◆納得いかない出来事すら妙に面白く感じてしまう不思議な世界観
悪魔の化身である竜魔王を倒すために旅立った、伝説の勇者トトの血を引く4人の若者。彼らは困難を乗り越え、ついに竜魔王の城で最後の決戦に挑もうとしていた――。
こうした超王道RPGのクライマックスを思わせるシーンから始まるアクションゲーム『とまらんクエスト』。「勇者も強いし竜魔王はちょっと間抜けだし、これはアッサリ倒せてしまうのでは……?」と思ったのもつかの間、勇者たちは「止まったら死んでしまう」という呪いをかけられ、レベルは1に戻され、竜魔王から「結婚生活で一番大切なものは忍耐である」というゲームに無関係なのに色々と深い伝言を託されるといった、一方的すぎる展開が待っていた!
▲呪われてしまった勇者達。一刻も早く呪いを解くため、竜魔王を倒さねば!
王様の待つ城へ戻っても「伝説の勇者の血を引くのはハッタリだったの?」などとチクチク責められたが、嘆いてばかりもいられない。呪いを解くため勇者はふたたび立ち上がり、ダッシュで旅立つことになる。
▲リアルに負った心の傷を抉られるようなセリフも。とはいえこの後すぐフレンドができたので、これから遊ぶかたもご安心を。
さて、竜魔王の城へ辿り着くためには、まず「クエスト」をクリアしなくてはならない……のだが、その内容は「王様の家のカレーに入れるハチミツを取ってくる」だの、「UFOの写真を撮ってくる」だの、「お前(王様)が行けよ!!」と叫びたくなるようなものばかり。「なんで竜魔王の城へ向かうのに王様の頼みを聞かなきゃいけないんだ!!」と思わずにはいられないが、微妙に続きがあったり色々な小ネタが仕込んであったりするため、つい気になってしまったのがとても悔しいところ。
▲「ダジャレかよ!」とツッコミを入れずにはいられないクエスト画面。しばらく進むと「○話前の時のアレだけど……」とメタ的な展開も待っている。
また、ゲーム画面の左上にある「一時停止」のマーク。一般的なゲームであればちょっと止めたくなった時に活用できるものが大半だが、本作では止まったら死んでしまうので利用することができない。あまりに理不尽な部分だが、ここまで世界観を徹底的に貫かれたら「死んじゃうんだから仕方ないな」と頷かずにはいられないというもの。
▲「一時停止ボタンがあるように見えるな? それは嘘だ」といった感じで、結局ゲームは止まらない。
◆手軽な操作のアクションでクエストをクリアし、パーティを強化! RPG的な要素も豊富
こうした理不尽かつ、ユニークな世界観の中で進んでいく本作。クエストを受けると、画面が縦にスクロールするバトルステージに突入する。自動で進んでいくパーティを左右に動かし、立ち塞がる敵を倒していこう。それぞれの勇者は回復や遠距離攻撃、魔法など「スキル」を持っており、パーティの先頭に立ったキャラクターのものを発動できる。並び順は上から下に向かってスワイプすれば入れ替わるので、状況に応じて選んでいけばより有利にバトルを進められる。
▲パーティを指で押さえながら左右に動かし、敵への攻撃や宝箱の回収を行なう。画面をタップすれば素早い移動も可能だ。
もちろん敵も攻撃してくるので、パーティをうまく誘導して、ダメージを受けないように、回避するのも重要だ。このほか、画面上部にある青いバーが右端まで溜まるとド派手な「必殺技」が使えるので、各ステージの最後に出現するボスに使うといい。
▲“必殺技”は、その名の通り超強力。ボスにも大ダメージを与えられること間違いなしだ。
敵を倒すと経験値だけでなく、装備の強化に使える素材が手に入る。ほかに途中に落ちている宝箱からは体力を回復するハート、ゲーム内で使える仮想通貨「マイル」なども入手可能だ。
▲装備の強化には素材やマイルが必要。虫眼鏡のマークをタップすれば、素材がどのクエストで手に入るかすぐにわかる新設設計だ。
パーティはプレイヤーを含め、全部で4人。この内ふたりは王様から「おすすめ勇者」として紹介されたなかから「レンタル」として一時的に受け入れ、気に入ったら「ジェム」という対価を支払って契約するという仕組みだ。このおすすめ勇者は日替わりのため、有力なスキルや必殺技を持つ勇者がいないかこまめに覗くといい。
もうひとりは、ランダムに選ばれたフレンドから連れて行ける。ステージをより簡単にクリアしたければ、プレイヤーよりも高いレベルのフレンドを選択しよう。
▲おすすめ勇者は最大で1日しかレンタルできない。「育てたい!」と思えるキャラクターを見つけたら、まずは契約だ。
テンポのいいスリルと爽快感、コツコツと頑張るRPGのようなやり込み要素までたっぷりと詰め込まれた『とまらんクエスト』。本来なら「ええっ!?」と驚くようなポイントも、ユニークなテキストのおかげでつい納得してしまい、むしろ続きがどうしようもなく気になるゲームに仕上がっている。ぜひとも勇者一行を竜魔王の元へ導き、この止まれない呪いから解き放ってあげてほしい。