【TGS2015】『攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver』発表。スマートフォンとHMD、ドームシアターで味わうVR時代の『攻殻機動隊』

攻殻機動隊VRD

 プロダクションI.Gは、TGSのメインステージにて、VRアプリ『攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver』(以下『攻殻機動隊VRD』)を発表した。その様子をレポートしよう。

 今回発表された『攻殻機動隊VRD』は、『攻殻機動隊』初のバーチャルリアリティアプリとなる。まずは近日中にティザームービーを配信し、2015年冬に、iOSとAndroidのスマートフォン向けに配信開始予定(価格は480円を予定)。続いて近日中にOcculus VR向けにもリリースされる。今回のTGSでは、ドーム型のシアターで見せるVRコンテンツとして出展もされている。まさにVRのためのコンテンツと言えるだろう。

 ステージに登壇したのは、プロダクションI.G執行役員・企画本部長の郡司幹雄氏、WOW所属の浅井宣通氏、オリハルコンテクノロジーズの高幣俊之氏、高幣氏とともにドーム映像システムを手がけている糸屋覚氏、stoicsence所属の東弘明氏の6人。このメンバーが、『攻殻機動隊VRD』の制作を担っていることになる。
 発表は、郡司氏が進行役となり、それぞれコメントを発表する形で進んだ。

攻殻機動隊VRD
▲左から、郡司氏、浅井氏、高幣氏、糸屋氏、東氏。

 浅井氏は、人間の顔にプロジェクションマッピングをする作品「OMOTE」「FACE-HACK」などで知られる映像クリエイター。VR分野にも造形が深く、「今年はVR関連の出展も多く、時代が追いついてきた」と切り出す。「VRの言葉自体は古く、アイヴァン・サザランドが提唱してから40年以上になる。テクノロジーが急速な発展を遂げて、VR2.0の世の中になった。そこで、攻殻機動隊だと思った。攻殻機動隊は特別な意味を持っており、攻殻機動隊自体がVRそのもの。それをHMDとドーム映像で体験してもらえることを嬉しく思う」とコメントした。

 高幣氏は、『宇宙戦艦ヤマト2199』の宇宙空間の制作も担当し、プロダクションI.Gとの縁も深い人物。ドーム映像の第一人者であるソフトウェア・エンジニアで、本人曰く「ツールを作る裏方をしている」という。「東京ゲームショウを見ても、ヘッドマウントディスプレイ、VRの波が来ている。ドーム映像で、その始まりのタイミング、あるいは道を示す作品に関われるのは幸せ」とした。

 糸屋氏は、全天周映像の高解像度撮影と、投影機材のスペシャリスト。先日は12Kという凄まじい高解像度のオーロラ撮影にも成功している。「浅井さんから、ドームの没入感を使って何か面白いことができないか、と声をかけてもらったのが始まり」とし、今回のプロジェクトへの期待感をコメントした。

 東氏は今回のTGSでのプロダクションI.G.のドームVR映像出展について、「360°の立体視映像は、本当に没入感が高いものに仕上がった。素子の顔に触れ、擬似重力まで感じることができる。ひとりでなく、隣の人と共有できるのは、本当に新しい、奇跡的なプロジェクト。このコンテンツが攻殻機動隊と同じく、日本から発信するカルチャーになれば」とした。

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▲『攻殻機動隊VRD』のメインビジュアル。
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▲本作での草薙素子(主役)のモデリング。これがVR世界に、文字通り“現れる”。
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▲TGS会場では、ドーム型シアターでこの世界を体感できる。

 各人のコメントの後、郡司氏が「発表があります」とし、新たにプロダクションI.Gが立ち上げるプロジェクトブランド「SIGN」が発表された。「SIGN」は今回登壇したメンバーと共同で進められるという。コンセプトは、「future technology×art」。
 郡司氏は、「テクノロジーは、多くのものに影響を与える。テクノロジーを開発しながら、表現を考えるのが重要」と、このプロジェクトブランドの意義を発表。この「SIGN」を通じてVRや既存メディアの概念を変える表現活動をしていく、『攻殻機動隊VRD』はその第一弾となる。
 すでにソニーなどさまざまな企業との新たな取り組みもスタート。映像だけでなく、さまざまな表現をしていく、とした。
 今後は、公式サイト sign.site で活動を発表していくとし、この発表会を締めくくった。

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