【レビュー】武装バイクを操り、敵をなぎはらえ! サイバーパンク・アメコミ・アクション『SXPD 人造機動警察』

◆パンクな近未来でテロリストを追跡する、アメコミ・バイクアクション

 アメリカ合衆国52番目の州「ニュー・ロワイヤル」。この街は大富豪メフィストフェレス氏に個人所有されている。ここでは彼が法だ。反するものは排除する。手段は、問わない――。

 世界観からしてパンキッシュな『SXPD 人造機動警察』は、ハードなバイクアクションゲームだ。主人公は、街を牛耳る大富豪の私設警察「SXPD」の新人隊員。彼は小型核爆弾入りのアタッシュケースを持つテロリストを追跡する。ゲームはいたってシンプル。機銃とミサイルを搭載した武装バイクを操り、敵を追い詰め、捉え、撃つ。すべての敵を倒せばステージクリアだ。

▲アメコミ風に展開するストーリーパート。大胆な描き文字とコマ割り、緻密な画風が醍醐味だ。


 ステージ間には、アメコミ風のストーリーが挟まれる。ド迫力のアクションと緻密な描写もさることながら、物語からも眼が離せない。人体強化薬「ジュース」。テロリストたちの不可解な言動。そして謎の男は語る。

「あのハコ 爆弾ちがう もっとわるい」「……全部おわる! アメリカ ヨロッパ アジア ぜんぶ」

 このセリフ回し辺りで、筆者はもう完全にハマってしまい、そのままエンディングまでぶっ続けでプレイしてしまった。結末は、ぜひあなた自身の目で確かめてほしい。

◆傾き感知で自由自在にバイクを操り、ステージを疾走

『SXPD 人造機動警察』のアクションパートは一人称視点で、スマートフォンを傾けた方向にバイクが旋回する。慣れない操作に始めは戸惑うものの、小一時間もプレイしていると驚くほど思うままにバイクを操れるようになる。傾きの深さによって、進路の微調整から急速旋回まで自由自在。障害物が複雑に絡まり合うステージを、縫うように走り抜けることもできる。

▲慣れてくると、こんな障害物だらけのステージも自在に走れるようになる。


 敵キャラクターもバイクを巧みに操り、背後に回りこんで攻撃してくることがある。そんなときは、こちらも限界までスマートフォンを傾け旋回、逆に敵の後ろを取って反撃だ。これが見事に決まったときの爽快感は抜群。まるでリアルに人体強化薬を打ち込まれたような快感が……いやいや。

▲アクションパートでもセリフがアツい! 「クッソ! 後ろを取られた!」。


▲スマートフォンを大きく傾けると急旋回。


▲逆に敵の背後を捉え、攻撃! 快感ッ!


 単純なアクションの魅力のみならず、地形を利用した戦略性も深い。敵を直線道路に追い込めば左右に蛇行できなくなり、連続で機銃を当て続け一挙撃破することもできる。また、ステージのあちこちにバイクを一時的に加速できる「ニトロ」や、強力な追尾弾を撃てる「ミサイル」が設置されており、これをいつ拾い、使うかに頭を悩ませるのも楽しい。もちろん、指先のテクニックにすべてを任せ、獣のように敵の尻尾に追いすがるのもまたよしだ。

▲「ミサイル」発射。ロックオンに時間はかかるが、敵を追尾するうえに強力。


◆ストーリー全6話のほか、スコアを競うアーケードモードも搭載

 ストーリーを進めていくと、アーケードモードのステージが開放されていく。こちらのモードでは、敵全滅までの時間を競う「タイムトライアル」や、制限時間内での撃破数を競う「キルカウント」などが楽しめる。ステージを覚え、戦略を組み立てる楽しみは、ストーリーモード以上だ。高スコアを出すにはかなりの熟練が必要だが、それだけにいったんハマると熱い。

◆歯ごたえのある小品を求める人にぴったりなハード・アクションゲーム

 全体に難易度はやや高めだが、決して理不尽なレベルではない。繰り返し遊べば自然に腕が上がり、クリアできるだろう。ボリュームはエンディングまで5時間前後で辿り着いたが、文庫本を1冊読んでいるような感覚で気軽に楽しめる。

 サイバーパンク・ファン、アメコミ好き、バイクゲーム好き、そして「しっかりした作りのアクションをやりたいな」、「でも“壮大なボリューム”とかにはちょっと食傷気味だな」そんな人におすすめの一作だ。

▲なぎはらえ!


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