松竹、主力の映像関連事業が減収減益も演劇事業は好調 営業利益45億円 2019年2月期決算

映像関連事業では自社配給作のほかに『ボヘミアン・ラプソディ』などの話題作を公開。グッズ販売では歌舞伎関連のキャラクター商品が好調。

松竹株式会社(以下、松竹)は、2019年2月期決算を4月12日(金)に発表した。当期連結経営成績は、売上高908億2700万円(前期比2.2%減)、営業利益45億6500万円(同29.4%減)、経常利益40億5400万円(同29.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は25億9600万円(同30.7%減)となった。

松竹決算

経営成績に関する説明

映像関連事業
配給は、邦画13作品と洋画7作品、アニメ12作品、シネマ歌舞伎、METライブビューイングといった、多様な作品を公開してきた。

興行では、株式会社松竹マルチプレックスシアターズにて、自社配給作のほかにも、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『インクレディブル・ファミリー』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』など、春先から夏休みにかけての興行が盛況だったことに加え、秋から冬休みにかけても『ボヘミアン・ラプソディ』を筆頭に、多数のヒット作が公開された。

また、ODS(邦洋画、アニメの他に、演劇・音楽などの映画ではないコンテンツを映画館で上映)をあわせて563本の作品を上映した。上映作品の編成や劇場宣伝を強化し、競合館との差別化をはかるとともに、劇場内の売店に新メニューを定期的に提供し、ポイントキャンペーンによる会員事業の強化など、利用者の満足度の向上を目指す施策を実施した。

テレビ制作に関しては、地上波で新春ドラマスペシャル『釣りバカ日誌 新米社員 浜崎伝助』、時代劇スペシャル「必殺仕事人」、BS放送で時代劇『雲霧仁左衛門4』、WOWOWドラマ「孤高のメス」を制作し、収益に貢献した。

番組販売では、CS局に「刺客請負人シリーズ」のほか、時代劇作品の放映権と配信権のパッケージ販売が好調に推移した。

映像ソフトは「魔法使いの嫁」などのアニメ作品のほか、「虹色デイズ」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」などを販売。

テレビ放映権販売に関しては、「釣りバカ日誌」シリーズに続き、「男はつらいよ」シリーズの全作放映がスタート。海外販売では「旅猫リポート」などが、近年の中国マーケットからの日本映画やアニメの引きあいが影響こともあり、好調に稼働した。

CS放送事業は、「スカパー!」やケーブルテレビの伸び悩みに加え、競合のインターネット映像配信サービスがオリジナルコンテンツを多数投入することにより、厳しい状況が続いた。そんな中、松竹ブロードキャスティング株式会社は、映画や舞台、ドラマなど、幅広い番組を編成することで、安定した収益の確保に努めた。

上記の結果、売上高は482億6800万円(前期比6.7%減)、セグメント利益は7億6300万円(同72.1%減)となった。

演劇事業
歌舞伎座では、「團菊祭五月大歌舞伎」は、通し狂言「雷神不動北山櫻」や「弁天娘女男白浪」が盛況となり、「七月大歌舞伎」では、オペラや能楽を舞台に取り入れた通し狂言「源氏物語」などの作品が話題になった。

新橋演舞場では、3月に三谷幸喜氏の作・演出の「江戸は燃えているか」をパルコとの共催で上演し、4~5月には「滝沢歌舞伎2018」を上演し、いずれも大盛況となった。8月は集英社とテレビ東京などと共同で、人気少年マンガの舞台化、新作歌舞伎「NARUTO -ナルト-」を上演し、好評を博した。

METライブビューイングは、2018~2019シーズンから新音楽監督にヤニック・ネゼ=セガン氏を迎え、第1作のヴェルディ作曲「アイーダ」から、人気作「椿姫」の新演出を含む6作品を上映し多くのオペラ・ファンを魅了した。

上記の結果、売上高は264億円(前期比5.6%増)、セグメント利益は19億5000万円(同9%増)となった。

不動産事業
不動産賃貸では、歌舞伎座タワーや築地松竹ビル(銀座松竹スクエア)、東劇ビルなどをにおいて、満室が続き、全体でも高い稼働率で安定収入に貢献した。11月には、耐震補強と改装工事を終えた南座が新開場し、ホテルや商業の複合開発として京都松竹阪井座ビルに竣工した。

また、各テナントとの賃料交渉にも誠実に対応し、計画どおりに利益を確保してきた。

上記の結果、売上高は105億5500万円(前期比2.2%増)、セグメント利益は45億9400万円(同3.3%増)となった。

その他
劇場プログラム商品は、自社配給アニメ作品が好調だったことに加え、『銀魂2 掟は破るためにこそある』など、他社配給作品も好調だったことから、収益に貢献した。

キャラクター商品は、「超歌舞伎」や新作歌舞伎「NARUTO -ナルト-」などの歌舞伎関連のキャラクター商品を展開し、好調な売り上げとなった。

イベント事業においては、東京タワーでのイベント開催に加え、京都タワーでもホラーイベントを実施した。

また、歌舞伎の魅力をより幅広い層へ伝えていくため、オリジナルキャラクター「かぶきにゃんたろう」を歌舞伎関係のPRや販促活動、ライセンスビジネスなど、幅広く活用した。

上記の結果、売上高は56億300万円(前期比3.4%減)、セグメント利益は4億2900万円(同3%減)となった。

関連サイト

松竹株式会社公式サイト
2019年2月期決算短信〔日本基準〕(連結)