映像制作においては制作費や外注費の高騰や制作期間の長期化などで収益が悪化。出版事業における電子書籍の収入は増加。
株式会社IGポート(以下、IGポート)は、2019年5月期決算を7月12日(金)に発表した。当期連結経営成績は、売上高88億7200万円(前期比5.3%減)、営業損失3億700万円、経常損失3億700万円、親会社に帰属する四半期純損失1億7900万円だった。
経営成績に関する説明
IGポートグループは、劇場用アニメーション6タイトル、テレビアニメシリーズ7タイトル、その他ゲーム用やプロモーション用映像等の制作を行なう映像制作事業、コミック誌(12点刊行)、特装版・初回限定版7点を含むコミックス91点の企画、製造、販売の出版事業、映像作品などへ出資する2次利用から生じる収益分配を主とする版権事業を中心に行なった。
売上については微増だったが、映像制作事業の一部作品でスケジュールの見直し、出版事業においては人気既刊コミックスの需要が一巡し書店流通向けの売上が低調に推移した。
利益については、映像制作事業の営業損失を出版事業と版権事業でカバーする事ができず損失が発生。さらに、子会社の事業譲渡による特別利益、映像制作事業による固定資産の減損損失の特別損失を計上した。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は88億7231万円(前期比5.3%増)、経常損失は3億769万円(前期は3億8673万円の経常利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1億7965万円(前期は1億4713万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となった。
セグメント毎の業績は以下。
映像制作事業
劇場用アニメーションは『フリクリ オルタナ/プログレ』『バースデー・ワンダーランド』『PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System』『甲鉄城のカバネリ~海門決戦~』などを、テレビ用(配信用)アニメーションでは『ULTRAMAN』『進撃の巨人 Season 3』『フューチャーカード 神バディファイト』『風が強く吹いている』などを、その他ビデオ用アニメーション、ゲーム用や遊技機用のアニメーションを制作した。
新規受注の映像制作では、現況に合った確度の高い映像制作予算の策定による受注額の交渉をはじめた。
前連結会計年度から続いている映像制作については、引き続きCG制作費や外注費の高騰、制作期間が長期化により収益が悪化した。一部の作品については、受注損失引当金を計上し厳しい状況が続いている。
上記の結果、売上高は59億2593万円(前期比28.9%増)、営業損失は5億3856万円(前期は6億8636万円の営業損失)となった。
出版事業
コミック誌の定期刊行物は「月刊コミックガーデン」で12点を刊行した。書籍(コミックス、ノベルス、原作ガイドブックを含む)は「魔法使いの嫁」「あまんちゅ!」等の最新刊など、特装版や初回限定版7点を含む91点を刊行した。
前年度にメディア化された「魔法使いの嫁」「曇天に笑う」シリーズ等の既刊コミックスの需要が一巡したこともあり、書店流通向けの売上が低調に推移した。
電子書籍の収入については増加しており、出版事業売上の30%を占める割合になった。
上記の結果、売上高は12億6687万円(前期比27%減)、営業利益は1億3192万円(同65.8%減)となった。
版権事業
「進撃の巨人」「魔法使いの嫁」「宇宙戦艦ヤマト」「B: The Beginning」「銀河英雄伝説」などのシリーズを中心に、二次利用による収益分配を計上した。
売上については「魔法使いの嫁」の海外販売が落ち着き、売上原価では前連結会計年度比で映像マスター及びコンテンツ資産の減価償却費が4億4130万円増加した。
上記の結果、売上高は14億5199万円(前期比18.5%減)、営業利益は1億9017万円(同72.3%減)となった。
その他事業
雑誌のイラスト描きやキャラクターの商品販売、スマートフォン向けアプリ等を提供。
上記の結果、売上高は2億2750万円(前期比27.5%減)、営業利益は221万円(同84.9%減)だった。