【レビュー】不朽の名作“勇者ロトの伝説”三部作の完結編『ドラゴンクエストIII』がスマホで快適にプレイできる!

◆フィーチャーフォン版をスマートフォン用に最適化!

 名作RPGとして名高く、発売時には社会現象を巻き起こした『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』。『ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエストII』から続く“勇者ロトの伝説”の完結編が、その2作品に続いてスマートフォンでプレイ可能だ。

 本作品はオリジナルのファミコン版に多くの要素を追加してリメイクされたスーパーファミコン版をベースに、携帯電話向けに調整されたフィーチャーフォン版の移植。もちろんフィーチャーフォンとスマートフォンではインターフェイスが異なるので、プレイしやすいように操作方法やセーブ機能の最適化などが施されている。

 キャラクターの移動やコマンド選択などは、ほかのスマートフォン版『ドラゴンクエスト』シリーズと同様に画面上に表示される方向キーやボタン、ウィンドウで操作する。さらにNPCとの会話や「しらべる」を直接タップすることでもでき、かなり便利。セーブは王様と話して「冒険の書」に記録する方法に加えて、コマンドの「さくせん」から「ちゅうだん」を選べば(戦闘中などを除いて)いつでもどこでも可能だ。そしてフィーチャーフォン版と同様に、作戦を指示しておけば主人公以外のキャラクターが自動で行動してくれるAI戦闘を採用。少ない操作で戦闘をサクサク進めることができる。


▲リメイク版で追加された性格判断からゲームがスタート。答えによって性格が決まり、さらにその性格によって初期ステータスやその後の成長度合いが決まる。



▲「ガンガンいこうぜ」、「いのちだいじに」といった作戦に合わせてそれぞれのキャラクターが行動するAI戦闘。パーティの仲間も自分で操作したい人は「めいれいさせろ」を選ぼう。


◆『ドラクエ』の基本は本作が作り上げた!

 このスマートフォン版で初めて『ドラゴンクエストIII』を知った人のために、ストーリーや基本システムについても紹介しておこう。主人公は小国アリアハンの勇敢なる戦士、オルテガの息子。16歳の誕生日に王様から、オルテガの遺志を継いで闇の国より現れた魔王バラモスを倒すように命じられる。世界を救うために旅立つ主人公。その前に待ち受ける驚くべき運命とは……と、プロローグはかなり王道。しかし物語が進むほどに冒険の舞台が広がり、多くの謎が明らかになっていく。同じ“勇者ロトの伝説”シリーズである『ドラゴンクエスト』と『ドラゴンクエストII』に関連するさまざまなキーワードにも注目だ。

 コマンド選択式のバトルはじっくりと自分の行動を考えられるターン制だ。パーティはストーリーが進むとともに仲間がひとりずつ増えていくのではなく、冒険のスタート地点であるアリアハンの「ルイーダの酒場」から仲間を連れていくので、最初から最大4人のパーティが編成可能。そして主人公は「勇者」のみだが、仲間の職業は「戦士」、「僧侶」、「魔法使い」、「遊び人」などさまざま。それぞれに特徴があるので、パーティの編成を変えるだけで冒険の難易度が大きく変化する。

 この職業や呪文の種類など、『ドラゴンクエスト』シリーズの基本はこの『ドラゴンクエストIII』で固まったといっても過言ではないだろう。「ルイーダの酒場」や「カジノ」、「モンスター格闘場」といったおなじみの施設が登場したのもこの作品から。昼夜の概念や空を飛ぶ乗り物が登場したのも本作が初めてだ。


▲フィールドを移動していると時間が経過し、昼から夜、または夜から昼に変化。夜はモンスターとの遭遇率が高まるほか、昼と夜では街や城などの様子も異なる。



▲ストーリーが進むと訪れることになる「ダーマ神殿」でほかの職業に転職すれば、複数の職業の特徴を持ったキャラクターに成長可能。リメイク版で加わった「盗賊」ももちろん登場する。


◆約四半世紀の時を経ても面白さは変わらず!

 オリジナルのファミコン版だけをプレイしているのか、リメイク作のスーパーファミコン版やフィーチャーフォン版などをプレイしているのか、それともスマートフォン版で初めてプレイするのか。それによって今回紹介するスマートフォン版『ドラゴンクエストIII』に対する感触は大きく異なるだろう。

 ファミコン版だけをプレイしている人は、スーパーファミコン版で追加された多くの要素が新鮮に感じられるはずだ。ゲームを開始時の性格診断や「しんりゅう」が待ち受ける「謎の塔」など、最初から最後まで驚きに満ちている。リメイク作をプレイしたことがある人は、最適化された操作などを体験してみてほしい。フィーチャーフォン版をプレイしたことがない人なら、AI戦闘も快適に感じられるはずだ。

 そして本作品で初めて『ドラゴンクエストIII』に触れる人にとっては、昨今のさまざまな新作ゲームと比較すれば、システムやグラフィックにレトロさを感じるかもしれない。しかしそこには、派手なグラフィックやサウンドに頼らないゲーム本来の楽しさが詰め込まれている。ゲームの歴史に名を残す名作RPG。スマートフォンでそれを体験できる幸せをぜひ味わってみよう。


▲画面上に表示される方向キーの位置は中央や左右などに変更可能。大きさも大中小から選択できるので、画面が見やすいように、そして操作しやすいように設定できる。



▲縦画面でも違和感なく快適にプレイ可能。短時間でアッサリと遊ぶのではなく、システムやストーリーを堪能しながらじっくりと楽しみたくなるゲームだ。

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