アートスパークHD、「CLIP STUDIO PAINT」シリーズの好調で増収も営業利益11%減 平成30年12月期決算

アートスパーク

「CLIP STUDIO PAINT EX」がアニメ制作ツールで初となるIT導入補助金の対象製品に認定。集英社と作家のデジタル入稿支援を目指した業務提携も。

アートスパークホールディングス株式会社(以下、アートスパーク)は、平成30年12月期決算を2月15日(金)に発表した。当期の連結経営成績については、売上高は37億8900万円(前年同期比4.2%増)、営業利益は3億7400万円(同11.5%減)、経常利益は3億5700万円(同12.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3億3400万円(同10.8%減)だった。

決算

経営成績に関する説明

アートスパークは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用にいたるまでの活動を支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進してきた。

当連結会計年度については、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、開発リソースの戦略的配置などの経営効率向上に注力している。

以上の結果、グループの当連結会計年度の売上高は37億8965万円(前年同期比4.2%増)、営業利益は3億7488万円(同11.5%減)、経常利益は3億5767万円(同12.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億3414万円(同10.8%減)となった。

セグメント毎の業績は以下。

クリエイターサポート事業
マンガ・イラスト・アニメ制作ソフトウェア「CLIP STUDIO PAINT」シリーズの、平成24年発売開始からの全世界における累計出荷本数が453万本を突破。また、電子書籍ソリューションのブランド名を「BS Reader」から「CLIP STUDIO READER」に変更し、「CLIP STUDIOソリューション」との連携を強化した。

「CLIP STUDIO PAINT EX」に関しては、経済産業省の「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」の対象製品に認定。IT導入補助金の対象製品にアニメーション制作ツールとして認定されるのは、本ソフトが初の事例となった。

また、「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンに、機械学習(AI)の技術を活用したトーン(網点)を消去、分離できる機能を搭載した。これにより、従来では手間となっていたトーン消去の作業が、メニューから選択するだけで自動行えるようになり、電子書籍におけるマンガのカラーリングの効率化ができるようになった。

デジタルでマンガを制作する作家のデジタル入稿支援を目指した業務提携を株式会社集英社と締結したことにより、「CLIP STUDIO PAINT」への集英社専用原稿用紙の追加や、作品の漫画賞や編集部へのオンライン入稿ができるようになり、デジタル環境で制作するメリットがいかせるようになった。

この他にも、マンガやデジタルアート、イラスト制作を教えるヨーロッパ各国のアートスクールの生徒を対象としたマンガ・イラストコンテスト「European Comic Schools Contest」の開催や、株式会社奈良新聞社主催の現代「阿修羅」展へ協賛などを行なった。

上記の結果、売上高は29億5679万円(前年同期比22.5%増)、営業利益は4億7209万円(同57.3%増)となった。

UI/UX事業
自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「exbeans UI Conductor」を中心とした自社IP製品の開発に注力してきた。

当連結会計年度においては、「exbeans UI Conductor」をバージョンアップし、「ビューモデル」「ビューステートエディタ」機能を搭載し、3D機能をさらに強化した新バージョンをリリースした。これにより、組込みアプリとUIの分離を促進し、並行開発によって生産性の改善に寄与するとともに、UIの表現力と、3Dのパフォーマンスが向上した。

また、「exbeans UI Conductor」においては、利便性の向上による市場価値を高めるため、各種ハードウェア・ソフトウェアベンダーとの協業や共同ソリューションの開発を推進した。アイテック阪急阪神株式会社のECU開発支援ツール「CANTOOL」との連携ソリューションを開発し、HMI開発ソリューションのデモを、自動車技術者・研究者のための自動車技術の専門展 「人とくるまのテクノロジー展2018」で展示を行なった。

さらに、株式会社アットマークテクノの省電力組込みプラットフォーム「Armadillo-640」ユーザーを対象に、GUIを開発するための組込み機器向けHMI/GUI統合開発ツール「exbeans UI Conductor SDK」の評価版を、3ヵ月間限定で、無償で試せるサービスをスタートした。

上記の結果、売上高は8億8585万円(前年同期比31.4%減)、営業損失は6742万円(前年同期は5557万円の営業利益)となった。

関連サイト

アートスパークホールディングス株式会社公式サイト
平成30年12月期決算短信〔日本基準〕(連結)

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