【レビュー】『スチーム:富へのレール』借金から始まるシビアな鉄道経営ボードゲーム!

スチーム:富へのレール

 みなさんはボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームというと、どんなゲームが思いつくでしょうか?

 日本でのメジャーどころといえば、やはり人生ゲームやUNOなどのパーティゲームが筆頭です。しかしドイツ、アメリカを中心に、年間で何百種類も発売されているアナログゲームには、戦略性の高いガチなゲームも多数あります。そのなかにはスマートフォンで遊べるものも多数あるのです。

 本作は2009年にアメリカで発売された『スチーム』というボードゲームのアプリ版です。都市から都市へ線路を敷いて、列車を走らせて貨物を運び、規定のターン数でより多く勝利点を稼ぐのが目的となる鉄道経営ゲームなのです。

アメリカマップ
▲海外産ゲームですが、日本語にも対応しています。アメリカマップが遊べるほかに、拡張でヨーロッパマップも遊べます。
ルールブック
▲日本語訳ルールのPDFをゲーム内からダウンロードできます。ルールブックは16ページもありますが、内容はそんなに難しくはありません。

◆初期の運営資金は0! 鉄道経営は修羅の道!?

 本作はいたるところでシビアさを感じられます。まず、このゲームでは線路の敷設や機関車の改良などにお金がかかるのに、標準ルールではプレイヤーの初期資金は0なのです。

 ではどうするか。そう、借金をするのです。ターン終了時にもらえる収入を1ドル減らすごとに、5ドルの借金ができるので、まずはお金を借りて経営に乗り出すのですねー。

 ちなみにゲームスタート時は、ターン終了時の収入も0なので、最初のうちはゲームが進行するごとに借金がかさんでいくという事態も当たり前のように起こります。しかし都市に置いてある貨物をほかの都市に運ぶことで「輸送点」が入手できます。輸送点は収入に割り当てられるので、効率よく線路を敷いて貨物を運んでいきましょう。

貨物を同じ色の都市に運ぶ
▲貨物を同じ色の都市に運ぶことで、輸送点が得られ、収入を増やすか勝利点を得るかのどちらかを選べます。色が違う都市に運んでも受け入れられません。
輸送点で勝利点を得る
▲お金が稼げるようになったら輸送点で勝利点を得る作戦に切り替えましょう。お金は余らせても勝利点にはなりません。

◆プレイ順が超重要! 他プレイヤーとの濃密な駆け引きがたまらない!

 本作において、ターンごとのプレイ順は、競りで決まります。プレイ順が先になれば、6種類あるアクションタイルから好きな効果のものを選べたり、線路の敷設や貨物の輸送を先に行なえたりと、ゲームを有利に進めるられるでしょう。

 しかし、ただでさえ資金がカツカツなのに、プレイ順の競りにお金を突っ込む余裕があるのか、よく考えなければいけません。時には資金節約のために、競らないでおく場面もあるかもしれません。

 逆に、あえてうしろの手番を取って、相手のプレイを見たうえで次の手を打っていくのも、状況によってはアリです。手持ちのお金などはすべて公開情報なので、相手の状況を見ながら、競りでわざと価格を釣り上げてから引くといった手も有効。とにかく駆け引きが濃密で、ついついハマって連戦してしまいます。

 プレイ人数はアメリカマップだと3人~4人ですが、このアプリではコンピュータが相手をしてくれるので、ソロプレイも可能です。アナログゲーム系アプリのコンピュータは弱すぎるものもありますが、本作のものはなかなか優秀なようで侮れません。筆者も最初のうちはやたらとボロ負けしました。しかしすぐに「もう1回! 今度は勝つ!!」と再戦したくなります。

 アプリのゲームといえばプレイ感が軽いものが主流ではありますが、本作のような重くじっくりと遊べるゲームもやはり楽しいです。歯ごたえのある経営戦略ゲームに興味があるかたは、ぜひプレイしてみてはいかがでしょうか。

線路を敷く
▲都市から都市、都市から町へつながる線路はリンクと呼ばれ、貨物を運ぶときにリンクの数が多いほど輸送点が増えます。線路を敷くときには、そのことを頭に入れて計算して敷きましょう。
最初は3人戦
▲人数が多いほど苦しさが増すゲームなので、最初は3人戦で遊ぶのをオススメ。ゲームに慣れたら4人戦にチャレンジ!

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