サンリオ、新型コロナウイルス感染症による営業自粛などで営業損失11億円 2021年3月期第1四半期決算

サンリオ

新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、国内では店舗やテーマパークの休業を実施。海外でも小売市場の冷え込みで業績低下。

株式会社サンリオ(以下、サンリオ)は、2021年3月期第1四半期決算短信(連結)を8月4日(火)に発表した。当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高72億8900万円(前年同期比45.5%減)、営業損失11億7700万円(前年同期は営業利益6億)、経常損失9億9900万円(前年同期は経常利益9億円)、親会社株主に帰属する四半期純損失8億5800万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失2億9100万円)だった。

サンリオ 決算 サンリオ 決算要約

経営成績に関する説明

当第1四半期連結累計期間の経営成績は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、極めて厳しい状況になった。

国内では、利用者及び従業員の健康を守りながら感染拡大の防止策を講じつつ、安心できる店舗や施設の運営を行ない、社会活動のレベルを段階的に引き上げていくことが求められているなか、店舗の臨時休業やテーマパークの休園、イベント中止等により、営業機会が大幅に縮小した。

テーマパークについては、大分県のハーモニーランドは6月8日に営業を再開したが、東京都多摩市のサンリオピューロランドでは7月13日の再開となり、第1四半期の営業が行えなかった。

物販部門ではECの受注は伸長したことに加え、6月には全店舗営業が再開できたことやヒット商品の販売があった。しかしながら、5月までの臨時休業やインバウンドの減少がカバーできなかったことから、売上は前年同期を大幅に下回る結果になった。

国内ライセンスでは、ゲームなどのデジタルビジネスが伸長したが、衣料品やお土産関連が厳しい結果となった。

海外に関しては、「マイメロディ」45周年イベントや取引先との商品キャンペーンなどを計画していたが、2月以降は新型コロナウイルス感染症の影響による各国のロックダウンなどの影響で、イベントの中止や営業活動ができない状況が続いた。

収益については、営業外収益に受取利息と受取配当金等を計上し、特別損失として新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う店舗の臨時休業やテーマパークの臨時休園による損失12億円を計上した。

日本
物販事業のリテール部門では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、前期3月下旬より路面店で毎週末を休業にし、今期は緊急事態宣言の発出を受け、一時すべての店舗を休業とした。最大7週間を超える休業店舗もあったが、6月にはほぼ全店舗の営業を再開した。

再開後は、通勤・通学客の減少やインバウンドが見込めないことから、都心並びに観光地にある店舗は苦戦を強いられる一方で、営業再開の反動によりサンリオキャラクター大賞関連商品や、学童商品の需要が高まり、主に住宅地周辺の郊外店や地方店への来客が大幅に回復。

また、6月末に発売した「エンジョイアイドルシリーズ第3弾」が、第1~2弾に続き、アイドルファンからの人気を得て、売上を底上げした。しかしながら、全体としての売上高を伸ばすことはできず、既存店売上は前年同期を下回った。

その他、オンラインショップで会員数が増加し、売上高は前年同期比132.6%となったほか、6月5日に「SANRIO CAFE 池袋店」をサンシャインシティにオープンした。

サンリオ 店舗

卸部門では、ドン・キホーテなど一部取引先で前年同期水準の取引を維持できたが、多くの取引先は取り扱い店舗の休業、消費の減少により苦戦した。

ライセンス事業は、4月から主に商品化権ライセンスを担当していた部署と、主に対企業向けの企画・ライセンスを担当していた部署を統合し、取引先に一気通貫した提案を行なうライセンス営業本部を設立した。それと共に、アニメ・トイホビー・デジタル関連など、エンターテイメント分野におけるサンリオキャラクターライセンス事業領域の拡大を目的にエンターテイメント事業本部を新設した。

ライセンス営業本部の商品化権ライセンスでは、新型コロナウイルス感染症の影響で、衣料や服飾、雑貨について、主力ライセンシーの納品先である小売りチェーンが低迷した他、菓子・生活雑貨などインバウンドや観光に関連する事業分野で苦戦した。一方、ティッシュや消毒液、マスクなど、ウイルス対策関連分野のライセンシーは堅調に推移した。

対企業企画では、金融、企業特販、小松市・北九州市などの自治体との取組みは、新型コロナウイルス感染症の影響が比較的少なく、売上の下支えとなった。また、CVSは各店舗が営業を継続していることから比較的順調に推移した他、マクドナルド、すかいらーくなどの外食分野のキャンペーンなど、各メーカーとの取組みも比較的堅調だった。

エンターテイメント事業本部における商品化権ライセンスは、新型コロナウイルス感染症の影響により、トイホビーの大手流通やアミューズメント施設の営業自粛を受け苦戦したが、ゲームを含むデジタル領域のライセンス事業は、在宅需要や新規案件効果により大きく伸長した。LINEスタンプなどのデジタルコンテンツは安定的に推移し、ゲーム大手の株式会社スクウェア・エニックスから配信中の『SHOW BY ROCK!!』や、その他新作ゲームが収益に貢献した。

テーマパーク事業では、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、両テーマパークともに2月22日より臨時休園とした。東京都多摩市のサンリオピューロランドは、7月13日より営業を再開したが、当第1四半期中には通常営業が行えなかった。そこで、6月から新たにキャラクターショーや、キャラクターグリーティングのネット配信の取り組みを開始した。当第1四半期の主な売上は、スポンサー収入や『ファンファンキティ!』などの映像制作によるものとのこと。大分県のハーモニーランドは、6月8日より営業を再開した。

上記の結果、売上高53億円(前年同期比48.7%減)、営業損失6億円(前年同期は営業利益7億円)だった。

サンリオ休業

欧州
新型コロナウイルス感染症が全地域に影響したことで売上が大幅に減少し、さらに、ミニマムギャランティ未達分の請求や回収が後ろ倒しにもなったことで、減収減益となった。

「ミスターメン リトルミス」については、イギリスマクドナルド社のハッピーミールの展開が大きく貢献し、前年同期に対して増収となった。

上記の結果、売上高2億円(前年同期比37.7%減)、営業損失2億円(前年同期は営業損失1億円)だった。

北米
ライセンス事業では、大手消費財メーカーとの契約未更新や、コスメブランドとのコラボ商品展開の落ち着き、前期取引の大きかった「ハローキティ」45周年関連コラボレーションの減少を、Pumaとのコラボレーションや、Targetに卸すライセンシーへの売上増加ではカバーできず減収となった。2月以降は新型コロナウイルス感染症拡大の影響による小売業の大幅な落ち込みがみられ、第2四半期以降にも影響が及ぶことが見込まれている。

物販事業では、中南米向け輸出の落ち込みのほか、米国内向けEコマースと物販で、物流システムの改修が遅れたことから業績は苦戦した。

営業利益は販促関連費用と法務費用が増加した上、物流委託関連コストの影響もあり、販売費及び一般管理の削減ができなかったことから赤字幅が増加した。

上記の結果、売上高3億円(前年同期比44.2%減)、営業損失3億円(前年同期は営業増益3億円)だった。

南米
ブラジルは昨年の政情不安に加え、中国と経済関係が深く2月以降レアル安が大きく進んだ。2大市場の1つであるメキシコが現地通貨ベースで増収でしたが、ブラジルほかほとんどの地域で減収となった。

また、ブラジルでは、新型コロナウイルス感染症の感染者数が急激に増大していることもあり、ECサイトを持つライセンシーのさらなる支援を行なう予定で、メキシコのEC関連会社とも商談を進めている。

上記の結果、売上高1億円(前年同期比49.7%減)、営業利益400万円(同88.6%減)だった。

アジア
香港・マカオ市場では、デモの長期化と新型コロナウイルス感染症による小売市場の落ち込みにより業績が苦戦した。

一方、東南アジアでは、NTUC(総合保険組合)と「マイメロディ」のキャンペーンによりシンガポールが好調に推移し、タイにおけるセブン-イレブンとの取組みと共に、売上に貢献した。

台湾では、新型コロナウイルス感染症により、中国工場に頼る小売業、航空業、交通関連産業などの停滞が、ライセンスビジネスにも影響した。食品、ヘルス&ビューティ、文具などは好調に推移したが、企業キャンペーン案件を含め多くのカテゴリーで苦戦した。

韓国では、2月以降、新型コロナウイルス感染症の流行により、家電、食品、ゲームソフトウェアの売上が伸長したが、その他カテゴリーで苦戦を強いられた。

中国では、雑貨関連の大手取引先、生理用品などを扱う企業での売上が伸長し、取引先数も増加したが、アクセサリー・アパレル関連の大手取引先の落ち込みを、カバーするには至らなかった。

上記の結果、売上高12億円(前年同期比28.8%減)、営業利益4億円(同33.0%減)となった。

サンリオ 海外事業

関連サイト

株式会社サンリオ公式サイト
2021年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
2021年3月期第1四半期決算説明資料

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