期比10.5%増)、セグメント利益は128億4100万円(同105.5%増)だった。
映像事業
当期は、アニメ「Re:ゼロから始める異世界生活」や「ひぐらしのなく頃に 業」「デカダンス」「くまクマ熊ベアー」などの海外権利許諾収入に加え、「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」「この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ」など、KADOKAWAアニメIPの他社ゲームへの活用による国内権利許諾が、引き続き収益に貢献した。
その一方で、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、映画館の席数制限や時短営業による映画配給、デジタル映画鑑賞券「ムビチケ」、スタジオ事業などに影響がみられた。
上記の結果、売上高は313億1400万円(前期比8.2%減)、セグメント利益は22億7400万円(同7.1%増)だった。
ゲーム事業
当期は、『ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX』や『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE』、「DARK SOULS」シリーズなどのリピート販売、海外権利許諾に加え、共同や受託開発事業も収益に貢献した。
上記の結果、売上高は166億3600万円(前期比16.9%増)、セグメント利益は27億4400万円(同114.6%増)だった。
Webサービス事業
動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が2021年3月末で153万人となり、2020年3月末の163万人からは減少という結果になった。しかしながら、都度課金収益の拡大につとめるなど、収益の多様化へ取り組んだことや、動画・生放送・ブログなどを配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」の有料会員数が、2020年3月末の117万人から2021年3月末に119万人に増えたことで、前年並みの売上を維持した。
各種イベントの企画・運営は、4月開催の「ニコニコ超会議」と8月開催の世界最大級のアニソンライブ「Animelo Summer Live」について、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえ、リアルイベントとしての開催を見送ったが、インターネット上に特化した「ニコニコネット超会議2020」、「ニコニコネット超会議2020夏」、「Animelo Summer Night in Billboard Live」などを開催し、好評を博した。
上記の結果、売上高は220億800万円(前期比11.0%減)、セグメント利益は20億9600万円(同24.8%減)となった。
その他事業
MD事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、発売タイミングの延期などにより、減収となった。
教育事業では、インターネットによる通信制高校であるN高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校などに教育コンテンツの提供を行なう株式会社ドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。
また、角川武蔵野ミュージアムやアニメホテル、イベント事業、飲食事業などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが、11月6日にグランドオープンし、売上に寄与した。
上記の結果、売上高は174億6300万円(前期比10.4%減)、セグメント損失は44億9100万円(前期は営業損失25億8300万円)となった。