【レビュー】20~30代ゲーマーはマストプレイ! 斬新過ぎるアイディアのアクションRPG『Evoland』

 今思えば、1990年~2000年のゲームの発達はすごかった。たった10年で、ゲームはファミリーコンピュータからプレイステーション2にまで進化を遂げたのだ。たとえ懐古主義と言われようとも、これだけは主張したい。あの時代に青春を過ごした筆者の世代はまことに幸福であった。

 そんな’90年代を追体験する、珍しい発想のゲームが登場した。アクションRPG『Evoland(エヴォランド)』は、ゲームと一緒にオトナになったゲームファンの心をくすぐる仕掛けが満載だ!


◆プレイとともにゲームシステムが進化する!

 プレイを始めると、あまりにもショボい(失礼!)ゲーム画面に驚く。色は白黒、音声もないうえ、キャラクターは右にしか動くことができない。

▲移動方向は右だけ。後戻りさえできない! でも……。


 しかし宝箱を開けると、左へ、上下へ、少しずつ移動できる方向が増えていく。その後も宝箱を開けるたび、画面が「スクロール」するようになり、「サウンド・エフェクト」が鳴り始め、「つるぎ」を振れるようになり、「モンスター!」が現れ……徐々にゲームらしくなってくる。そして、画面はついにカラーに。さあここからが本番だ、とばかりに、突然表示されるタイトルとプロローグ。

 そう、『Evoland』はゲームの進化の歴史を再現するゲームなのだ。画面は平面ドット画に始まり、モード7(※1)を利用した擬似3Dが生まれ、ついにはカクカクのポリゴン(※2)へ! あのころ、ゲーム業界が味わわせてくれたワクワク感が昨日のことのように蘇ってくる。

▲懐かしい雰囲気のドット画。


▲3Dに進化するとこんな感じに!


※1 モード7:スーパーファミコンにおける、画面を拡大、縮小、回転する機能のこと。
※2 ポリゴン:3Dグラフィックの構成単位となる多角形のこと。表示できるポリゴン数がゲーム機の性能のバロメータだった時代もあった。

◆アクションRPGと思いきや、突如始まるコマンドバトル!

 ゲームシステムは、シンプルな見下ろし視点のアクションRPG。「けん」、「ばくだん」、「ゆみや」を使い分け、謎を解きながらダンジョンを攻略していく。ステージギミックやボス敵の行動パターンなどはかなり練りこまれており、遊びごたえは充分。

▲アクションRPG……ていうか某「伝説」じゃねーか! ワープする魔法使いは『Evoland』でも強敵だ。


 しかしワールドマップに出ると、いきなり敵とのエンカウントが起こり、コマンド選択式のバトルが始まる。こちらは難易度も低いので、無理なレベル上げなども必要なく気軽に遊べる。

▲完全に某「ファンタジー」。しかも敵は「ケフカのゴースト」。シンジラレナーイ!


◆詰めこまれたレトロゲームネタの数々、だが、ただのネタでは終わらない!

 戦闘システムのほかにも、かつての名作RPGをほうふつとさせる仕掛けが、これでもかと詰め込まれている。どこかで見たようなキャラクターや、レトロな雰囲気の街、オマケのミニゲームなど、’90年代ゲームシーンに触れた人ならニヤリとできるネタばかりだ。

▲ヒロインのカエリス。KaerithからKをとると……? 「デート、1回!」とは言わないが、こんなこと言われたら助けたくなっちゃう。


▲プリレンダリングの背景を歩く3Dキャラクター。今ではほとんど見られなくなったシステムだ。


▲オマケのカードゲーム。画像見て「おいィ!?」と思ったそこのあなた、筆者も同じ気持ちです。ルールはセイム、プラスなしのランダムハンドありね!


 しかし、ただ昔を懐かしむだけのネタで終わらせないのが『Evoland』の魅力。ダンジョン内で「クリスタル」に触れると、現在と過去を行き来して、グラフィックの3D、2Dを切り替えられる。すると現在で行く手を遮っていた大木が、2D時代にはまだ苗木なので通り抜けられたり、2D画面で道を塞いでいたブロックが、3D画面で横から見ると乗り越えられる程度の高さしかなかったりする。2Dと3D、それぞれの特性を生かしながらダンジョンの謎を解いていく楽しさがあるのだ。

◆奇抜なアイデアを、見事な完成度で練り上げた良作!

 ゲーム内でゲームの歴史を追う、というのは意外性のあるアイディアだ。それをただの懐古ネタで終わらせず、ゲームシステムと融合させ、手軽に遊べるアクションRPGとしてきちんと仕上げたところに『Evoland』の魅力がある。特に’90年代にプレイしていたゲームファンなら、きっと楽しめるはずだ!
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