アニメ作品の配信事業・配信サービスが世界規模で拡大し多様化が進行。新パートナー企業との関係づくりといった事業環境の変化への対応が急務。
株式会社創通は、平成29年8月期決算を発表。当期売上高は195億6500万円(前期比15.6%減)、営業利益30億2500万円(同13.5%減)、経常利益29億6800万円(同15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は20億4200万円(同10.6%減)となった。
経営成績等の概況
アニメ作品の配信事業・配信サービスが世界規模で拡大することにより、DVD・BDの市場が縮小するだけでなく、アニメーション事業の構造は大きく変化。作品のスポンサーに関しても、これまでとは違い海外の大手配信事業者が主要となるケースや、作品の一次利用がテレビ放送ではなく配信サービスというケースも目立つ様になり、アニメ作品の製作スキームも多様化している。
また、二次利用の場面においても、映像ビジネスやキャラクターグッズのみならず音楽・興行・舞台など利用の幅が広がるとともに複合化。アニメーション事業の投資回収スキームやアニメファンのニーズが多様化する事業環境において、製作委員会組成やキャラクター育成の創意工夫がより一層必要となるとともに、新しいパートナー企業との関係づくりなど、変化する事業環境への対応が急務となっている。
この状況のなか創通は、中核であるアニメ作品やエンタテインメントコンテンツのプロデュースにおいて、より良い企画・ビジネススキームの提案、新たなスポンサーの獲得に注力するとともに、新たな二次利用の市場を開拓。アニメーションキャラクターの版権ビジネスの拡大という方針のもと事業展開を図ってきた。
この結果、当連結会計年度の売上高は195億6500万円(前期比15.6%減)、営業利益30億2500万円(同13.5%減)、経常利益29億6800万円(同15.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益20億4200万円(同10.6%減)となった。
各セグメント毎の業績は以下。
メディア事業
継続番組である『それいけ!アンパンマン』『リルリルフェアリル~魔法の鏡~』などのほか、ガンダムシリーズの新作『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』第2章、『MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang』など、テレビアニメーション番組25作品に関して、製作出資・製作委員会の組成・共同運営並びにプロデュース事業を実施。おおむね期初の計画通りプロデュースしたが、前期に比べプロデュース作品数の減少により、アニメ制作受託収入並びに提供料収入が減少した。
また、版権を保有するキャラクター商品に関しては、新商品の大型プロモーション・広告案件が減少。キャラクターを利用した販促キャンペーンの新規受注獲得ができなかったことが、売上高減少の大きな要因となった。
就職情報事業を行う子会社ジェイ・ブロードの業績に関しては、順調に推移した。
以上の結果、メディア事業の売上高は138億3500万円(前期比20.3%減)、営業利益8億4400万円(同28.7%減)となった。
ライツ事業
「ガンダム」シリーズについては、おおむね計画通り堅調に推移。「ガンダム」シリーズ以外の版権に関しても、新作は大きなヒット作はなかったが、過去作品の配信にかかる版権収入が増加した。
また、イベント事業において、主催するキャラクターイベント「C3」と株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社であるSOZO Pte.Ltd.が開催する「AFA」を統合。海外含めた主要5都市でイベント「C3AFA」の共同開催が決定した。当連結会計年度は、バンコク・ジャカルタにおいて「C3AFA」を共催し、当該イベントに関する売上高が増加した。
以上の結果、ライツ事業の売上高は52億1200万円(前期比0.1%減)、営業利益22億500万円(同5.6%減)となった。
スポーツ事業
スポーツ事業は、球場看板広告の新規受注獲得ができず、前年同期に比べ売上高が減少した。
以上の結果、スポーツ事業の売上高は5億1700万円(前期比15.3%減)、営業利益3900万円(同13.0%減)となった。
今後の見通し
メディア事業
中核事業であるテレビアニメーション番組のプロデュースにおいて、積極的に投資を行う方針を堅持。プロデュース作品数が増加することからアニメ制作受託収入並びに提供料収入の増加を予定している。
さらに、事業環境の変化に対応し、新しい事業パートナーとの協業によるアニメ作品のプロデュース及びヒット作の創出という課題に関して、引き続き重点的に取り組んでいく。あわせて版権を保有するキャラクターを利用した販促・集客キャンペーンに注力し、キャラクター商品の広告・宣伝収入の減少を補完する計画を進めるとした。これらの事業計画により、メディア事業の売上高は146億6000万円を見込んでいるとのこと。
ライツ事業
ガンダムシリーズにおける国内の版権収入は堅調に推移するものと予想。また、海外での利用拡大等に関しても順調に推移するものと予想しており、2019年の「機動戦士ガンダム40周年」に向けて、キャラクターの育成と新しいキャラクターグッズの利用及び販促・集客キャンペーンによる版権収入の増加に努めるとのこと。
ガンダムシリーズ以外のキャラクターに関しては、キャラクターグッズ・遊技機・ゲームなどの商品化及び海外を含めた配信事業者に対する営業活動に注力。版権収入の増加に努める。イベント事業については、海外で「C3AFA」の規模拡大及び国内の巡回型イベントの開催により事業の伸長を狙う。これらの事業計画により、ライツ事業の売上高は55億4000万円を見込んでいるとのこと。
スポーツ事業
売上高は8億円を予想。
上記の方針・計画のもと、次期の連結売上高は210億円、営業利益31億2000万円、経常利益31億3000万円、親会社株主に帰属する当期純利益21億円となる見通しだ。