創通、ガンダム40周年で版権収入増加もメディア事業の苦戦で営業利益は前年並み 2019年8月期決算

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主力作品の「ガンダム」関連は好調に推移するも、アニメーション事業に求められる作品展開の多様化への対応を模索中。

株式会社創通(以下、創通)は、2019年8月期決算を10月9日(水)に発表。当期の連結経営成績は、売上高は144億1900万円(前期比14.5%減)、営業利益26億2900万円(同0.5%増)、経常利益26億8200万円(同1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益18億2600万円(同2.3%減)となった。

創通決算

創通グループを取り巻く事業環境は、動画配信・サブスクリプションサービスの普及が本格化し、DVD・Blu-rayディスク等のパッケージ商品市場が縮小して久しく、またテレビアニメーションの放送枠が深夜時間帯に集中し、一部の例外を除いて、アニメーション作品の大ヒットを作り出すことがより困難な状況となっている。

このような事業環境において、アニメーション事業への投資を回収するためには、従前のキャラクターグッズの販売のみならず、中国をはじめとする海外での展開や、いわゆる2.5次元ミュージカル等の興行・舞台など、アニメーション作品の特性に適合した利用形態を企画段階から検討し、計画することが必要とされている。

そのため、製作委員会の組成やキャラクター育成の創意工夫がより一層必要となるとともに、新しいパートナー企業との関係づくり等、事業環境の変化への対応が急務となっている。

このような状況のもと、中核であるアニメーション作品やエンタテインメント・コンテンツのプロデュース業務を通じて、より良い作品・ヒットコンテンツを創り、版権ビジネスに繋げることで収益性を高めること、並びに創通が保有するアニメーションキャラクターに関し、パートナー企業とともにファンの方が楽しめる新たな利用の市場を開拓し、アニメーションキャラクターの版権ビジネスを拡大するという方針のもと、事業展開をはかった。

その結果、当連結会計年度の売上高は144億1900万円(前期比14.5%減)、営業利益26億2900万円(同0.5%増)、経常利益26億8200万円(同1.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益18億2600万円(同2.3%減)となった。

各セグメントの業績は、次のとおり。

メディア事業
メディア事業においては、継続番組である「それいけ!アンパンマン」の他、「おしえて魔法のペンデュラム~リルリルフェアリル~」「色づく世界の明日から」「ガーリー・エアフォース」「ダイヤのAActII」「賢者の孫」等、19作品の新作アニメーションについて製作出資・製作委員会の組成・共同運営ならびににプロデュース事業を実施した。

しかしながら、アニメ事業においては、複数社がリスクヘッジを行ないながら作品ごとに出資を行なう「製作委員会方式」による投資効率が悪化し、また当該方式によらないスキームの作品づくりが顕著となっている。そのような事業環境の中、計画通りに委員会組成が実現せず、メディア事業におけるプロデュース作品の制作受託収入、放送事業収入が期初の予想を下回ったことが、売上高減少の大きな要因となった。

一方で、機動戦士ガンダム40周年に関連する「機動戦士ガンダム×HELLOKITTY」「EneKeyデビュー×ガンダムTV放送40周年記念コラボ」等の販促キャンペーンは期初の計画通り推移した。就職情報事業を行う子会社ジェイ・ブロードの業績は採用広告収入が減少し、売上高減少の要因となった。この結果、メディア事業の売上高は83億9100万円(前期比27.7%減)、営業利益5億100万円(同23.5%減)となった。

ライツ事業
ライツ事業においては、「ガンダム」シリーズについては、玩具、アーケードゲームおよび遊技機に関する版権収入が増加。加えて機動戦士ガンダム40周年に関連する版権収入が増加したこと、「ガンダム」シリーズ以外にも、創通が出資したアニメーション作品の二次利用が好調に推移して、出資製作委員会からの配分金収入が増加したことで、前年同期に比べて売上高が増加した。

この結果、ライツ事業の売上高は51億3800万円(前期比12.5%増)、営業利益21億3500万円(同8.4%増)となった。

スポーツ事業
スポーツ事業においては、「プロ野球12球団×ガンダム40周年」コラボレーションの実施による収入が増加し、前年同期に比べ売上高が増加している。

この結果、スポーツ事業の売上高は8億8900万円(前期比26.0%増)、営業利益8300万円(同24.1%増)となった。

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