イグニス、ゲーム事業の減速や、VR・AIなどへの先行投資で営業損失25億円 2018年9月期決算

イグニス

新作ゲーム『メガスマッシュ』をリリースしたが継続率と課金率が伸び悩み、サービスを終了。VRとAIを活用したビジネスに投資中。

株式会社イグニス(以下、イグニス)は、2018年9月期決算を11月12日に発表。当期の連結経営成績については、売上高は48億7400万円(前期比12.6%減)、営業損失は25億3200万円、経常損失は25億7100万円、親会社株主に帰属する当期純損失26億5100万円だった。

決算 決算サマリー 売上推移

経営成績の概況

イグニスグループが展開する主なビジネスについては、「運命より、確実。」をキャッチコピーとしたオンライン恋愛・婚活サービス『with』などの“コミュニティ”、1日3回のド迫力リアルタイム協力バトルが楽しめるスマホRPG『ぼくとドラゴン』などの“ネイティブゲーム”、それら2ジャンルに属さないビジネスを“その他”の3ジャンルを、基盤収益事業と位置付けている。

また、新規ジャンルへのチャレンジとして、サービスの普及拡大と急成長が見込まれる分野のVRやAI、IoTなどの最先端技術の商業化を目指している。特にVRとAIを活用したビジネスを積極的投資事業にし、早期収益化に向けて積極的に経営資源を投入してきた。

当連結会計年度の費用については、積極的な先行投資に伴い、主に広告宣伝費や研究開発費、販売費、一般管理費が増加。また、固定資産の減損損失1億326万円を特別損失として計上した。

以上の結果、売上高は48億7436万円(前連結会計年度比12.6%減)、営業損失は25億3290万円(前連結会計年度は営業利益8398万円)、経常損失は25億7175万円(前連結会計年度は経常利益7126万円)、親会社株主に帰属する当期純損失26億5108万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失3576万円)だった。

セグメント毎の業績は以下。

コミュニティ
当連結会計年度は、オンライン恋愛・婚活サービス『with』で、積極的なプロモーション(以下、PR)やSMS認証ログイン機能の実装などにより、ユーザー数が順調に増加した。

また、他社類似サービスとの差別化をはかるため、心理学を活用して最適な男女のマッチングを目指した「自己紹介文の自動生成機能」の実装や、「メンタリストDaiGo監修の診断イベント機能」などの各種施策を行なった。

他社類似サービスを含め、国内でオンライン恋愛・婚活サービスが急速に浸透してきていることから、『with』についてはPRによる新規流入だけでなく、口コミによる新規流入も増加傾向にある。それにより、2018年9月時点におけるユーザー数は120万人を突破し、サービスは順調に伸びている。

今後も、引き続きユーザービリティの向上や精度の高いマッチングを実現する機能、性格診断イベントを継続的に実施することで、ユーザー満足度の高い唯一無二の恋愛・婚活マッチングサービスを目指す。

上記の結果、売上高は17億3271万円(前連結会計年度比104.2%増)だった。

コミュニティ事業

ネイティブゲーム
当連結会計年度は、2018年3月28日にリリースしたスマートフォン向けゲームアプリ『メガスマッシュ』については、ユーザー継続率と課金率が伸び悩み、新規キャラクターの追加や各種イベント施策を行なってきたが、ユーザー継続率と課金率の大幅な改善には至らなかったことで、2018年7月18日をもってサービスを終了した。

主力タイトルの『ぼくとドラゴン』は、配信開始から4年目に突入したが、スマートフォン向けゲームアプリマーケットの競争が一層激化してきている中でも、PRを中心とした的確なコストコントロールによりプロジェクト利益は高水準を維持した。また、既存ユーザーの満足度向上を目指すため、季節イベントの強化や各種人気アニメ・ゲームとのコラボキャンペーンや株式会社NTTドコモ提供の出前・フード宅配サイト『dデリバリー』とのコラボキャンペーンといった新たな取り組みにもチャレンジし、ユーザー満足度の向上と収益の安定化に努めてきた。

上記の結果、売上高は28億1740万円(前連結会計年度比33.7%減)だった。

ゲーム事業

その他
その他は、株式会社U-NOTEが運営するビジネスパーソン向け情報メディアや性格傾向データによる求人マッチングサービスのビジネスや、株式会社mellowが運営するモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のビジネス、どのジャンルにも属さないプロダクトで構成されている。

当第3四半期連結累計期間までは、主にメディアの『U-NOTE』やモビリティサービス・プラットフォーム『TLUNCH』のサービスが売上を支えた。

『TLUNCH』については、首都圏を中心に運営スペースと登録フードトラック事業者数を拡大しており、運営スペースについては2018年9月末時点で80スペース(前連結会計年度比149%増)を突破した。

今後急成長が見込まれるVRやAI・IoTといった最先端技術に着目した新規事業についても、積極的に投資を行なっている。現状、本ジャンルは投資段階だが、早期収益化できるよう邁進する。

上記の結果、売上高は3億2425万円(前連結会計年度比32.7%減)だった。

次期連結会計年度の見通しについては、売上高60億円(当連結会計年度比23.1%増)、営業利益3000万円(当連結会計年度は25億3290万円の営業損失)、経常利益1000万円(当連結会計年度は25億7175万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益500万円(当連結会計年度は26億5108万円の親会社株主に帰属する当期純損失)の予想と発表した。

業績予想 業績予想計画

関連サイト

株式会社イグニス公式サイト
2018年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結)
2018年9月期決算説明会資料

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