今回紹介する『ドラゴンファング~竜者ドランと時の迷宮~』(以下『ドラファン』)は、ランダム生成されたダンジョンに潜るローグライクRPG。同ジャンルは『不思議なダンジョン』シリーズでおなじみ……らしいんですが、ごめんなさい、実はあまりプレイしたことありません。それはもう、花も盛りの20代をまるっとPCのMMORPGに費やしてしまった廃ゲーマーの私には、コンシューマゲームをプレイする時間はなかったのです。なんせ命かかってますから。ゲームでくっついてリアル結婚しちゃった友達もいたし、女の人生もかかってましたから!
とはいえ、すっかり落ち着いた今は毎日ちくちく遊べるスマートフォンゲームが大好き。もう大人なので、レアポップ待機で24時間張り込みとかできませんし。
◆おしゃべり妖精さんとその都度変化する迷宮へ挑め!
旅のお供となるのはコロコロとよくしゃべる「妖精さん」で、表情豊かにあーだこーだと口出ししてくるのがたまらなくかわいい! だけでなく、ひと言もしゃべらない主人公ドランに代わり、ひとり上手な妖精さんが実にうまくストーリーを展開します。
『ドラファン』は、かなりまめにイベントが開催されていて、そのイベントひとつひとつに主人公たちの世界に関するミニストーリーがあるのが楽しいところ。世界観がかなりしっかり作りこまれてる印象なんです。
通常ステージも上記のようなイベントも、妖精さんと敵ボスとの会話で進むんですが、全編通してイベントグラフィックやボイスはなく、妖精さんのぷりぷり怒る姿やウ~ムと悩む立ち絵と文字のみ。ところがこの演出だけで、まるで情景が目の前に浮かぶかのような魅力が、吸引力があるんです! いやぁ、イラストと文字だけでこれってすごい。
◆クリアか死でしか抜け出せない決死のダイブ!
『ドラファン』では、毎回自動生成されるダンジョンに何度も潜り、敵を倒して進み、仲間モンスターを捕まえたり育てたりしていきます。ダンジョン内の行動は歩く、アイテムを使う、剣をふるうなどで1ポイントずつ消費していくターン制で、ターンが残っている間は何もしなくても1歩あるくだけでHPが回復していきます。
しかし、無駄なまわり道をしてターンがなくなると、1歩あるくごとにHPが削られる地獄の行進に。HPぎりぎりでたどり着いた出口目前で、モンスターに出会ってトン死してしまうことも……。
一発でダンジョンを脱出するアイテムも魔法も存在しない、戻る道すら閉ざされた迷宮。生きて帰るには先に進まねばならぬのに、あぁっ、出口までがなんて近くて遠い……っ!
ダンジョンから持ち帰ることができるのは捕まえたモンスター、お金、モンスター召喚アイテムなどで、回復薬や敵にダメージを与える特殊アイテムなどは持ち帰れません。アイテムも8個しか持てないからすぐいっぱいになるし、適宜使うか、不必要なアイテムはほっぽり投げて、今後の状況を考えつつ取捨選択していく楽しみがあります。
◆超レアでなくともファングはスキルとソウルが決め手
アイテムが手に入られないということで、主人公ドランの武器も装備も、ずっと同じ剣と着たきり雀。ただ、彼の武器は3体のモンスターをファングというパワーに変え、装着することが可能なのでした。
ファングはそれぞれスキルとソウルを持っていて、スキルは一定ターンで貯まる必殺技、ソウルは連れているだけで一定の確率で発動するパッシブスキルとなります。
装着可能なファングのコストは、ドラン達の拠点となるホームがレベルアップしていくことで増えていくシステムですが、レアガチャから出現するSR(スーパーレア)なんかは、最初のうちはコストが足りなくてまったく使えません。まさに絵に描いた餅。
「じゃあ勝てないじゃん」かと思えば、実は本作品は比較的簡単に手に入るファングに、けっこう使える能力があるのがうれしいところ。レアガチャ回しに必死にならなくてもよい、気楽さがまた良いのです。
レアガチャからこれみよがしに飛び出てきたポッと出のSRなアイツより、冒険の序盤から一緒のけなげなアイスボーちゃん(回復スキル持ち)のほうが私にはぜんぜん大事な仲間なのよ!
◆ユーザーフレンドリーなばつぐんの操作性
このほかにも、部屋のど真ん中で戦うとボーナスのつく「ブレイブシステム」や、ポイントを溜めてファングを加勢させる「覚醒」とか『ドラファン』ならではの面白みもあるんだけど、最後にプッシュしたいのは、なんと言ってもばつぐんの操作性。タップ移動、通路のオートモード、コンパクトで使いやすいインターフェイス。ものすごく丁寧に作ってあるなぁとほれぼれしちゃいます。初心者でも、ローグライク好きでも気軽にプレイして思わずハマる良作。ぜひ一度プレイを!