【スマホ de レトロゲーム 第4回】スマートフォンに蘇える知る人ぞ知る名作『餓狼 MARK OF THE WOLVES』を遊ぶ!


 アーケード基板や筐体を所持するぐらいには格闘ゲーム好きなマー・ユーです。今回、スマートフォンゲームとして復活した『餓狼 MARK OF THE WOLVES』(※以下『MOW』と表記)をレビューさせて頂きます。もう15年前のタイトルとのことですが筆者は当時15歳。ゲームセンターに通いまくっていたころで、本作品に当然のようにハマりました。

『餓狼伝説』はかつて『サムライスピリッツ』や『龍虎の拳』、そして『ザ・キング・オブ・ファイターズ』といった綺羅星のごときシリーズと並ぶ、SNKの看板タイトルのひとつでした。『餓狼伝説SPECIAL』までは知名度が高いですが、それ以降は徐々に格闘ゲーム好きだけプレイしている状態になっていきました。

 すなわちあまりプレイしている人が少ない『MOW』ですが、SNKの2D対戦格闘の集大成に相応しい会心作に仕上がっております。もう「こんなの『餓狼』じゃねえ!」と思いつつ、しかしこれが素晴らしい出来映えで、驚いたことを鮮明に覚えております。

▲わりと最近のゲームと思ってたらもう15年前という衝撃!


▲これが中年になった我らがテリー・ボガード! カッコよ過ぎて抱かれてもイイ!


 簡単に『MOW』を説明しますと、『餓狼伝説』シリーズの特徴だったラインシステムを排除し、オーソドックスな2D格闘ゲームとしてブラッシュアップされています。時代は『餓狼伝説』メインシリーズから10年後。過去の作品からはシリーズの主人公であるテリー・ボガードのみが継続して出演し、過去作品の関連キャラクターや完全オリジナルキャラクターが登場して、新たな『餓狼』ワールドの展開を見せます。

▲本作の主人公であるロック。なんとあのギースの息子! テライケメン! 同人ウケを狙い過ぎな設定も時代を感じさせます。


 一見派手さはないですが、シンプルかつ洗練されたゲームシステムは好評を獲得し(『月華の剣士』シリーズに雰囲気は近いでしょうか)新たなSNKの可能性を示しました。キャラ数が多ければ正義という時代に、あえて10人+αとキャラクター数を少なくしてスッキリした印象で、新規のプレイヤーにもとっつきやすかったのではないでしょうか。

 新キャラクターやシステム、世界観などが無理なく調和が取れており、バランスの良い仕上がりでした。本当にこれがSNKの最後なんて惜しすぎると当時思ったものです。

▲筆者お気に入りの新キャラ、牙刀。ビジュアルだけでなく操作してわかるカッコよさに痺れます!


◆気になる肝心の移植度と操作性は!?

 前置きが長くなりましたが、ゲームそのものの移植度に関しては「ほぼ完璧」と言えます。グラフィック、処理速度、サウンドなど、ほぼ違和感なくあの『MOW』がスマートフォン上で再現されております。しかもこんなサックリとダウンロードできるから、技術の進歩は恐ろしい……。

 ゲームモードも従来のアーケードモードに加え、家庭用ゲームのようにトレーニングモードやWi-Fi、Bluetoothを利用とした対戦モードも用意されております。願わくば全国のプレイヤーとのオンライン対戦ができればより白熱すると思いますので、SNKプレイモアさん全力で期待してます!

 さて、皆様が一番気になる点はズバリ「操作性」でしょう。RPGやアドベンチャーはスマートフォンでも操作はそこまで問われな

いとは思いますが(そうでもないか?)、アクションゲームはスピード感が求められるので少々キツイ部分はあります。しかもこと格闘ゲームに関しては家庭用ゲーム機のコントローラーですらケチをつけられる始末。スマートフォンでの操作性はいかほどか? ちゃんと『MOW』として遊べるのか?

 結論から申し上げますとかなり「頑張って」います。

▲慣れれば超必殺技のバスターウルフでフィニッシュとかも狙って出せるようになれます!


 ヴァーチャルパッドをタッチで操作するため指で画面が隠れるのが最初は気になると思いますが、幸い(?)左右にスペースがある画面構成になっているため、被る部分は少なめ。個人的主観ですが、慣れればさほど気になりません。

 コマンド入力は慣れないうちはなかなか難しいと思います。コツは今までの慣れた操作よりも思い切りのよさ! 少々強めに方向レバーを回すと技が出やすいです(特に超必殺技)。

 電車などでプレイする際は、恥も外聞も捨てて「俺はスマートフォンで『MOW』をプレイしているんだぜ!」と周りに主張せんとばかりに豪快に指に力を込めるといいでしょう。ついでに魂も!

 細かい連続技(小技からの連携など)はこのデバイスでは相当なやりこみが必要と思いますが、思ったよりちゃんと『MOW』的な動きができるかと思います。「どうしてもアーケード版の感覚じゃないと『MOW』は遊べない!」というかたは、スマートフォン専用のコントローラーも発売されおりますので、ぜひチェックしてみてください。

▲苦戦しましたが、慣れればラスボスのカインもボコボコにできます。イケメン過ぎるボスなので怨念も込めまして。


 ちなみにこの方向キー、操作感覚はあのネオジオCDコントローラパッドの方向キーに近いのです。クリクリっといじりたおすアレですし、ネオジオポケットでも採用されていたアレです。そういう意味での再現度は高いと言えます。あの特有の感覚が懐かしいので、これはこれでアリな人もいるのでは?

▲キー操作設定ではキーの画面内での位置まで設定できます。ここまで方向キーを右にずらすと指でキャラクターが見えない(笑)!


 ABCDのボタン位置がデフォルトだとネオジオCDコントローラパッドと違うのが少々残念ですが全然問題ナシ! 同時押しや、必殺技、超必殺技が出せるボタンも備わっており、初心者はそれを活用するのも良いでしょう。特に同時押しはスマートフォンを持ちながらだと難しいのでありがたい。『MOW』は当時の格闘ゲームとしてはそれほど必殺技コマンドが難しくないため、スマートフォン移植には適していたかもしれません。

◆数あるSNKタイトルの中でこの作品を選んでくれた制作側に心から拍手を送りたい!

 ひと通りご紹介しましたが、このクオリティで400円の料金は充分過ぎる価値があります。当初『MOW』がスマートフォンに移植されると聞いて「少しマニアックでは?」と思いました。しかもほかのSNK移植作品調べてみると、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』や『メタルスラッグ』、『サムライスピリッツ』シリーズは移植されているものの『餓狼伝説』シリーズはなんと『MOW』が初! 知名度的には圧倒的に上な初期シリーズを差し置いて、本作品が先に移植されていることに驚きました(『ブレイジングスター』がなぜか移植されているのが一番の驚きでしたが)。

 そのセレクト理由は定かではありませんが、移植して現代に蘇らせたくなる気持ちもわかる! それくらい『MOW』はよくできたゲームなので、現に『MOW』ファンは根強くいます。かくいう筆者もそのひとり。格闘ゲームや『餓狼伝説』シリーズから離れていた人に、この機会にぜひ本作をプレイしてもらいたいですね。もちろん元々好きなかたは有無を言わさすプレイしてみてください。きっとそのクオリティに驚くはず!

▲妹萌え全盛期に投下された妹キャラの双葉ほたるは、その空前絶後の超必殺技で一時期話題に!? ん~、あのころが懐かしい。


この記事を書いた人

マー・ユー
Barの店長をしながら映画をひたすら観続ける凡人。夢は庭付き一戸建てと高級炊飯器の購入。最近またアーケード基板に手を出そうか出さまいか迷い中な三十路突入世代。