『東京トイボックス』シリーズ次作はソーシャルゲーム編!? エイリム高橋社長とサイバーコネクトツー松山代表も激論を交わした「一夜限りのトイボナイト」レポート

 3月16日(水)、渋谷にあるマンガサロン『トリガー』にて「“魂は合ってるか!?”第一線のゲームPが『大東京トイボックス』を読んで語る一夜限りのトイボナイト Presented by ブレイブフロンティア」(以下「一夜限りのトイボナイト」)が開催された。

◆ゲーム業界を描いたとにかく熱いマンガ『大東京トイボックス』

“トイボ”こと『東京トイボックス』はモーニング(講談社刊)で2006年まで、その続編にあたる『大東京トイボックス』はコミックバーズ(幻冬舎刊)で2013年まで連載されたマンガ。弱小ゲーム制作会社・スタジオG3の天川太陽と、そのライバル的存在である大手ゲームメーカー・ソリダスワークスの仙水伊鶴を中心に、熱いドラマとゲーム業界の悲喜こもごもが描かれている作品で、2013年にはドラマ化も行なわれた。

 一方、トリガーでは『ブレイブフロンティア』などで知られるエイリムの代表取締役社長・高橋英士氏がホストとなってのトークイベントが毎月開催されている。第3回となる今回はゲーム業界を扱った『大東京トイボックス』を語る会ということで、作者のうめ氏、そして同作の大ファンであるサイバーコネクトツー代表取締役・松山洋氏が集って、作品に負けず劣らずの熱いトークが繰り広げられた。

登壇者
▲左から、もうひとりのホストであるサーチフィールドの代表取締役社長・小林琢磨氏、高橋英士氏、松山洋氏、うめ氏。

◆『大東京トイボックス』のあるある&ここはない!

『大東京トイボックス』を読んだ感想の話題になると、高橋氏、松山氏が口を揃えて語ったのが「リアル」。単純なゲーム制作以外に起こるトラブル、メンタルがやられるクリエイター、(単行本でのみ見られる)登場キャラクターの履歴書……ゲーム業界に身を置くふたりからしても「こんなことあったな、こんな奴いたな」(高橋氏)と思わされる描写ばかりだそう。

 この要因について、うめ氏が挙げたのが徹底した取材。「元々ゲームクリエイターになりたかった」という彼は、『侍道』(2000年代、さまざまなハードで展開したアクションゲーム)の本を読んだことをきっかけにその制作元であるアクワイアに、自らアポイントを取って取材を敢行したのだ。これについて松山氏は「なんでウチちゃうん!? 毎週大好きで読んでたのに!」と猛烈な勢いでツッコんで会場の笑いを誘っていた。

松山氏
▲自称“『トイボックス』大好き芸人”の松山氏は、うめ氏からサプライズでサイン色紙をもらうと歓喜の雄叫びをあげる。

 もちろんリアルなだけでなく、脚色も交えてエンターテイメントとしての面白さを徹底的に追求しているのも『大東京トイボックス』の魅力。「これはない」として高橋氏が語ったのは「あんなに美人ばかり揃っているゲーム会社はあり得ない!」。松山氏も大きく同意するところだったが、うめ氏はすかさず「僕が取材したところは美人ばかりでしたよ」と大人の対応を見せていた。

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▲同イベント第2回に続き、『大東京トイボックス』について熱く語ったイベントホストの高橋氏。

小林氏
▲当時クライアントだった高橋氏に「ゲームを作っているのに読んでいないって頭おかしいんじゃないですか!?」と叱責したという、熱い小林氏。

◆表現規制やVRなど『大東京トイボックス』に登場した旬の話題

 8年近い長期連載ながら、松山氏も「物語の構成として秀逸! 最後の展開も『東京トイボックス』の171ページで暗示しているし……」と絶賛するほど、細かな伏線も見事に回収してみせた『大東京トイボックス』。

 しかしうめ氏は「最初はあまり細かなところまで構成を考えていなかった」と語り、たとえば表現規制の話は「4~5年後に児童ポルノ禁止法が改正されるという話があったので、物語に入れた」。またVRについても「5巻の途中くらいに、最後は地球をバックに太陽に叫ばせたい」という発想を、作中の世界観に落とし込むためにその要素を組み入れたそうだ。

うめ氏
▲かなり際どい質問の連続に、うめ氏は苦笑を浮かべるしかない場面も。

 そんな先見の明や応用力をもってしても、MMORPG編や『ソードクロニクルIV』開発中のいざこざなど、「書きたいけど書けなかった」話はあったという。また続編に話が及ぶと、会場のファンからは当然のように賛同の拍手喝采。さらに高橋氏からは「続編やるならスポンサーしますよ」と、この日の熱気を考えると冗談とも本気とも取れない発言も……。

 あまりの盛り上がりに、ニコニコ動画のコメントや会場の質問に応える時間もなくなってしまったほど、熱気を帯びていた「トイボナイト」。出演者もまだ語り足りないようで小林氏の「来月またやりましょう!」の言葉でようやくイベントは終わりを迎えました。どうやら“一夜限り”で終わらなさそうな「トイボナイト」。次回開催が実現すれば、『大東京ボックス』ファンはもちろん、ゲーム業界人の生の声を聞きたいかたも、ぜひ訪ねてほしい。

・マンガサロン『トリガー』
http://mangasalon.com/