日本のe-Sportsが闘会議2018から本格始動。プロライセンスの発行がe-Sportsをエンターテインメントに押し上げる。
株式会社ドワンゴと株式会社Gzブレインは、2018年2月10日(土)~11日(日)に開催する日本最大級のゲームの祭典「闘会議2018」に関する発表会を六本木ニコファーレで行なった。
発表会では、参加ゲームタイトルやパートナー企業のブース企画などを次々と発表するなか、日本のe-Sports選手に対してプロライセンスを発行を担う新団体設立に向けた進捗報告と、プロライセンスを発行する第1号大会が闘会議2018の会場で開催されることを明らかにした。
これで順調にいけば、闘会議の会場でプロライセンスを持つe-Sports選手が誕生することになる。
e-Sportsとはゲームの技量を競い合う競技のことで、海外では億を超える高額賞金をかけてプロ選手が競い合うエンターテインメントとして、1億人が観戦を楽しんでいるといわれている。Gzブレインの調査によると、2016年のグローバルなe-Sports市場は8.9億ドル(約1000億円)だったが、2019年には12.3億ドル(約1385億円)になると予想されている。
最近では2022年の中国杭州でのアジア競技大会での正式種目として採用や、2018年にジャカルタで開かれるアジア競技大会への試験導入の検討、2024年のパリオリンピックで新種目の候補として協議されていることなどから、テレビやWebニュースでみたことがある人も多いのではないだろうか。
ただ、日本ではe-Sportsの認知度はまだまだ低い。2016年の闘会議2016でこそ、高額賞金がかかったゲーム大会がいくつも開催され、e-Sportsを押し上げようという業界の動きがみえたが、高額賞金が法律に抵触する可能性が示唆されたことから2017年は各企業が自重する流れに……。株式会社Cyberzが主催する「RAGE」など、いくつかの大会は開かれていたが、エンターテインメントとしてはまだまだ未成熟な状態といっていいだろう。
そんな日本のe-Sports業界に変革の兆しがみえたのが東京ゲームショウ2017(以下、TGS2017)だ。
TGS2017で、これまで各々に活動していた日本のe-Sportsに関する3つの団体(※1)が、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)や、一般社団法人日本オンラインゲーム協会(JOGA)といったメーカーが加入する協会が協力し、5団体連盟で新たなe-Sports団体を設立することが発表された。このe-Sports団体はプレイヤーに対して正式なプロライセンスを発行することで、ゴルフなどのスポーツと同じく、プロ選手の大会に高額賞金がかけられるようにするのが目的だ。
※1 一般社団法人日本eスポーツ協会(JeSPA)、一般社団法人e-sports促進機構、一般社団法人日本eスポーツ連盟(JeSF)の3団体。
また、現在の日本でプロゲーマーと呼ばれている選手たちは、ゲームだけで生活しようと思っても、日本の大会だけでは生活ができず、副業を持ったり、海外の大会に遠征を繰り返すのが普通だった。そのための旅費などの経費も大きな負担となっているので、日本でそういった大会が開催され、参加できるというのは大きな変革だ。
まだ、プロライセンスを発行するためのレギュレーションや、すでに海外の大会などに出場している選手の扱いなど、決めなくてはいけないことが多く鋭意調整中とのことだが、闘会議2018の会場で大会を開催することからも2018年早々には形になるようだ。年明けの続報を待とう。
また、この発表にあわせてプロライセンス発行の対象となるゲーム、5タイトルが発表された。コンシューマゲームとスマートフォン用ゲームから、スポーツ、対戦格闘、パズル、アクションと、幅広いジャンルのゲームが並んだ。
プロライセンス発行対象タイトル
■ウイニングイレブン 2018
株式会社コナミデジタルエンタテインメント
プラットフォーム: PS4 / PS3
■ストリートファイターV アーケードエディション
株式会社カプコン
プラットフォーム: PS4 / STEAM
■鉄拳7
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プラットフォーム: PS4 / Xbox One / STEAM
■パズル&ドラゴンズ
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
プラットフォーム: iOS / Android OS / Kindle Fire
■モンスターストライク
株式会社ミクシィ
プラットフォーム: iOS / Android OS
今回発表されたラインナップに関してはPCゲームが入っていないため、海外のe-Sportsに興味がある人は疑問を持つかもしれないが、これがすべてではないということなので続報を待ちたい。
会場では、プロeスポーツチームのCEOを務める梅崎伸幸氏、『鉄拳7』で現役プロゲーマーとして活躍しているノビ氏、ゲームライターのブンブン丸氏がゲストとして登壇し、「高額賞金が出ることで選手のモチベーションとなる」「ライセンスのレギュレーションが公開されることで、プロ選手になる方法が明確になり、これまで埋もれてた人が出てくる」など意見を述べた。
このあと、一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)から闘会議2018に1000万円の賞金協賛が決定したことが発表された。どの競技にいくら賞金がかけられるのかは発表されていないが、1000万円という高額賞金にこれまでのゲーム大会ではない、e-Sportsの空気が感じることができた。
このe-Sports関連のニュースに関しては、続報が入り次第お伝えしたい。